2007年09月10日

エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方

 槌田否定論批判の一部として、討論会の感想
で書きました主張の補強作業をしてみましょう。

明日香氏他の最新版の「反論へのコメント」(最新版V2.31)
の中でも、図5(P.21)の説明で、
−−−
一方CO2の年増加率のグラフを見ると、負の値には決してならない。これはグラフに示された全期間を通じ、CO2が増加していることを意味する。つまり、水温の上昇・下降に関係なくCO2が増加しているというということを図5は表している。この事実は槌田(2006)や近藤(2006)の主張と矛盾する。
−−−
とあります。また、

−−−
なお、1990年代の平均的な人為起源CO2排出量は6.3GtC/yrである。この排出量のうち半分程度が海洋や森林などに吸収された場合に対応する大気中CO3濃度増加率を計算すると、1.5ppm/yrほどになる。
−−−
と書かれています。


 が、ここは以下の説明の方が分かりやすいかと思います。

kondoh.JPG

 人為的CO2排出量は化石燃料統計から算出できますが、この人為的排出を受けた場合の仮想的な大気中CO2濃度増加量を<近藤邦明氏の図> に追加プロットすれば、平均したCO2濃度増加量を示す点線の2倍近くの高い位置に青色線を描けます。(上部のグラフ)
すなわち、<近藤邦明氏の図>でCO2濃度が定常的に上昇基調にある、その長期的な基調部分こそが、人為的な排出による影響であると言えます。
 この青色の基調線と黒色の観測された瞬間的な大気中CO2濃度の増加量とのギャップ分が、陸上生態系と海洋によって「吸収」されたCO2の量になります。
 エルニーニョ期は、必ずしも毎回濃度が増加傾向にあるとは言えません。87,8年および97,8年頃はエルニーニョ期の干ばつによって大規模な森林火災が世界各地で起こったことが知られていますから、特に陸上生態系が吸収源ではなく排出源に変わったと想定するのが妥当です。

 ということで、槌田説にいう「(海水温変化によって)海洋からCO2が排出されることで大気中CO2濃度が増加している」という論は間違いで、海洋はCO2の吸収源です。
 この自然の「吸収」量が増減することで、見かけ上の増加のように見えているだけのことです。人為的なCO2排出量のことを失念している槌田説の解説は、恥ずかしい説だと言わざるをえません。続きを読む


posted by おぐおぐ at 05:15 | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月06日

懐疑派批判のパンフレットが出ていますね

 大阪の市民団体「地球救出アクション97」さんから、ニュースレターと一緒にパンフレットを送っていただきました。

「環境危機はつくり話か -ダイオキシン・環境ホルモン・温暖化の真実-」
科学技術問題研究会著 です。

 この中では議論の大半は、ダイオキシン・環境ホルモンといった化学物質の各種毒性についての議論で、温暖化の議論はロンボルグの技術楽天論と経済学への批判くらいのものです。
 経済学者批判の観点はIPCCのAR4を紹介しているだけで物足りないものですが。

また、槌田敦氏の系列の議論はわざとなのかどうか?取り上げていません。

目新しかったのは、「地球と人間の環境を考える」シリーズの中の小島紀徳氏著「エネルギー」への批判です。
ここにはピークオイル論者への批判としても援用できる論点が並んでいます。(といってもまあ環境問題の視点をもっているなら出てきそうな議論ですが)
小島氏自身はピーク論というよりも枯渇論なので、ちゃんと元の本を読んではいませんでしたが、批判されている箇所を一度確認しておきたいと思います。
posted by おぐおぐ at 02:50 | TrackBack(1) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月20日

「地球温暖化のエセ科学について」in田中宇の国際ニュース解説、について

田中宇の国際ニュース解説 2007年2月20日 http://tanakanews.com/ でIPCC報告書の批判をしています。
 あまりに馬鹿馬鹿しいトンデモ論で、反論するのもなんなんですが、
田中氏のメールマガジンはファンが多くて、ここのブログを田中氏経由で訪問してきた人も数多いので、お客さんのために、一部だけ取り上げて紹介をしておきます。

 過去の田中氏記事についての反論はこちら。
「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇1
「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇2

