2008年09月05日

アメリカ大統領選:オバマvsマケインの争点

 このブログの常として暫定的な記述を積み上げていく形になりますがご容赦を。

 8月下旬と9月上旬にアメリカでは民主党と共和党のそれぞれの党大会が終わり、いよいよ熾烈な宣伝や相手候補攻撃の争いとなり、数回の候補者討論会を経て11月の大統領選挙になだれ込んでいくことになります。

【背景】
 共和党のブッシュ現政権の温暖化に関する政策は、ほんとにひどい出来でした。
・2000年の選挙キャンペーンの際には、ブッシュは火力発電所からのCO2を汚染物質として排出規制をする、ということを環境政策の目玉として掲げて、民主党のアル・ゴア候補のお株をうばっていました。
・当選早々の2001年3月〜7月に掛けて、京都議定書からの離脱を表明し、温暖化が人為的なものかどうかについても疑問視をし、アメリカ経済にとって悪いから、と火力発電所のCO2規制もなしにしてしまいました。
・ほかにも、「思いやりのある保守主義」だとか、「同盟国との連携を重視する外交」だとか、本人が腹を抱えて笑っていただろう膏薬ならぬ公約を連発して当選してから、ブッシュ大統領がアメリカを駄目にしてしまったからこそ、8年経ってオバマ候補が「チェンジ」を掲げて彗星のように、旋風のように民主党側の大統領候補となれたのだろうと思います。

・共和党のマケイン候補にしても、2006年の中間選挙では共和党が大敗を喫して上院も少数与党に転落したこともあり、ブッシュ政権とは距離を置いた一匹狼候補である、として党の予備選をのし上がってきたのだと言えます。

【民主党大会】
 さて、ヒラリー候補との予備選で熾烈な戦いが行われ、党内融和のための演出が続いた、と報道されていましたが、オバマ候補のエネルギー政策、温暖化対策についてみていきましょう。

 1500億ドルを中東原油へのエネルギー依存をなくすため、再生可能エネルギーに投資する、などの点は、
JanJan:オバマ候補の経済政策と「ネクスト ニュー・ディール」
http://www.news.janjan.jp/world/0809/0808315895/1.phpでも紹介されています。
 これはまた(アル・ゴアのエネルギー提案−大統領選への働きかけ)にも反応をしたメッセージなのでしょう、ゴアも民主党大会でマケインは温暖化の挑戦に応える用意が出来ていないがオバマは出来ている、と讃えていました。

 他の党大会参加者の感想の中には、「背景」の党員の会話やレセプションと、スピーチ本体のあいだにはグリーン度に乖離があることを指摘していました。
Where climate/energy issues stand in the Democratic Party
http://gristmill.grist.org/story/2008/9/1/3127/50921
 つまり会場に参加した人にとってはグリーン度は十分だったんだけれども、スピーチ自体にはグリーンこそが経済を救うんだ、という期待を持たせるものが足りなかった、オバマ民主党員たちはまだ党員に対して確信をもって伝えようとしていないという結論になっています。

【共和党大会】
 マケイン上院議員は元々キャップ&トレード型排出権取引を中心とした温暖化対策の法案の立案者でもあり、温暖化対策に前向きな、共和党に珍しい候補として、温暖化対策の規模はあまり大きな争点ではない、とこれまでは見られてきました。

 この党大会でお披露目をした、サラ・ペイリンアラスカ州知事を副大統領候補に据えたマケイン候補の決定は、この構図を一変させました。
 アラスカは石油産業に頼るモノカルチャー州であること、ペイリン知事自体が、これまで石油開発から長年保護されてきたアラスカ北極湾岸自然保護区(アンワールANWR)の開発推進派でもあること、そしてなにより彼女が、地球温暖化は人間活動のせいではないと考える立場だと公言したからです。
New York Times:And Then There Was One
http://www.nytimes.com/2008/09/03/opinion/03friedman.html?_r=1&oref=slogin
Thomas L. Friedman
”With his choice of Sarah Palin - the Alaska governor who has advocated drilling in the Arctic National Wildlife Refuge and does not believe mankind is playing any role in climate change - for vice president, John McCain has completed his makeover from the greenest Republican to run for president to just another representative of big oil.”

