2009年02月04日

イベント案内:2/23国内排出量取引・国内クレジット制度シンポ

MLより転載。

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             シンポジウム

          温室効果ガス削減のための
 国内排出量取引・国内クレジット制度の役割を、企業事例を通して考える
      〜気候変動政策深化と企業戦略策定のために〜

      主催:「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
    協力:日経BP環境経営フォーラム / 日経エコロジー
       持続可能な発展のための日本評議会(JCSD)事務局

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 米国のオバマ新大統領は、1月26日、自動車排ガス規制強化などの環境対策と連動して、気候変動問題について「米国は世界を主導する用意がある」と表明した。大統領は、国内排出量取引制度の導入方針も示しており、連邦議会でも議論が活発になされている。

 こうした米国の変化とともに、EUでは域内排出量取引制度がすでに導入されている状況において、日本でも国内排出量取引制度の試行が始まることとなった。
昨年10月21日に「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」の募集が開始され、12月12日までに試行的実施に501社の企業の参加が決まった(参加募集は継続中)。
これは、産業部門のCO2排出量の7割を占めることになる。

 国内クレジット(CDM)制度も、これまで自主行動計画ではカバーされなかった中小企業等の取り組み推進に対し、大企業等が協力しつつ、既存の環境・省エネ技術等を有効活用しながら、地域経済の活性化がはかられるという可能性を秘める等の理由から、仕組みが構築され、すでにスタートしている。

 しかし同時に、次のような問いも生まれてきている。
・国内排出量取引制度・国内クレジット制度は、温室効果ガスの削減にどこまでつながるのか。
・金融不況が深刻化し経済・雇用対策が急務となっている状況で、こうした制度・手法は経済・雇用面でも有効なものとなりうるのか。
・過度なマネーゲームを回避し、実体経済を活性化することにつなげられるのか。
・企業や個人のコスト負担は公正・適切なものとなるのか。
・地球益と国際競争/企業間競争との双方を考慮しなければならない企業の経営方針・戦略に、こうした制度・手法はどのように役に立つのか。
・この制度・手法はポスト京都の国際枠組み構築の交渉に役立てることができるのか。

 これらの問いにこたえる第一歩として、現段階の成果を評価しつつ、制度の開始に至る過程から導き出される教訓を分析し、今後の課題を明確化しておくことは重要である。そして、その分析内容は、今後の政策の深化と企業関係者等の経営戦略立案に、役立てていただけるものとなるだろう。また、政策形成と企業戦略構築には、幅広いセクターからの意見の収集も重要であり、新たな参加型プロセスを試行していくことも課題となっている。

 このような意図をもって、本シンポジウム開催を企画した。是非、多数の皆様にお集まりいただけますように願っております。

【日時】2009年2月23日(月) 18:30〜21:30

【プログラム(予定)】<以下、敬称略>

 ●基調報告/問題提起
 「排出量取引の国内統合市場の試行的実施及び国内クレジット〈CDM〉制度の現状報告と今後の課題(仮題)」
   経済産業省大臣官房参事官(環境経済手法担当) 藤原 豊

 ●取組事例報告
 「企業の取組事例1(仮題)」
   東京電力(株)環境部長 影山嘉宏
 「企業の取組事例2(仮題)」
   新日本製鐵(株)環境部長 山田健司
 「企業の取組事例3(仮題)」
   (株)リコー社会環境本部エグゼクティブスペシャリスト 則武祐二
 「企業の取組事例4(仮題)」
   (株)ロ−ソン執行役員・CSR推進ステーションディレクター 篠崎良夫
 「企業の取組事例5(仮題)」
   (株)山武ビルシステムカンパニーマーケティング本部部長 福田一成
 「企業の取組事例6(仮題)」
   丸紅(株)金融・物流・新機能部門ビジネス開発部長 生駒 誠
                                ほか