後日記:
国連大学安井氏のHP『市民のための環境学』の中で、田中氏の今回の説についての全体批判をしていますね。
地球温暖化はエセ科学か
ブログ「青い地球の事件簿」
でも
「 地球温暖化は「エセ科学」か? その1」
と連載をしてくれそうです。
こちらを読んでいただいたほうがよさそうに思います。


「▼無視されてきた太陽黒点説」

「IPCCの報告書では、温暖化の原因は、二酸化炭素など温室効果ガスの増加に集約されており、他の原因については少ししか議論されていない。だが、最近の研究で、実は二酸化炭素よりも太陽黒点の活動の方が、温暖化に関係しているのではないかという説が有力になっている。」
 やれやれ、やっと論文が学術誌に掲載されたばかりの時にどうして「説が有力」になりうるんでしょうね。レトリックは相変わらずですね。

「これはデンマークの学者ヘンリク・スベンスマルク(Henrik Svensmark)らが10年以上前から研究しているもので、以下のような説である。」
 すでにこれは10年前に、近年の変化とは相関があっていない、というデータから否定されたもののはずです。

ブログReal Climateより。
http://www.realclimate.org/index.php/archives/category/climate-science/sun-earth-connections/
のいくつもの記事で書かれています。
 最近のものでは、
"Whether cosmic rays are correlated with climate or not, they have been regularly measured by the neutron monitor at Climax Station (Colorado) since 1953 and show no long term trend. No trend = no explanation for current changes."
 70年代以降の顕著な温暖化が他の解明されている自然要因では説明できていないわけですから、この70年代の時期を境に変化が起きていないと原因の候補にもなりえないという趣旨です。

 もっと単純な反論をしておきますと、太陽黒点が多い時期というのは、前回は約5年ほど前で、太陽黒点は11年の周期で動いてきているわけなのに、どうして11年周期の地球平均気温の周期的な増減が観測されていないんでしょう?観測されていない変化にどうして太陽黒点という名称が使われているんでしょうね。今は最近5年間で黒点活動が最低になっているのに、どうして冷却化がされていないんですか。

 メカニズムの説明の箇所でも、そもそも太陽風というのは電磁波ではありません。(このあたりでは理系ではないだろう田中氏にほんとにツッコミを入れていいものか躊躇してしまうのですが)

というくらいで、他はまた後日。
posted by おぐおぐ at 14:59| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

「正統」派の論点整理と論拠

 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その1からその4
にかけて頂いたぬりさんからの精力的なコメントに応えて、「正統」派の人為的温暖化説についての論点の組み立て方とそれぞれの論拠をざっと書いてみました。
(付記:2/9に気象庁により暫定的に翻訳された最新のIPCC第4次報告書の要約部分から関連のある文言も引用しておきます。)


 ひとまずは、ちゃうぞおかしいぞ、という「正統」派の方からのつっこみを歓迎します。
 懐疑派の方からのつっこみもどうぞ。


論点0.地球は近年温暖化している。

論拠 各種観測データより

(IPCCAR4WG1SPM気象庁暫定訳より)「気候システムの温暖化には疑う余地がない。このことは、大気や海洋の世界平均温度の上昇、雪氷の広範囲にわたる融解、世界平均海面水位の上昇が観測されていることから今や明白である(図SPM-3 参照)。{3.2、4.2、5.5}」


論点1.二酸化炭素などの温室効果ガスには温室効果がある続きを読む
posted by おぐおぐ at 04:50 | TrackBack(5) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月02日

「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その4

その3よりのつづき

1T.JPG

3.過去1000年間のグラフ

それでは1(過去35万年間)と2(過去140年間)の中間の、過去1000年間のグラフをこの記事の一番上に示しておきましょう。

http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/fig2.htm
グラフの(a)の方の大気中CO2濃度と、
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/fig1.htm
グラフの(b)の方の北半球の気温のグラフを年代を合わせて合体させてみたいのですが・・・合わせるレンジ(フルスケールの設定)はどうしましょう?

