2007年01月11日

カオスな問答

 複雑系とカオスについて、昔読んだ本からのおぼろげな知識ですが仮想問答の形でまとめておきます。懐疑派の反シミュレーション論への反論になっているかどうか、定かではありませんが。


Qそもそもカオス現象についての数理科学研究というのは可能でしょうか。

A可能です。


Qそれはどうやって行われているのでしょうか。

Aコンピュータシミュレーションを使った計算機実験によります。


Qそのシミュレーションに使ったモデルは再現性があるのでしょうか。計算機で「実験」する、だなんてそんなものが果たして科学と言えるのでしょうか。

Aカオス現象というのは解が一意ではないわけですが、法則に従っていないわけではありません。その法則を記述する数理モデルを作れば、初期値の敏感性などについて感度分析もできますし、アンサンブル平均を取るといった手段で、統計的な処理をすることが出来ますし、もちろんその結果は、計算機モデル同士で相互検証が可能です。同じ数理モデルを作れば「同じ」結果が出てきます。


Q一意ではない解が分かることにどんな意味があるのですか。

A気象はカオス現象であることが知られています。たとえば、ある将来の一日の気象条件は確定できなくても、その長期的な傾向はアンサンブル平均の移動や分散傾向という形で表すことができます。これが気象と気候という言葉の意味の違いに対応します。続きを読む


posted by おぐおぐ at 01:58| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月27日

討論会の感想

後日記:「エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方」もご覧ください。

(初出:06年2月20日17時03分)
2月18日(土)にあった、懐疑派の中の槌田敦氏と反懐疑派の東北大明日香氏が企画したバトルのような討論会に、僕も参加してきました。

槌田氏の論に対して、かなりな反論が盛りだくさんに出されましたが、結局はああいえば上祐的に言い逃れられてしまって、相手方には楽しかった、またやりたい、的な感想をもたれていたようです。

 途中で僕が飛び入り参戦したときにパソコン上で紹介しましたが、槌田氏論文の図表7についてのIPCCのセントラル・ドグマグローバルカーボンサイクルの理解に基づく解釈は、紙の形で事前配布をできませんでしたので、左上にjpegファイルで添付をしておきます。どたばたして作ったものなので、微修正が後日あるかもしれませんが。この文章の下に、大きな修正を掛けて、グラフの追加もしておきました。趣旨は同じですが、より実物のグラフに似せるために、模式図の直線、曲線に傾斜を付けました。6月26日記
(炭素循環の数字の出し方については、こちらのjpegファイルを参照ください。)

・もっと明快に示した図がありました。有名なNASAのジェームズ・ハンセンが昨年12月に米国地球物理学連合(AGU)の総会の場でキーリング追悼講演を行ったときのプレゼン資料一式です。
この中でP19の図は、縦軸の単位系だけが違いますが槌田図表7と相似の形になっています。槌田図表7の折れ線がハンセンの図では幾分デフォルメされてはいますが同じ折れ線であることが見て取れます。"Soaked up amount"と青く塗られた箇所が、陸と海の吸収量の和となっていることがよくわかります。
(ちなみに、ハンセンの下側のグラフは、人為的に大気中に排出されたCO2のうちの平均58%ほどが大気中に残留している状況を示しています。)

後日記:
・つまり槌田氏論文の図表7が示しているのは、槌田氏図表の5の変動が、排出も吸収もすべてをネットで評価すると変動しながらも正の値であり続けていることなわけですが、それを各排出項目と吸収項目の値に分解すると、人為的排出は常に排出なので、吸収側も変動しながらも常に吸収となっているわけです。

 これをルシャトリエの法則を使って説明すると、まずは平衡系(18世紀、大気中CO2濃度280ppmの状態、毎年の大気中CO2濃度は一定なので自然の排出と吸収はバランスしている)から人為的な排出という変動要因生じたためそれを緩衝する方向への平衡状態のシフトが起っていることを表しています。このシフトをドライブする人為的排出という「長期的傾向」は変わらないわけです。
そして平衡からの逸脱の規模はCO2濃度の方が気温よりも著しいため、主にCO2濃度の変化を緩衝させる方向への変化が起っているのです。
このCO2濃度の変化を緩衝させる方向という関係反応は、中環審のこの資料の2000年までの実績がよく表しています。

・明日香氏の当日のパワーポイントのプレゼンテーション と、最新版の反論へのコメント が掲載されていますね。
・槌田敦氏の「CO2温暖化説は間違っている」もHP上に掲載されています。


