2009年01月21日

科学者コミュニティへのアンケート

 日本では、
科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている [宝島社新書] (宝島社新書) (新書)
丸山茂徳 (著)
なんて本も出ていましたが…。

 科学者コミュニティへのアンケートを採った記事を紹介しておきます。
CNN:Surveyed scientists agree global warming is real
http://www.cnn.com/2009/WORLD/americas/01/19/eco.globalwarmingsurvey/index.html#cnnSTCText

 アメリカの、American Geological Institute's Directory of Geoscience Departmentsの名簿に掲載されている3146人の(地球)科学者にアンケートを取った研究がイリノイ大の研究者によって行われました。

2つの質問「地球の平均気温は、1800年代以前と比べて上昇したか?」と「人間活動が地球の平均気温を変える上で著しい要因となったか?」に対して、それぞれ90%と82%の科学者がイエスと答えたということです。

 中でも、climatologists(気候学者)の中では97%が人間活動の影響が顕著であると認めたそうです。
 一方、Petroleum geologists(石油地質学者)とmeteorologists(気象学者)の支持率はそれぞれ47%、64%と低かったそうです。

−−−
 調査をしたドラン氏は、「大衆のほとんどは気象学者が気候のことを知っていると思っているが、かれらは実際には非常な短期現象を研究している。」とのこと。

しかし、ドラン氏は気候学者の間のほぼ満場一致の合意には驚かなかった。

「彼らは気候科学を研究し論文を発表している。この研究で覚えて欲しいメッセージは、気候科学の分野について知れば知るほど、地球温暖化と人類の寄与を信じるようになる、ということだ。」

「長期の気候プロセスについての科学的基礎知識と微妙な意味合いを理解すればするほど、地球温暖化の正統性と人間活動が果たしている役割についての論争は存在しなくなる」とドラン氏は語った。
−−−
 というのがアメリカの状況のようです。

 石油地質学者の反応は、心情的に自分が打ち込んでいることの社会的意味を防衛したいということのように思えます。
 ピークオイル論者の多くは石油地質学者であるので、人為的温暖化を信じていないということがありそうなわけですね。続きを読む
posted by おぐおぐ at 12:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月19日

「宇宙線が温暖化の原因」説を観測で否定

Science daily:Cosmic Rays Do Not Explain Global Warming宇宙線は地球温暖化の説明にならない
http://www.sciencedaily.com/releases/2008/12/081217075138.htm
という記事がありました。
 これもアメリカ地球物理学会(AGU)会合がらみの発表でしょうか?

 簡単に要約などを紹介しておきます。

要約
 「宇宙線の変化が気候変動に貢献しているとはもっともありそうにない」と述べた新たな研究は以前の観測を支持している。
時折、宇宙からの放射線(いわゆる銀河宇宙線)の変化が地球温暖化の一つの原因でありうるという主張が行われる。
 新たな研究は宇宙線の雲に対する影響を調査したもので、その可能性は非常に小さいと結論付けた。

本文
 北欧の4研究機関の研究者たちが行った。
“According to our research, it does not look like reduced cosmic rays leads to reduced cloud formation”, says Jon Egill Kristjansson, a professor at the University of Oslo.

As far as Kristjansson knows, no studies have proved a correlation between reduced cosmic rays and reduced cloud formation.

 2000年から2005年までの22回のForbushイベント?で宇宙線が減少した時期について、雲の詳細な性質の変動を人工衛星MODISからの観測で調べたもの。雲の被覆率ばかりでなく雲粒の直径や水分、光学パラメーターなどのデータもこの衛星観測から得た。

“Reduced cosmic rays did not lead to reduced cloud formation, either during the outbreaks or during the days that followed. Indeed, following some of the events we could see a reduction, but following others there was an increase in cloud formation. We did not find any patterns in the way the clouds changed”, Kristjansson explains.
・・・
“It's supporting other recent work that also found no relationship," Haigh added.

この記事の参考リンクとしても、これまでの関連記事がいくつも載っています。続きを読む
posted by おぐおぐ at 09:18 | TrackBack(3) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月14日

赤祖父氏の「自然の温暖化がメイン」論

赤祖父氏の「自然の温暖化がメイン」論は原因究明に踏み込んでいないものです。

「正しく知る地球温暖化」赤祖父俊一誠文堂新光社

を購入して読んでみました。

 この本は、いろいろなグラフ、地理的な温暖化の現状再現シミュレーションと観測値との比較などを受けて、20世紀の北極圏の温暖化のかなりの部分はそれ以前からの200年間ほどの温暖化傾向の延長線上である、ということを主張している本です。

・1/6の根拠は何?