過去数十万年前の相関を現在に持ち込んだレンジ設定をしたものを図の左側に示します。
過去140年間の槌田説に基づくレンジ設定をしたものを図の右側に示します。

 過去1000 年単位の気温変動については、これまでホッケースティック論争というのがありました。(槌田説の信奉者とは限りませんが)懐疑派の方には、20世紀に入ってからの気温上昇だけが強調されているのはおかしい(グリーンランドが緑の大地であった時代(12世紀頃?)があるじゃないか)という一派も居るわけです。

このホッケースティック論争の正当性の争いを4象限に分けた上側と下側に示しました。
さて、合計4種類の気温グラフの中で、最上部の大気中CO2濃度グラフとの整合性が一番つきやすいのはどれでしょう。

・「正統」派によれば、左下(第3象限)のグラフこそが正しいのだということになるでしょう。

・右上(第1象限)の気温グラフは相当論理破綻しています。続きを読む
posted by おぐおぐ at 01:42| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月01日

「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その3

その2よりのつづき

140y.JPG

2.過去140年間のうち、1940年代から70年代のデータ異常

http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/fig1.htm
のグラフの(a)は100年間の全球平均気温観測データを示しています。これと、

大気中CO2の濃度は全国地球温暖化防止活動推進センターの図表
http://www.jccca.org/content/view/1034/775/
の二つを貰っておいて、横軸の年代を合わせたものをこの記事の一番上に示しておきましょう。

 1940年代から70年代というのは地球の平均気温が下がった期間として知られていますが、この期間中、特に(直接・継続してCO2濃度が観測され始めた)60年代から70年代半ばに掛けては、地球平均気温はむしろ下がっているにも関わらず、ずっと大気中のCO2濃度は単調にあがり続けています。
槌田・温暖化駆動CO2説では海水温度が上がってはいないはずのこの時期の説明がまるでできていません。

「正統」派説では
 40年から70年の気温低下はCO2温暖化説では別のメカニズムでもって説明しているわけで、気温が低下する時期があることはなんの支障もありません。

 しかし槌田の元々気温がCO2をドライブする説だと、気温低下時にCO2が増加するメカニズムは??ありえません。

a.苦しい弁明として、全球平均気温というよりは、海洋の地域的なパターンにより大きな影響を受けるので、この40年から70年の気温低下時もたまたま海洋に限っては単調に海水温が上昇していた時期だったのだ、という論もありうるかもしれません。


b.ここでも、観測データ自体がでたらめだ、批判を振り回す懐疑派の人も出てくるでしょう。

c.その他 思いつきませんがもう一つくらいあるでしょうか?なにか考えがありましたらお示し下さい。


 槌田・温暖化駆動CO2説の中では元々、数ヶ月から1年程度の遅れで気温の変化にCO2濃度が追従するという主張をしていたわけですから、20世紀前半の気温上昇が遅れてやっと60年頃から現れている、というような、40年以上も反応が遅れて起こっているのだという説も論理が破綻します。


 まあ、a.の弁明が成立するものと仮に想定しておきましょう。


つづく
posted by おぐおぐ at 14:40| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月30日

「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その2

その1よりのつづき

1.続
 先のゴア氏のグラフに対する槌田・温暖化駆動CO2説に基づく反論としては3種類くらい考えられるでしょうか。(追加がありましたらお知らせを)

a.観測データが実態を表していない論
 「データは測定していると主張している物理量は実際の気温ではない、実際のCO2濃度ではないうんぬん。」

 ・・・まあ、自分たちに都合の悪いデータには全部、科学的に疑問があるはずだから精査するので待てという論理では、説得力がないことは自分たちでも認めるでしょう。


b.南極の気温については全球平均よりも時間遅れがあるせいだ論
 「気温の方が遅くなっているのだが、それは全球の温暖化がまだ南極のその地点の気温にまで反映していないという、気温同士の間での時間遅れがあるせいであり、やがて大気中CO2の増加に見合った気温上昇となるのだ。従ってこのグラフでは大気中CO2濃度と気温とのどちらが先行しているかを確認するものではない。」