・「環境を読み解くhechikoのブログ」でhechikoさんが、
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(1)
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(2)
(もうこのグラフ一つでなんにも付け加える必要はありません。)
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(3)
 の連載をしています。

この中で紹介している図表1−5が、上で言っている槌田論文の図表7のことです。

2007/07/18
Aquarian's Memorandum:槌田『CO2温暖化説は間違っている』の間違い という記事もよくまとまっています。

グローバルな炭素循環について へ続く

                             槌田図表7
槌田2

こだわりを見せて、更に追加の記事を作りました。
エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方 これが決定版だと思います。

 もう一つ、グラフを追加しておきます。
海洋がCO2の排出源だという説は現実の観測と食い違いを見せます。海洋が多い南半球が率先して増加していないのはなぜでしょう。
CO2inc.png続きを読む
posted by おぐおぐ at 01:52| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月29日

科学論争は終わった−デザインコンペ

The Climate Change Debate is Over - Design Competition
というデザイン・コンペが始まっています。

左上に紹介した合成写真はアインシュタインが講義をしている構図の例ですが、デザイナーの方々に、これよりもっとスマートなCMを考案してもらうよう求めています。

CEIの反宣伝にも見られるように、米国では未だに懐疑派ビジネスの反宣伝キャンペーンが継続中であるため、この問題にデザイナー集団?が取り組もう、これを無力化するための情報流通の取り組みを、という呼びかけの記事、「The Debate is Over」に派生して、出てきたコンペです。

ここで実際に議論されているのは、懐疑派ビジネス?が毎日のブログでいつも同じコメントを付けて回ることに対する対処法として、よく整理されたQ&Aを準備してリンクを示すだけでよいようにしようというものです。
その広告塔としての役割を担うのがこのデザインコンペで選ばれるデザインという関係になります。

ここWorldChanging.comというのは垂涎ものの集まりでしょう。こんなデザイナー集団の集まるブログネットワークというのが日本にもあって、環境NGOsの活動に協力してくれたらなあ。
posted by おぐおぐ at 09:04| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月22日

グローバルな炭素循環について

先日の討論会の感想 の続きです。

 温暖化懐疑派の中でも槌田氏とその論の追従者の人たちが、IPCCの第三次報告をきちんと読んでいないのは明らかだと思っていました。が、もう一人の懐疑派論者の中本氏もまた読んでいないようでした。
それは、ミッシングシンクについて、そんなものはもうなくなっている、と僕がしゃべったことに心底驚いたようだったからです。

 ミッシングシンクについては国環研の地球環境研究センター通信の中の、「炭素循環国際研究集会」の中に90年代半ばの状況が示されています。
 この文章によると、1995年発行予定のIPCC第二次報告書の検討時点ですでに、ミッシングシンク問題は定性的には解決されたとの紹介になっていて、報告書の文章から除かれていたようです。つまり中本氏がしゃべっていたのは第一次報告書の時点での知識に基づいていた、ということでしょう。

 中本氏がまだまだ研究がされているんだ、と語っていたIGBPでの研究についてもこのセンター通信では継続的にフォローしています。
ニュース一覧からバックナンバーをご覧ください。


 さて、「ミッシング」なものがないことの証しとして、IPCCの第三次報告書の
http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/108.htm#fig34
に出てくるグローバルな炭素循環のマスバランスについての解説を作ってみました。
左上のjpegファイルとして公開しておきます。

前回のjpegファイルの最上段に示しました「ネットで表す炭素循環」のデータは、このような手順で作られたデータです。

 さて、言葉の当初の意味はおいておいて、この中にどこに疑問を呼ぶ点があるのでしょうか。

後日記:
 言葉の当初の意味について
 中本氏も槌田氏も、学会の大多数が、ミッシングだろうがなんだろうが「シンク=吸収源」という評価であるということを知っていて、どうして海洋が「ソース=排出源」だなんてトンデモ理論を出してきたんでしょうか、どこの誰が「ミッシング・ソース」について数字を示しているのでしょうか??