 この問題は共和党大会そのものでは深く追及されることはありませんでした。
 が、もし共和党マケイン候補が勝利すれば、ペイリン女史は副大統領つまり上院議長の役職に就き、仲間の上院議員たちに条約の批准についての大きな影響力を及ぼす(決定的な1票も行使する)ことになります。(条約の批准は上院の仕事)

 それは、「ポスト京都」=COP15コペンハーゲン合意の成果を米国が批准しない、という抜本的な国際温暖化対策スキームの崩壊につながる決定であった、と歴史家は後になってから振り返るかもしれません。

 米大統領選から目が離せなくなってきました。なんとしてもオバマに勝ってもらわなければなりません。

 マケインがなんと説明しようが、石油産業と現ブッシュ政権がペイリン女史を副大統領候補に、とねじ込んだのかもしれませんね。

参考:
U.N. Foundation's Detchon talks conventions, prominence of energy and climate (OnPoint, 09/03/2008)
http://www.eenews.net/tv/transcript/856
 ここでは、国連基金の人が両党大会を評しています。
”But I think it's an important question for McCain, because what, after all, is the sole, statutory duty of the vice president is to preside over the Senate. And, in effect, an able vice president can be an important force in the Senate and that will be the cockpit of action on climate change over the next two years if either president is elected. But if McCain is elected one would expect that he would want Vice President Palin to be carrying his message to the Republican caucus in the Senate and reaching a deal on cap-and-trade legislation. That will be quite a stretch from her current position.”

WorldWatch:Sarah Palin’s Record on Climate Change
http://www.worldwatch.org/node/5879?emc=el&m=143201&l=5&v=a7b7f76cf0
”Palin's stance on climate change is summarized in an August interview with conservative magazine Newsmax. In response to a question about her "take on global warming," Palin said, "A changing environment will affect Alaska more than any other state, because of our location. I'm not one, though, who would attribute it to being man-made." Neither Palin's communications director nor the McCain campaign responded to requests for clarity on her views of whether recent climate change is human-caused - a trend that has been affirmed by international scientific consensus.”続きを読む
posted by おぐおぐ at 13:38| 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月19日

アル・ゴアのエネルギー提案−大統領選への働きかけ

 メールで予告を受けていました。
-------- Original Message --------
Subject: Al Gore to issue important challenge
Date: Wed, 16 Jul 2008 16:31:16 -0400
From: Cathy Zoi, The We Campaign <info@wecansolveit.org>
To:

WE CAN SOLVE THE CLIMATE CRISIS
<http://www.wecansolveit.org/page/m/5708997920e73023/Q6obgs/VEsH/>


Dear SGW,

Something important is happening tomorrow.

In a speech in Washington, DC, Nobel Laureate and Former Vice President Al Gore will issue a major challenge, essentially pressing the "reset" button on how we think about energy and climate, and how we can create prosperity in America.”

 そうであってくれればいいなあと、非常に期待はしていたんですが、どうもアル・ゴアの「ピークオイル宣言」と呼んでもいいものか、呼べないものか、判断が今のところつきません。
 米国のマスコミでのピークオイル論の蔓延している文脈ならそう呼んでしまっていいものかもしれません。(日本での伝えられ方は別でしょうが。)

参考:
Over the Rainbow戦略:ピークオイル危「機」を梃子に温暖化対策を
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/2175.html
ん!ニュース短信その1 にも、2006年時点のアル・ゴアのピークオイルについての見解の記事があります。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/forum2/2611.html