 ●意見交換
 〈論点案〉地球温暖化政策深化の可能性と企業戦略の方向性
 〈パネリスト〉報告者
 〈司会〉日経BP環境経営フォーラム事務局長 深尾典男
     「環境・持続社会」研究センター(JACSES)事務局長 足立治郎

【ご参加いただきたい方々】
 ・政策担当者
 ・試行排出量取引制度・国内クレジット制度に参加(を検討)している
  企業関係者
 ・自らの温暖化対策強化を検討している中小企業関係者・事業者・
  (地域で活動している)NGO関係者
 ・温暖化政策提言に取り組む企業・NGO関係者
 ・研究者
 ・メディア
 ・その他温暖化問題/政策形成/企業戦略等に関心をいだく市民 等

【会場】ベルサール九段 3階 ROOM1・2
     http://www.bellesalle.co.jp/bs_kudan/event/access.html
     〒102-0074東京都千代田区九段北1-8-10住友不動産九段ビル
     TEL:03-3346-1396
     <交通アクセス>
     「九段下」駅「5番出口」徒歩5分(半蔵門線・新宿線)
     「九段下」駅「7番出口」徒歩3分(東西線)
     「神保町」駅「A2出口」徒歩6分(半蔵門線・新宿線・三田線)
     「飯田橋」駅「A5出口」徒歩7分(JR線・有楽町線・南北線・
                     東 西線・大江戸線)
     「水道橋」駅「西口」徒歩8分(JR線・三田線)
     ※駐車場はありませんので、交通機関をご利用いただきますようお願い致します。

【参加費(軽食代を含む)】2,000円(JACSES賛助会員:無料、サポーター:半額)

【お申し込み】
 「09年2月23日イベント参加申し込み」と明記の上、
 次のJACSESウェブサイト・参加フォーム
 (http://www.jacses.org/form/form_event.html )から、
 もしくはFAX:03(3556)7328宛てに
 「お名前」「ご所属(勤務先・学校など)」「返信のためのご連絡先」を
 明記の上、お申込みください。

 特定非営利活動法人「環境・持続社会」研究センター(JACSES) 担当:足立
 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋2-3-2 三信ビル401
 TEL:03-3556-7323 FAX:03-3556-7328 E-mail:jacsesアットマークjacses.org

 ※本シンポジウムは、「環境再生保全機構地球環境基金」の助成を受けて行なわれます。

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2008年10月22日

自主行動計画を取引化するバカ

 いわゆる日本型の排出権取引「試行」が、制度の失敗を確認するためのテスト期間となったことについて、環境NGOからの失望の声が出ています。

どうしてこう後追いでの制度導入すら失敗するんでしょうね。

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                           2008年10月21日
                     浅岡美恵 気候ネットワーク代表

「経団連自主行動計画の取引化」ではなく、
国際社会に通用する国内排出量取引の制度議論を直ちに開始すべき

何のための試行か

 政府は21日、地球温暖化対策推進本部において、「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」を決定し、参加企業の募集を開始した。6月に福田ビジョンにおいて提起され、7月29日の低炭素社会づくり行動計画で10月を目途に試行的実施を開始するとされたものである。これをもって「国際的なルールづくりの場でのリーダーシップの発揮につなげる」としている。
しかしながら、本試行は排出削減を目的とせず、また削減を約束するものでもない。取引制度の必要性を否定する経団連の主張をそのまま受け入れ、自主行動計画の名前を「取引」と言い変えたに過ぎない。しかも、これを2012年まで継続させることで第1約束期間に国際標準のキャップ&トレード型の排出量取引制度の導入を阻止しようとするものである。これでは、日本が温暖化対策でますます世界から取り残されるだけでなく、世界に日本への失望感をさらに高めるであろう。このような「試行」に時間を浪費するのではなく、直ちに真に世界に通用する本格的国内排出量取引制度の制度設計のための議論を広く行うべきである。