ミッシングシンクはいつなくなったか? へ続く続きを読む
posted by おぐおぐ at 17:08| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月27日

2/18東京:温暖化の原因と対策についての賛否討論会

 続・温暖化懐疑論について で以前紹介しましたが、環境経済・政策学会での討論の続きの会合が開催されます。僕も久しぶりに東京まで物見遊山で出かけてきます。

−−−
討論会案内(案内第二版より)

各位

御世話になります。来る2006年2月18日(土)午後、東京にて下記要領で「地球温暖化に関する公開討論会」を開催いたします。みなさまお誘いあわせの上、ご参加くださいますようお願いいたします。


地球温暖化に関する討論会
-温暖化の原因と対策についての賛否討論-

趣旨:
 環境経済・政策学会2005年大会(10月、早稲田大学)において、槌田敦は「CO2温暖化説は間違っている。よって温暖化対策事業は中止させるべき」と題した講演をした。
これに対して、明日香壽川は反対意見を述べた。そして若干の討議がなされたが、学会一般講演という時間制限のため十分な議論ができなかった。そこで、温暖化問題に関する理解を深めるために、改めて公開討論会を行う。


討論会次第:
 第一部:温暖化問題について
  ・槌田敦(名城大)、中本正一朗(神奈川大学)
    「CO2は地球温暖化の原因ではない」
  ・明日香壽川(東北大学)、吉村純(気象研究所)
    「温暖化問題に関する最新の議論の紹介:CO2の役割などに関する科学的知見から京都議定書2013年以降の枠組みまで」
(各30分報告のあと討論)
 第二部:温暖化対策について:必要か不必要か?
 第三部:総合討論:科学と政策-温暖化問題は社会的産物か?

双方から交互に問題点をあげ、これを話題にして交互に発言し、討論会参加者も交えながら自由な討論を行う。ただし、この討論会は結論を得ることが目的ではなく、問題点の所在を示して、今後の議論の発展に資することを目的とする。そのため討論会の記録を作成し公表する。

日時:2006年2月18日(土曜日)1時30分〜4時30分

場所:高千穂大学2号館4階大会議室
(住所:東京都杉並区大宮2丁目19-1。井の頭線西永福駅から徒歩7分。会場までのアクセスはhttp://www.takachiho.jp/access.htmlをご参照ください)

主催:地球温暖化討論会実行委員会
委員 明日香壽川(東北大学)、槌田敦(名城大学)、八木澤秀記(高千穂大学)
−−−ここまで続きを読む
posted by おぐおぐ at 16:58| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月19日

温暖化懐疑論(その3)

 最近、毎日新聞に2度にわたって懐疑論が記者の個人見解として出されています。
 うーん、政府の温暖化対策を求める宣伝にしても、確かに科学論争を深めるためのものとは言いがたいものがあります。が、新聞記者なのであればせめてもうちょっとあちこち調査をしてほしいモンです。

 以下、まずは最初の方の記事について引用しながら反論を。

毎日新聞: <記者の目>人為的温暖化論は真偽不明 高田茂弘(経済部)
 ◇議定書目標 疑ってみよう続きを読む
posted by おぐおぐ at 16:38| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月11日

FOX Newsは地球温暖化をどう見るか

 FOX newsがどんな立場のニュース局か、についてはローレンス・レッシグのブログの コラム「Fox News:“Fair and Balanced”は「馬鹿げた主張」か?」 をご覧ください。
 ニュース局が”Fair and Balanced”という言葉を商標として所有している!=実態によらず貼り付けられる&よそには使わせない、というところがなんともアメリカ的で、すごいですねぇ。

 さて、この共和党寄りで、現在もっとも多くの視聴者がついていると言われる米国のニュース・チャンネルでは地球温暖化問題は最近どのように取り上げているのでしょうか。
 ここ1年ほどの関連記事を紹介しておきます。続きを読む
posted by おぐおぐ at 16:02| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月10日

続・温暖化懐疑論について

 環境経済・政策学会2005 の場で、長年にわたる温暖化陰謀論者の槌田敦氏の発表と、それに対する反論の議論がありました。(とは言っても僕は参加していないので、論争の結末は聞いてはいないのですが。

槌田氏の予稿集原稿
http://kkuri.cache.waseda.ac.jp/~kkuri/seeps2005/pdf/1061_EcDEYz7G.pdf
明日香氏による反論の文書
http://www.cir.tohoku.ac.jp/omura-p/asuka/comment%20of%20global%20warming.htm

 この件については、来年1月ごろ、再度討論の集会を準備しているそうです。
後日注:
2/18東京:温暖化の原因と対策についての賛否討論会続きを読む
posted by おぐおぐ at 16:01| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。