 まずはYouTubeの映像からどうぞ。
</param></param>

 NYTimesのAndrew Revkin記者が、
The (Annotated) Gore Energy Speech
http://dotearth.blogs.nytimes.com/2008/07/17/the-annotated-gore-climate-speech/?hp
ゴア氏のスピーチ原稿を、コメントつきで載せています。

”(ゴアの原稿より)
 We’re borrowing money from China to buy oil from the Persian Gulf to burn it in ways that destroy the planet. Every bit of that’s got that has to change.(実際の発言)
 「我々は中国から金を借りて、ペルシア湾から石油を買い、それを燃やすことで地球を破壊している。その行動パターンを全部変える必要があるのだ。」
「しかしこの複雑な問題の絡まり具合全体について共通な紐を見つけて解きほぐせば、すべての答えが我々の手の中にあることに気づくだろう。答えは、化石燃料への依存を終わらせることにあるのだ。」

[ Andy Revkin - Mr. Gore appears to have shifted from his original stance that climate change alone was the “planetary emergency” of our time to the multi-pronged view that including it in a basket of reasons to undertake a nonpolluting “energy quest” makes more sense. This is a position articulated years ago by quite a few scientists, particularly Richard Smalley, the Nobel laureate in chemistry who became an evangelist for an energy revolution before his death from leukemia.]”
 つまり、ゴア氏が、温暖化「だけ」が惑星にとっての非常事態だ、という当初の姿勢を変えて、エネルギー問題と国の経済危機、安全保障問題そして気候変動の複合危機に対する共通の解決策として、化石燃料への依存をなくす(10年間で電力を脱炭素化する)という提案を、米国大統領選の候補者に求める提案をしたと指摘しています。

 大胆な提案を、超党派で両政党のオバマ氏、マケイン氏両候補に(+インディペンデントリバータリアン党の大統領候補ロン・ポールボブ・バール氏にも)求めることで、大統領選への温暖化問題の浸透を図る、という、アル・ゴアのここ数年間の対温暖化キャンペーンの集大成の位置づけにある演説なのでしょう。

 他にも演説から引用しておきます。
”To those who say the costs are still too high: I ask them to consider whether the costs of oil and coal will ever stop increasing if we keep relying on quickly depleting energy sources to feed a rapidly growing demand all around the world. When demand for oil and coal increases, their price goes up. When demand for solar cells increases, the price often comes down.
(That's the difference.
One source of fuel is expensive and going up, and the other source of fuel is free forever.)実際の発言”
「再生可能エネルギーがまだコストが高すぎるという人たちへ尋ねよう。世界中で増加し続ける需要を満たすために急速に減耗しつつあるエネルギー源に我々が頼り続けさえすれば、石油と石炭のコストは増加を止めるというのか?石油と石炭への需要が高まれれば価格は上がる。しかし太陽電池への需要が高まれば価格はしばしば下がるものだ。それが違う点だ。一つの燃料は高くてますます高くなる。もう一方は永久にタダだ。」

”If you want to know the truth about gasoline prices, here it is: the exploding demand for oil, especially in places like China, is overwhelming the rate of new discoveries by so much that oil prices are almost certain to continue upward over time no matter what the oil companies promise. And politicians cannot bring gasoline prices down in the short term( by giving money to oil companies).”
「ガソリン価格の真実を聞きたいだろう。こうだ。特に中国のような地域での石油需要の爆発が、新油田の発見速度を圧倒しているため、石油の価格は石油会社が何を約束しようが上がり続けるのだ。そして政治家は、(石油会社に減税することで)短期的にガソリン価格を安くすることはできないのだ。」

 このあたりはスループットの限界を十二分に認識した表現で「ピークオイル宣言」に限りなく近いとは言えますし、このレトリックは強力です。

 が、彼の限界は、やはり政治的な提案である以上、国内の政治力学を慮って?、食糧危機問題への言及とバイオ燃料の推進への批判を手控えたことでしょう。
 これはバイオ燃料がアメリカの聖なる牛になりつつあるということでしょうか?