取引制度の目的は総量での大幅かつ確実な排出削減

2005年に取引制度を導入したEUに加えて、米国の北東部の州で今年から実施段階に入り、オーストラリアでも2010年の実施に向けての制度準備が進められている。いずれも、2020年の大幅削減の準備、さらには2050年までに世界で半減し、先進国がそれ以上の大幅削減を行っていくために、国内での総量での大幅排出削減の中核的制度として導入しているものであって、政府がCO2など温室効果ガスの排出主体に、直接排出による総量での排出上限枠を定めて行うキャップ&トレード型排出量取引制度である。
しかし、わが国がようやくこれから行おうとする本試行では、中心をなす大口排出事業者についても参加を義務付けるものでなく、間接排出によるもので、原単位目標の選択も可とし、かつ目標数値自体を企業が任意に設定することを可としており、経団連自主行動計画と大差ない。その条件といえば、指標を任意に選ばせて単に「直近の実績以上」というだけであって、現状維持でよく、結果として排出を削減させようとするものではない。基準年も目標年も2012年まで任意に設定し、中小企業や農林業、民生部門まで拡大して目標達成に利用できるクレジットを認めようというものであるから、経団連自主行動計画よりも企業に甘い仕組みと解することもでき、自主行動計画の目標達成を免れようとするものにもなりかねない。
この目標の妥当性について、「政府が審査・確認の上、関係審議会等において評価・検証を行う」とするが、あくまで原単位目標であれ総量目標であれ、排出を削減させる保証もなく、現状を上回らなければよいとするものであるから、実質的な審査はなきに等しい。業界団体での参加も排除しておらず、鉄鋼連盟の参加などが取り沙汰されている。検証、目標達成の確認も従来の自主行動計画のままであり、自主行動計画参加の企業は排出枠の売却の場合のみ第三者機関の検証を必要とするもので、本試行による自己内で達成できる目標を設定し、野心的な目標を設定した上で削減が不足した時の「売買」は基本的に期待していないことを示唆したものである。自主行動計画の目標達成を助けるための"ノーキャップ&微トレード"のスキームが、排出量取引の試行との名のもとに行われようとしている。これではマネーゲームになりようがなく、排出削減とは無縁の証書ゲームというほかない。

フォローアップすべきは、本来の取引制度に不可欠の要素

 本試行の実施のフォローアップにおける項目・スケジュールとして掲げるところは、本試行の目的や目標設定などにみられる根本の欠陥を見直す意思がないことを示している。本試行を通して本来の取引制度導入を阻止しようとするものといわざるをえない。「技術とモノづくり」には削減義務化で省エネ投資の抜本強化を促すことこそが有効で、対策先送りは日本の「技術とモノづくり」の障害になりかねない。いずれ、わが国においても、国際社会に通用する取引制度の導入は不可避である。2012年までこのような試行的実施を前提としているが、大口排出企業が直接排出量について総量での削減目標を政府が設定して行う国際標準のキャップ&トレード型の取引制度の導入に不可欠の排出枠の設定や検証システムなどの実施のための議論や試行を先送りさせ、結局、米国も含めた国際社会の取引制度の流れのなかで日本に真に必要な試行の機会を失わせることになる。

科学の要請に応える中期目標の設定が出発点

 2009年末のCOP15(コペンハーゲン)での次期枠組み合意に貢献し、国内排出量取引制度の制度設計議論を加速するためにも、日本の中期目標の設定がまず必要である。中期目標設定には、英国の気候変動委員会のように専門的委員によって構成され、バリ合意のもとで、日本がどう役割分担をしていくのかが検討されるべき第一の課題である。政府は20日、来年のしかるべき時期に目標を決定するための「中期目標検討委員会」を地球温暖化問題に関する懇談会の下に設置した。しかし、検討事項に挙げられた日本版セクター別積み上げ方式は、産業構造や燃料転換に踏み込んでおらず、現状技術の最大普及を目指すものでもなく、それをもって中期目標を定められるものではない。中期目標の設定は透明なプロセスにおいて、その削減ポテンシャルの試算を公表し、あわせて科学からの要請を受け止め、対策実施によるエネルギーコストの削減額はもとより、省エネ産業や再生可能エネルギー産業による経済成長と雇用の拡大も総合して、2020年の目標を1990年比25〜40%削減の幅で、野心的に設定するべきである。