 ・・・この論によれば、後日南極の気温データにも大規模な気温上昇が見込まれることになります。
過去数十万年間の相関関係が現在も成立するとみなしていますから、たとえ来年から上昇が止まり、今日のCO2濃度(380ppm)で奇跡的に安定化した場合でも、氷期から間氷期への遷移の規模に等しい大幅な気温上昇となることが見込まれます。
 ですが、残念ながら、この論でも、そのような激変メカニズムがどこにあるのか、は説明できていません。過去100万年近くにわたって、遷移が起きてきていたのは、氷期から間氷期、間氷期から氷期への2つの状態の間での遷移「だけ」ですから、なにかとてつもなく大きな変動要因がなければ、第三番目の超温暖期への遷移は起こりえないのです。
 つまりこの解釈に対しても「数十万年間起こらなかった規模の自然変動というのは一体何なんでしょう。」というツッコミがまた言えてしまうのです。


c. ・・・思いつかないので空白としておきます。


 ちなみに、「正統」派の理解としては、「このグラフの中の最近200年のCO2の一方的な上昇は、人為的な排出CO2(その累積量は化石燃料消費統計でかなりの精度で知ることができます)が原因であり、その排出量の約58%が大気中に蓄積した量であると推計される。そして、先行する大気中CO2濃度の増加によって気温は駆動されて、新たな安定的なより高い気温に遷移し始める過渡期であるため、まだ昇温としては現れていないが、将来大幅な気温上昇が見込まれるのだ。」というものでしょう。


まだまだつづく、でしょう。
posted by おぐおぐ at 13:46| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月29日

「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その1

350M.JPG
 さまざまにあるでしょう懐疑派の内、槌田敦氏の主張している「海洋の温度上昇が原因で大気中のCO2濃度上昇が起きている」説を「槌田・温暖化駆動CO2説」と呼んでおきましょう。

 実際に仮説が評価されるためには、まずはさまざまな観測データを説明できなければなりません。
 しかしこれまで、反・懐疑派のグループとしては、槌田・温暖化駆動CO2説に対してはまともな突っ込みをワザと入れていない面があったのではないかと思います。

 いわば「正統」派?の自負を持っている人たちが横綱相撲を取るという態度を取っていたところがあるのではないでしょうか。しかしおよそ科学論争においては、自説を守る論陣を張るだけではなく相手説に矛盾を突くツッコミを入れることによって論争の勝利を目指すのは当然の権利というものでしょう。

 実際、槌田・温暖化駆動CO2説の唯一の論拠となっているデータは、「人為CO2を原因とする温暖化論ではこう解釈されているしそれで論理整合性がある、だから槌田の解釈の論拠とはならない」という守りの反論を僕は1年前にしたことがあります(討論会の感想
および グローバルな炭素循環について

 ですが、これについてはそもそも槌田氏自身の人の話を聞く能力に限界があるため理解されていないようです。
 そういう人物と追加で討論会をしてもおよそ不毛ですし追加の説明を書く気にもなっていませんでしたが、mixiの「ピークオイル」コミュニティを主催しているぬりさんも懐疑論に引っ張られているというような現状がありますので、ほったらかしにしておくわけにもいかないという気になってきました。
(もうちょっと趣旨を読んでみると、ぬりさんは別の一派になるのかもしれないと思いましたが。)
 ということで槌田・温暖化駆動CO2説ではちゃんと説明していないと思われる観測データについてツッコミを入れる説明を考えてみました。


●槌田・温暖化駆動CO2説の概要(勝手に推定してみました、問題点があればご指摘をください、歓迎します)

・気温(=海水温)の変動パターンが大気中CO2濃度の変動パターンに数ヶ月〜1年先行して起きており、これが、(原因不明の)温暖化によりCO2が駆動されて上昇していることの証拠だ。

・そのメカニズムとしては、ヘンリーの法則により、海水中の溶存CO2が海水温が高くなるにつれて大気中に排出されていることを想定している。
つまり年々大気中のCO2濃度が増加し続けているからには、海洋は一年間のネット(正味)で勘定すると排出源となっているはず。


●タイムスケールを変えると説明が二転三転する?

 タイムスケールが異なる3種類の「気温」と「大気中CO2濃度」のデータについて、槌田・温暖化駆動CO2説に基づけばこうだと想定される説明を、「正統」派の理解と比較していきますので、槌田・温暖化駆動CO2説は「健全な」懐疑論者が準拠するに足る仮説かどうかを考えてみていただきたいと思います。(「99.9%は仮説」という題名の本があったように、「定説」=「まだ破綻していない仮説」であり、科学者は本来みな「健全な」懐疑論者であるべきでしょうが)


1.過去数十万年間続きを読む
posted by おぐおぐ at 14:30| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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