付記:何度もビデオを聞き続けているうちに、バイオ燃料の言及がない、程度のことはどうでも良いことのように思えてきました。

「もし」本当に米国人がこの演説で奮い立つなら、バイオ燃料の問題にも正面から取り組むことができるでしょう。それだけの力のある演説でした。

「政治的意思は再生可能な資源である」アル・ゴア
という言葉が思い出されます。続きを読む
posted by おぐおぐ at 08:01| 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月19日

野党が掲げる温暖化対策

●昨日社民党が温暖化対策を発表したそうです。朝のNHKニュースでやっていました。

NHKのHPより
”社民党は、地球温暖化対策として、太陽光発電などの自然エネルギーの割合を高めることなどで、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年より30%以上の削減を目指すとした独自の案をまとめました。”
”そして、この目標を達成するため、電力会社が太陽光発電など自然エネルギーによる電力を企業などから固定価格で買い取る制度を創設するなどして自然エネルギーの割合を高めることや、政府が事業者ごとに温室効果ガスの排出総量の上限を設定して企業どうしが排出枠を売買する「排出量取引制度」を導入することなどが盛り込まれています。社民党では、ほかの野党とも協力しながら、この対策の実現を目指したいとしています。”

 社民党のHPにはまだ内容は掲載されていませんでした。はこちら。
地球温暖化防止戦略
〜いまこそエネルギー政策の大転換を〜
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/eco/eco0806.htm

●最近の民主党の動きもHPから。
参院本会議 福山政審会長、温暖化対策推進法改正案で代表質問(05/21)
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13306
"さらに、「政府として京都議定書は批准するが、国内排出量取引制度をはじめとする強制的措置は産業界に課さない」との密約があったとする報道を取り上げ、見解を質した。甘利経済産業大臣は、「密約の存在は承知していない」と答え、否定しなかった。"

数値目標を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案を参議院に提出(06/04)
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13418
"「2020年の目標ができるのかどうか。我々は90年を基準として20年には25%削減、50年よりもできるだけ早い時期の60%削減という目標値を掲げている。長期目標も大切だが、具体的な目標、達成手段が重要」とした。"

次の内閣 地球温暖化対策基本法案など内容了承(06/04)
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13417
法案、ポイント解説などがあります。

環境シンポ開く 地球温暖化対策基本法制定に向け意見交換(06/05)
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13434
”諸富氏は、民主党案について、「京都議定書以来先送りされてきたものがすべて入っている点を高く評価したい。90年を基準年にしたのも野心的」と評価した。「過去を語るのではなく悪循環を断ち切る時に洞爺湖サミットをすべき。日本がビジョンを語るべき」と意義づけた。
 岡田本部長は、民主党の法案の概要を説明するとともに、「化石燃料依存からの転換。産業革命以来の転換の大きな試み」と地球温暖化防止の意義を語った。”

●日本共産党のHPでは、
日本共産党欧州調査団の報告
http://www.jcp.or.jp/tokusyu-08/06-global_warming/
がまとまっていていいですね。


●HPを隅々みたわけではないですが、国民新党は温暖化についての政策を持っていないでしょう。

●新党日本はHPに温暖化関連が一画面だけ、これもまたミニ政党の提案のあり方でしょう。
http://www.love-nippon.com/cinema_futugo.htm
posted by おぐおぐ at 08:58 | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月11日

本日の甘利経済産業大臣発言録・温暖化編その6

甘利経済産業大臣の閣議後大臣記者会見の概要
http://www.meti.go.jp/speeches/index.html
 から、最近の発言を逆順に掲載しておきます。

●平成20年6月10日(火)
9:29〜9:57
於:参議院別館経済産業省控室
 まず、一連の会合の報告でありますが、OECD閣僚理事会では、技術革新によって、経済成長と環境の両立が可能となることを訴えまして、セクター別アプローチの重要性についても説明をいたしました。G8サミットを控えまして、日本の主張を広く理解してもらう上で、良い機会になったと思っております。