問い合わせ:気候ネットワーク TEL:090-2114-4551(浅岡携帯)
TEL:03-3263-9210、FAX:03-3263-9463(東京事務所)
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平成20年10月21日(火) 地球温暖化対策推進本部(第22回)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/081021/gijisidai.html

※1:「低炭素社会・日本」を目指して
http://www.kantei.go.jp/jp/hukudaspeech/2008/06/09speech.html
※2:低炭素社会づくり行動計画
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/080729/honbun.pdf
※3:排出量取引の国内統合市場の試行的実施について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/2008/1021.pdf続きを読む
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2008年06月14日

ご乱心!電事連会長

排出量取引でCO2削減「ほとんど幻想」 電事連会長
http://www.asahi.com/business/update/0614/TKY200806130347.html?ref=rss


 ”電気事業連合会の勝俣恒久会長(東京電力社長)は13日の会見で、「市場メカニズムだけで二酸化炭素(CO2)削減をなんて言うのはほとんど幻想に近い」と述べた。福田首相が、低炭素社会実現のために自ら示した包括提案に、市場メカニズムを利用する「排出量取引」を盛り込んだことへの批判とも受け取れる発言だ。”

 キャップ&トレードの排出量取引というのは、ある意味では、公害時代の実績のある直接規制「総量規制」と、その経済的な手法による緩和策であるトレード「排出枠の取引」の組み合わせです。
 「市場メカニズム」だけ、ではないし、「直接規制」だけでもないんですよねー。

「市場メカニズム」がいやなら、その代替案としては「トレードなしの直接規制」がやってきます。
 どっちがいいのか、分かってないから、「ご乱心」。


 ”排出量取引については、日本鉄鋼連盟も(1)海外からの排出枠の購入で資金が海外に流出し国益を損なう(2)国内の製造業が発展途上国に生産拠点を移すだけで、地球規模でみるとCO2の排出は逆に増える、と批判している。”

 という趣旨も書いていますが、それこそ関税を環境対策名目で働かせて、国外に出た日本企業からの輸入品に関税を掛けて規制すれば済む話です。
 安い石油時代の終焉=石油価格の天井知らずの高騰と共に、自由貿易の時代が終りを告げているからには、その時代に合わせた産業構造、貿易構造に変えていく必要があります。WTOのラウンドも一旦ご破算にして、新世界秩序が決まってきてから再交渉すべきでしょう。

●リンク
「世界の高齢者」編集者のブログ:原油価格が1バレル200ドルになると
http://d.hatena.ne.jp/wanbi/20080528#1211961123
 ”原油価格が200ドルになると輸送コストは増大し、過去30年続いた自由貿易の流れはストップする。
長さ12メートルのコンテナー1基を上海からアメリカヘ運べぱ、00年にはわずか2000ドルだった費用も1万5000ドルもかかる。”
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2008年05月28日

並走する国内排出量取引の検討その2

記事「アタフタと乱立する政府の審議会・懇談会」
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/13388.html
のその後の経過報告を。

●環境省
国内排出量取引制度のあり方について中間まとめ
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/seido_conf/index.html
が一番早くに出来上がっています。4種類の方式について提案しています。

国内各地で行った公開ヒアリングの際の参加者アンケートはこちら。
国内排出量取引制度等に関するアンケート


●首相官房
 福田首相の肝いりで作られた官邸の温暖化懇談会では、第4回 平成20年 5月26日というのがあったばかりですが、国内排出量取引を含む議論を早急に取りまとめるはずが、激しい産業界の抵抗で止まっているようです。

後日記:
 7月29日の地球温暖化対策推進本部でまとめられた『低炭素社会づくり行動計画』の中では、以下のように決まっています。
”1 排出量取引
 本年秋に、できるだけ多くの業種・企業に参加してもらい、排出量取引の国内統合市場の試行的実施を開始する。
 その具体的な仕組みについては、京都議定書目標達成計画や、同計画に位置付けられている自主行動計画との整合性も考慮しつつ、参加企業等が排出量や原単位についての目標を設定し、その目標を達成するに当たり各種の排出枠・クレジットの売買を活用できる仕組みを軸に、既存の制度や企画中の制度を活用しつつ、できるだけ多くの業種・企業に参加してもらうことを念頭に、制度設計を進めることとする。目標設定の方法、取引対象とする排出枠・クレジットの種類、排出量のモニタリング・検証方法等の検討課題について、関係省庁から成る検討チームにおいて、2008年9月中を目途に試行的実施の設計の検討を進め、10月を目途に試行的実施を開始する。
この試行的実施の経験をいかしながら、排出量取引を本格導入する場合に必要となる条件、制度設計上の課題などを明らかにしていく。”


●経済産業省産業技術環境局長の研究会
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/k_6.html
より過去の資料などが見られます。
 5月20日の研究会で出されている報告書案骨子
http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g80520a01j.pdf
が現状のまとめといえるものかと思います。
 2013年以降のこととしての、やる気のないまとめにしか過ぎません。
 経済産業省は本当に歴史的役割を終えてしまったんだなー、という感慨が出てきます。

後日記:
地球温暖化対応のための経済的手法研究会中間報告
http://www.meti.go.jp/report/data/g80725bj.html
という形のものがひっそりと出ています。続きを読む
posted by おぐおぐ at 06:12 | TrackBack(0) | 排出枠/排出権取引 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月23日

もう一つの排出権取引システム−TEQ

もう一つの排出権取引システム−TEQ。
Tradable Energy Quota(TEQ)については、
http://www.teqs.net/
に詳しく書かれています。

ブログ:経済ニュースゼミ の中でも紹介をしていただいています。
気候変動への対応
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/50559515.html

 ここでは取引可能エネルギー割当てと訳しています。


ジョージ・モンビオの本「地球を冷ませ!」
http://sgw1.seesaa.net/article/127880522.html
の中でもTEQを紹介していますので、以下に引用しておきます。

P.102 
第3章 「炭素排出」という自由の配給
−−−続きを読む
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2008年03月09日

末吉竹ニ郎氏の週刊東洋経済寄稿論文

 タイムリーな論文が出ていますね。

週刊東洋経済08年3月1日号より
寄稿論文:どうなるポスト京都議定書
(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください。)
EUが排出権有償化 日本企業も対策急務
末吉竹ニ郎
では、1月に発表された欧州連合の新制度提案を紹介しています。

 そして2013年〜20年のEUETS第三期について、排出権をオークションで初期配分する計画を「有償化」として、画期的なことと評価しています。

”05年1月に始まった欧州・排出量取引制度の下で、「空気はもうタダではない」ことは理解したつもりのEUの産業界も、これにはさすがに驚いたはずだ。12年までは排出権は過去の実績中心に、対象企業に「無償」で配分される。排出が上回れば罰金(100ユーロ/トン)の制裁が科される仕組みになっている。
しかし、13年からは、オークション(入札)で必要な排出枠を購入しなければならない。当初は無償配分も残るが最終的には消える。過不足が出た場合、欧州・排出枠取引制度の枠内で調整する。つまり排出権が「タダ」で手に入る時代は、事実上終わったのだ。”
としています。

 実際にはある意味、炭素税に近づけるようなものではあるのですがその価格自体もオークションの結果決まるので定まってはいないという点が異なるでしょう。
 また、
”有償化がもたらす国家収入が、産業構造を戦略的に組み変える財源にもなりうる。”
わけです。