 国際省エネ協力パートナーシップ(IPEEC)、セクター別アプローチの重要性、原子力等の低炭素エネルギー革新的技術開発の国際協力等、エネルギー面からの気候変動への対応についても合意をいたしました。

 特に原子力やCCSの重要性について、大多数の国から極めて強い支持が表明されました。イギリスのハットン大臣から、30年間やっていなかったけれども、原子力発電所の設置について力強く踏み出すという宣言が行われました。イタリアはいままで反対していたのですが、イタリアからも環境と経済の両立という点で原子力が有効で、我々もそちらに方向転換するという宣言がなされました。インド、中国、韓国もそうでありまして、原子力については私の予想を超えた強いコミットが各国から発せられました。

 また、CCSの重要性について、要するに途上国を含めて、世界中に賦存量の一番多い石炭を使わざるを得ないだろうと。ですから、これをクリーンに利用するということが大事だという意味でCCSは重要だということについて、認識の共有がなされました。

 それから、省エネが最も効率的な環境対策だということで、IPEEC、国際省エネ協力パートナーシップを立ち上げるということで、全員から強い意思表示がありました。これは現状自主的に目標・行動計画を立てて、省エネに取り組んでいくと。それから、技術の移転、知見の交流等の協力をしていくということであります。これに初めて主要排出国を含めた、つまり中国、インドを含めた全体のある種の意思統一が図られたわけであります。この点については、昨日我が省を訪れましたイタリアの経済大臣から、極めて画期的なことだと、初めて京都議定書に入っていないチーム、先進国で言えばアメリカ、途上国で言えば中国、インド、これが入った地球温暖化に貢献する合意が史上初めてできたということで、これは特筆すべきものだという絶賛がイタリアの大臣から昨日もありました。

 原子力も含めて、青森宣言をイタリアのG8エネルギー大臣会合では、『青森宣言』をフォローアップする会合としたいということも言われました。極めて評価が高かったわけであります。

 ここでは、『青森宣言』として発出したことをエネルギー面からも具体的な対応策を中、印、韓も含めて合意した画期的成果だと考えておりまして、サミットに向けた重要なインプットになるものと考えております。

【質疑応答】
【地球温暖化対策】
Q: 総理が昨日、温暖化について日本記者クラブで会見しまして、この時期に総理がああいう方針を示すことについて、またそもそも昨日のお話になった内容について大臣なりにどう見ていらっしゃるか、伺いたいのですけれども。

A: 日本は現状でも一番環境負荷の少ない経済の国だということが一つです。

 それから加えて、取り組む姿勢は明確にあるのだということ、さらに我々はそうした姿勢が具体的な作業と結びついていると。つまり良い格好の宣言だけして具体策は何もないというのではないという3点を表明されているのではないですか。そういう点では、私は読んでみましたけれども、説得力のあるものだというふうに思います。

 それから、排出量取引についても、ハンドリングを誤ると石油先物の二の舞になりかねないということですよね。つまり金融の餌食にされないように、実証実験が大事だということをおっしゃっているのではないでしょうか。どこにどういう問題があって、制度設計にはこの点をきちんとできなければ、むしろ弊害になってしまうということを冷静に分析されているのではないでしょうか。

 原油はついこの間まで20ドルでした。覚えていらっしゃると思いますが、いま140ドル、あっという間に7倍です。これはまさに投資・投機の部類でしょうけれども、それが殺到することによって、油価を引き上げていって、それが実物取引に反映しているということはご存じのとおりです。

 投資・投機資金というのはいま300兆の規模ですが、5年以内に1, 000兆になります。お金が物すごく膨らむわけです。市場は商品の市場が幾つかありますけれども、大どころで言うと石油、それに二酸化炭素ができるわけです。ハンドリングと設計を誤ると、トン当たりいま3,000円とか4,000円と言われているものが3万円、10万円になるのはあっという間ということだってあります。