 温暖化は企業経営の今そこにあるリスク、では”「海図なきまま国際競争という荒海で航行する」日本の企業は、無謀といっては言いすぎだろうか。”という忠告を日本企業に対して愛情深くこんこんとしています。
posted by おぐおぐ at 20:53 | TrackBack(0) | 排出枠/排出権取引 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

欧州の排出権(量)取引=自由市場戦略

姉妹ブログ「京都議定書の次のステップは何だろう」
より以前作った記事をコピーしておきます。

初出2005年11月2日

欧州の排出権取引=自由市場戦略

 豪キャンベル環境相の長い長い回り道ではない道についての欧州の方針を紹介します(あまり明確ではないですが)。
 
 排出量取引については以前、
ロシア政府、排出量取引でホットエアを売却しないと言明 と
「米北東部9州に排出権市場協定導入」in NY Times で紹介したことがあります。

 半月ほど前の記事になりますが、2つ部分訳をして紹介します。
Europe adopts free-market strategy on global warming「欧州は地球温暖化対策に自由市場戦略を採用」
http://www.montereyherald.com/mld/montereyherald/news/world/12983598.htm
http://www.grandforks.com/mld/grandforks/news/world/12983598.htm
BY KEN DILANIAN Knight Ridder Newspapers
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ロ−マ発
 発効から7ヶ月経ち、欧州は温室効果ガス排出を削減するというキョウト条約の要求を満たすように経済を転換しつつある。その努力の中心には、当初欧州が抵抗した、米国発の自由市場アプローチ(汚染する権利の売買)が用いられている。
 クリントン前大統領がキョウト条約の中に導入した"キャップ&トレ−ド"システムとして知られる取引は当初酸性雨対策に米国で用いられた。
(…ブッシュ政権成立で米国が退いたのは皮肉なことだ云々…)

 本年1月のEU域内排出枠取引開始から9ヶ月たち、アムステルダムにある欧州炭素取引所は、累計5千万トンの取引が成立したと発表した。1トンの炭素を排出する権利の価格は当初約10$だったが最近は27.6$と健康的な市場となっていると言われる。(ポイントカーボン社の10月31日付け発表

によると、EUAの価格は22.05ユーロだそうです)

 EUのプログラムはキョウト排出量取引システムのさきがけとなっている。

 米国のビジネスリーダーを含む多くの専門家は、一旦米国も気候変動対策に関わることになれば、強制的な排出権取引が米国の生活の一部となるだろうと信じている。すでにいくつかの米国企業とニューメキシコ州が自主的市場に参加している。
 8月には北東部の9つの州政府が目標値の緩い別のキャップ&トレードシステムに合意している。
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EurActiv.com:EU calls for "global carbon market" after 2012「欧州、2012年以降は"グローバルな炭素市場を"求める」
http://www.sustain-online.org/plugins/DocSearch/details.asp?MenuId=ODQ&ClickMenu=RightMenu&doOpen=1&type=DocDet&ObjectId=MTY4MTY
http://www.euractiv.com/Article?tcmuri=tcm:29-146011-16&type=News
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 10月17日、EU環境大臣はポスト2012(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください。)の地球温暖化のグローバルな対話の戦略会議を持った。現在ある政策を用いて公約を達成すると繰り返したが、2012年以降の行動のための方針を決めることはできなかった。
 大臣たちは「地球規模の将来の気候変動戦略は、技術革新を推し進めるプッシュ(技術R&Dと投資)とプル(炭素市場など)の政策の最適なミックスであるべきだ」と語った。
 CDMを効率的に行なえるようにする合意をする議長の努力への支持では合意している(CDMは先進国企業の途上国への省エネ投資にクレジットを付けるもの)。
しかし2050年はおろか、3月の首脳会議で合意した2020年の削減目標についてもEU25カ国の大臣たちは言及していない。
しかし彼らは気候変動に対処し、地球平均気温を工業化以前のレベルから2℃上昇未満に抑えるという公約を再確認した。この野心的な目標のためにはより多くの行動が必要だ、といい、飛行機燃料の排出を欧州排出枠取引スキーム(EU ETS)に含めるとの欧州委員会による提案について言及した。