 誰が買って誰が売るのか、そういう公平公正な基準というのもまだできていません。その辺をきちんと検証しないと、市場だけ先走るととんでもないことが起きるぞということは確かでありますから、その辺を冷静に分析したお話ではないでしょうか。

Q: 多くの企業の参加の上でというふうに総理はおっしゃったと思うのですけれども、そういう意味では実証実験は経済産業省としても協力を。

A: 何が問題で、どういう点が確保されることが絶対必要条件だということ等を検証することは、極めて重要なことだと思いますけれども。

【地球温暖化対策】
Q: 福田さんが昨日おっしゃっていた排出量取引の実験の部分で、どういうものなのかというのがいまいちイメージできないのですけれども、大臣はどういうものだというふうにお考えですか。

A: だから、自主行動計画とか、京都議定書の枠内でのこともありますよね。それでいろいろ試行錯誤的にやっていって、問題点の洗い出しに資するというのが一番良いと思うのですけれども、まだ方程式はできてないのですよね。EU−ETSなどすでに始めたものについては、これはサボったものほど得するというやり方で、EU自身からおかしいという話が頻発してしまっていますから。


 それから、排出量取引の話が出ましたけれども、サブプライムとか排出量取引の商品化ビジネスについて、日本の関係者でアメリカのアドバイザーをやっている原さんが書いていることがちょっと参考になる記事だと思いますから、よければ読んでください。


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posted by おぐおぐ at 02:22 | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月14日

本日の甘利経済産業大臣発言録・温暖化編その5

甘利経済産業大臣の閣議後大臣記者会見の概要
http://www.meti.go.jp/speeches/index.html
 から、最近の発言を逆順に掲載しておきます。

●平成20年5月13日(火)
9:28〜9:46
於:参議院別館経済産業省控室
(質疑応答)
【地球温暖化対策】
Q: 温暖化対策の関係ですが、福田総理が6月の前半にも日本としての取り組み方針、福田ビジョンを表明されるという方向になっておりますけれども、その中で日本としての独自の長期目標を策定するというアイデアもあるようですが、こういった日本独自の長期目標をそういった日本の福田ビジョンの中に盛り込むということについて、これは関係閣僚会議も近く開かれるということのようですけれども、大臣としてはその点についてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。

A: あの話が何で出てきたのか、よくわからないのです。福田ビジョンがいつどういう内容で出るかということは、まだ承知をしておらないですが、長期目標について、当然いずれかの時期で、中身については承知しておりませんけれども、発出するというのは、必要に迫られてくると思いますが、それは全体を見ながら戦略的にやっていくものでありますし、それはきちんと、いろいろと各国の状況を勘案しながら、国益と国際益を踏まえて、対応をとらえて、中身とタイミングはそういうことを踏まえてやっていくと思いますけれども、政府として正式にまだ出てないでしょう。

Q: まだこれからの議論、まさにこれからだと思いますけれども。

A: 承知してないのですけれども。

Q: このサミット前の6月というのは、いまの中国とかインド、それから米国などの状況を見ても、まだ打ち出すタイミングとしては早いというご認識ですか。

A: と思いますけれども。まだ1人だけ先に走ってみても、要するに世界を巻き込むということとその中でどう日本のプレゼンスを発揮するか、もうちょっと戦略的に考えた上で対応すべきだと思いますけれども。ただあれは政府としてまだ正式に出てないのではないですか、一部報道されましたけれども、どこから出たのか、よくわからないのですが。

Q: もう一つの論点で、排出権取引の導入なのですけれども、これも経済産業省、環境省の研究会でも議論されていますけれども、この排出権取引を導入するということをサミット前に打ち出すと、この点についてはいかがですか。