 グリーンピースは「欧州の気候変動に取り組むとの公約を裏書した」環境理事会の「多くの前向きな要素」を歓迎したが、「ポスト2012についての文書はあいまいで、完了の明確な期限付きで交渉を進めることの緊急性を無視している…」と付け加えた。
−−−−

 この同じ話について、日経エコロジーの記事でも紹介されていました。
EU、ポスト京都に世界規模の「炭素市場」提案の方針
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/eco/404996


後日注:
 いかにも、説明が不十分ですので、京都議定書の中で作られた国際排出量取引(IET)とEU域内排出枠取引(EU-ETS)、さらに一般的な国内排出量取引(DET)の3者の関係について説明を補足しておきます。続きを読む
posted by おぐおぐ at 17:35 | TrackBack(0) | 排出枠/排出権取引 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月08日

アタフタと乱立する政府の審議会・懇談会

 G8洞爺湖サミットの日程は、7月7日から9日の3日間です。
アフリカ諸国を初日に招いてアフリカ支援の特別会合を開くそうです。
2日目にはG8主要国による首脳会議、そして最終日には気候変動問題を討議する拡大会議を行うということで、日本の次期交渉の姿勢をこのサミットまでには決めるつもりでしょう。


 そして、日本政府の中の動きは、内閣官房が開く懇談会、経済産業省の下の研究会、そして環境省の下の検討会とプロジェクトチーム(詳細不明)の計4つのルートで、おなじく国内排出量取引の制度、あるいはその他の制度推進について日本の姿勢を決めようと相次いで3月の5,6,7日に初会合が開かれました。

●首相官房
「地球温暖化問題に関する懇談会」
3/5第一回会合の議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/dai01/01gijisidai.html

読売3/5:排出量取引の是非議論、地球温暖化懇談会が初会合
> http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080305-OYT1T00329.htm

●環境省
自主参加型国内排出量取引制度検討会(第1回) 議事次第・資料
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/seido_conf/01/index.html

「国内排出量取引制度検討会」(第2回)開催案内(ここですでに名前が変わっています)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9404

追記:
同・検討会のページ
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/index.html#c09

読売:排出量取引制度の設計、環境省が着手
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080306-00000061-yom-soci

産経:日本独自にルール作成 環境省が排出量取引検討会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000060-san-bus_all

●経産省、産業技術環境局長の研究会
「地球温暖化対応のための経済的手法研究会」について
http://www.meti.go.jp/press/20080229006/kenkyukai.pdf

追記:
地球温暖化対応のための経済的手法研究会(第1回)  配付資料
http://www.meti.go.jp/committee/materials/g80307aj.html

時事通信:地球温暖化対策の研究会初会合=経産省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080307-00000002-jijp-bus_all.view-000

 うーむ、この乱立のパターンは、COP3の前にも見たような…。
結局なんにも決められないで、政治のリーダーシップの欠如を世界に曝してしまうんですよね。

 ジョージ・モンビオの本Heatにあった金言を紹介しておきます。
”各国政府は政治的な犠牲を最小限に抑えながら、人間への影響には目をつぶり、このまま何もしない方針をとり続けるだろう。”
 そしてこんな趣旨の文言も。
”英国では政府の政策は、政府が委託した報告書やレビューには含まれていない。実は報告書やレビューを発表することが政府の政策そのものなのである。政府は何かをやっているという印象を作り出しながら、同時に次回のレビューが公開されるまでは何もしないのである。”

 いやー、英国政府は真剣に温暖化対策に取り組んでいると思いますよ。でも日本は?続きを読む
posted by おぐおぐ at 13:57 | TrackBack(0) | 排出枠/排出権取引 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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