A: いま日本がやるべきプライオリティナンバーワンは、セクトラルアプローチがこれだけ世界中の支持を得つつあるのですね。これをきちんとフィックスさせる、コンクリートさせることがプライオリティナンバーワンです。それに伴って、いろいろな手法を並行的に検討していくということであって、どうも報道自身も日本がいまどういう位置にあるのかということを踏まえて、理解をいただきたいと思うのですけれども、公平、公正なベンチマークをどうつくるかということがいま一番大事なことなのです。誰にも文句をつけられない基準をまずつくるということが大事なのです。その基準づくりの上で、いろいろな手法がのってくるのであって、縦軸、横軸ができてないのに、他の数値だけが先走りするということは、別に日本にとって不幸というのではなくて、世界にとって不幸なことなのです。つまり後で文句がつきやすい余地を残すと。だから、縦軸、横軸をしっかり定めて、これがいかに公平、公正であるかということの認識を共有した上で、その基準点の上にいろいろな手法が乗っかるわけですから、セクトラルアプローチというのは、まさに新しい基準点、公平、公正な基準点を求める上で文句がつけようがないという認識に少しずつみんななっているのです。アメリカはもとから大賛成でしたけれども、EUでも評価すべきだということになって、途上国の代表になる南アが評価して、インドも理解が進んで、中国は日中会談で評価すると言っている。どんどん世界が日本提案の世界標準にのってきているのですから、こんなにリーダーシップをとれたということもそうそうあることではないですから、これをしっかり固めるということが大事だということは、国外が認識しつつあるのですから、国内でもみんなで是非、共通認識を持ってほしいなと思うのです。

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2008年03月23日

本日の甘利経済産業大臣発言録・温暖化編発言録その4

甘利経済産業大臣の閣議後大臣記者会見の概要
http://www.meti.go.jp/speeches/index.html
 から、最近の発言を逆順に掲載しておきます。

●平成20年3月21日(金)
9:50〜10:15
於:記者会見室
【地球温暖化対策】



Q: 先般、長期エネルギー需給見通しが需給部会で了承されましたが、2020年度の温室効果ガスを90年比で4%、05年比で11%という最大ケースでの試算なのですけれども、この数字をどのように評価なさいますでしょうか。



A: エネルギー起源のCO2排出量見通しというのは総合エネ調の需給部会がいろいろなケースで需給状況を見通すわけです。極めて冷静に3つのケースを想定したということです。現状固定ケースというのは新しい技術は何も入れないという、現状のまま推移するというケースです。努力継続ケースというのは家電、自動車の、トップランナーを引き続き進めていくとどうなるか、あるいは住宅の基準を入れるとどうなるか、というのが真ん中の努力継続ケースです。最大導入ケースというのはあらゆる技術、法制度の整備、改正、グリーンIT等あらゆる分野に対してすべての技術を投入した場合のケースです。我々は最大導入ケースに向けて進んでいかなければならないと思いますし、最大導入ケースで言いますと、2005年基準でマイナス11%、EUは2005年基準でマイナス14%と言っています。我々がこれに森林吸収、これが現状で3.8%ですが、2005年度に向けて分母が広がっていくのを考えると3.2%位になるはずですが、これを入れると14%以上になりますので、EUの掲げている目標と同じということになるわけであります。従って、かなり立派な数字だとは思います。なお、EU自身がG20の後の月曜日の高級事務レベル日・EU協議の中で基準年については1990年が聖域ではないと。新しい域内指令というのは2005年を基準としているのだということもEUがおっしゃっていますから、日本が今日まで全員参加と、そのためにはまず公平・公正な基準が必要だと、そういう意味でトップランナーというのは公平・公正、つまりベンチマークに基づいて行うものですから、進捗状況のいかんにかかわらず公正・公平な基準であるということ。基準年について、各国の努力が反映されたものを基準年とすべきということを言ってきましたが、その2点について、ようやくEU側の委員から前向きな評価を得つつあると、高級事務レベル協議では向こう側から域内指令は2005年に基づいたものですよという発言もありましたし、セクトラルアプローチについては貢献し得るアプローチだという評価もようやく出てきましたので、我々の努力は実を結びつつあるというように思っています。そういう意味で2005年基準にすると最大導入ケースというのはちょうどEUと同じ数字になるということであります。

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2008年03月21日

経産省手抜き試算でG8サミットの足を引っ張る

日経:温暖化ガス排出量、省エネ進めば20年度に11%減・05年度比
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080319AT3S1802218032008.html

 かつて経済産業省さんは、1994年頃には2000年までに90年比0%削減すると公約しておりました。(できなければCCSを実用化してでも達成する、と啖呵を切っていた兄ちゃんもいました)
 京都議定書の中97年には、2010年頃の5年間平均で毎年、90年比6%削減と公約しておりました。
なのに、90年比8%くらい拡大している05年基準で11%削減し、 2020年になってようやく90年比では4%削減できます、という数字を、努力すればここまで可能です、と出しててよいのでしょうか。
 対策の中身が高価なものばかりならべていること、原発増設で対応するという、できもしない##の一つ覚えがまだ残っていることには反対ですがそれはさておき。


●費用について

”排出量を減らすために企業や家計が払うコストは08―20年度の累計で52兆円にのぼる。”
と書いていますね。だから大変なんだよーと言いたいのでしょう。

ロイター通信:Japan can cut emissions 11 pct by 2020-Trade Min
http://www.reuters.com/article/latestCrisis/idUSL19673300

ウォールストリートジャーナルにも記事が出ています。
In Kyoto’s Home, Japan Tallies the Costs
http://blogs.wsj.com/environmentalcapital/2008/03/19/in-kyotos-home-japan-tallies-the-costs/?mod=googlenews_wsj

 特筆すべきことはWSJの記事の中で引用されているロイター電にしても、削減できるコストは含まれていないことをきちんと指摘していることですね。
"Granted, the study didn’t try to account for possible cost savings from greater efficiency, and based its estimates on present technology"

 一般に、省エネばかりではなく代替エネルギーにしても費用対効果評価で重要なのは、化石燃料の消費を回避することで浮いた費用で初期投資に使った費用を早期に回収することができる点です。
 その規模をざっと試算してみましょう。続きを読む
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2008年03月13日

日本は政策のラストランナーから急いで変われ−浅岡氏

2月25日参議院行政監視委員会のテープ起しの続きです。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/generator/meta_generator_wmv.php?sin=2509&on=1204725906&si=c08ccce2a8236f1bd3339410c29cf6e42&ch=y&mode=LIBRARY&un=53f3be2ce87801610544fbede2c1b24e&pars=0.24770566982282904

加藤修一委員長:
参考人の出席要求に関する件について。
本日の委員会に参考人として、京都大学准教授諸富徹
気候ネットワーク代表浅岡美恵
山根参考人

22分より

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浅岡参考人

 (自己紹介)

 浅岡でございます。環境NGO気候ネットワークの代表をしておりますが本業は弁護士でございます。

 気候ネットワークと申しますのは10年前、97年の京都議定書が採択されました国連の会議の成功のために日本の市民が気候フォーラムというものを立ち上げまして、私もそこに関与いたしまして、京都議定書は採択されましたけれども、その後の、これを発効また高めていくと実施をしていくという課題が大きいと思いまして気候ネットワークという名前にしまして市民の活動を継続しております。私はいまその代表という立場にございます。

 こうした活動に加えまして、私どもはいま気候ネットワークが情報公開の請求主体になりまして、省エネ法の定期報告に基づきます排出量の経済産業省への報告状況の開示請求をいたしまして、非開示が相当ありましたのでそこについて訴訟を提起しております。
 けして国に敵対するという趣旨ではございませんで、私も中央環境審議会などの委員に加えていただきました、審議の基礎となる情報が充分ではないと痛感いたしましたので、私ども自身で開示請求をしているところでございます。
現在最高裁と東京高裁に継続しております。その整理いたしました一部がみなさまに配布いたしました、昨年10月23日のエコノミストの資料でございます。

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posted by おぐおぐ at 02:34 | TrackBack(1) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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