「気候学者の中には、自然変動の原因として火山活動、太陽自身のエネルギーの出力の変化、宇宙空間ガスの影響などを提唱してきた者があったが、IPCCのコンピュータの計算によると炭酸ガスの温室効果に比較してその効果は薄いとされている。これはまだ議論の段階であるが、問題は上述の程度の発言ではIPCCと報道に圧倒されてしまうことである。
 そこで、筆者はまだ究明されていない自然現象の原因について論じ、尽きない議論に巻き込まれることを避け、多くの専門科学雑誌や報告に発表された(すなわち、厳密な審査を受けた)数々のデータによって、小氷河期が実在したこと、そして現在はそれから回復中(すなわち温暖)である証拠を示す。これは一般の自然科学者の漠然とした発言と異なり、きわめて具体的な証拠を提出したことになる。
これが第四章の目的でもあり、この本の最も重要な目的である。筆者は、回復が1800年、それ以前から始まっており、しかも気温の上昇率は当時から現在まであまり変わっていない(直線的)ことを示す。…
 このように自然変動を同定し、現在進行中の温暖化からそれを差し引くことによって、人間活動による炭酸ガスによる温暖化率を推定した。そして現在の温暖化の6分の5が自然変動によるもの、すなわち炭酸ガスによる温室効果はわずか6分の1であることを証明した。」
(P.71)

 この1/6というのは、20世紀の100年間で0.6℃の昇温が観測されているが、19世紀も同様の昇温速度だったので人為的温暖化が効いているとしてもせいぜい0.1℃だろうというとても大雑把な提案のようです。

 (IPCC第三次報告書に示されていた)マンらによるホッケースティックの気温変動の記述が違っていた、温暖化はもっと以前から進んでいた自然現象ではないか、過去数百年間の自然の温暖化の原因を太陽とも、宇宙線を介した雲の変化とも特定はしていない(原因を示していないにも関わらず)、自然の変動が大半である、と確言しています。

 特に注意すべきなのは、マンらによるホッケースティック状の変動も、第4次報告書のより深堀りされた記述も、どちらも北半球の温度変化の過去データ分析なので、全球平均気温ではありません。
全球平均気温を示すためには南半球のこの千年紀の気温データが新たに必要です。
全球平均気温については、20世紀初頭19世紀後半からの過去100150年間余りの記録があるだけです。
(後日記:記憶で書いて失礼しました、グラフを再確認してみると19世紀後半も含んでいますね。なので、そもそも19世紀後半が気温が上昇を続けていた、という主張への第一の反論はこの時期の全球平均気温データが横ばいであったというIPCCのデータです。)

その注意をした上で反論を試みてみましょう。以前の記事でも紹介しましたが、類似の過去データ
http://www.aip.org/history/climate/xmillenia.htm
ipcc_6_10.png
を見ていただくと、1900年から温暖化が始まったという言い方もできますし、1800年から温暖化が始まったと言えるデータもある、という玉虫色の状況です。
 IPCCが紹介している気候モデル研究(図4.13)によれば、1975年以降の昇温の大半が人為的な影響であるとして、100年間で0.4,5℃の昇温となっています。一方、自然の要因分は0.1℃程度とわずかな寄与になっていますが、75年以降のの時期についてはマイナス側の寄与となっています。100年間について言えば、2/3以上が人為的な温室効果ガスの要因となっている、但し、それは一部自然の変動要因で後半下降側に変わったからであり、前半の昇温は自然のものということになります。つまりIPCCとしては、1800年ないし1900年から始まった昇温は、20世紀前半で「終わっている」という評価をしていると言えます。したがって、過去の小氷河期の原因もまた、太陽活動他の自然要因で説明できるはず、ただ過去データが足りないためシミュレーションには組み込めないという立場だと言えるでしょう。

 さて、これでは議論がかみ合いそうにありません。メカニズムが分からないため気候モデルに入っていない要因が、見積もれない自然の変動になっているに違いない(そしてそれが小氷河期である)、という赤祖父氏の主張は、気候モデルの研究者には反論不可能です。

 現在の所、
1.その分からない要因の19世紀&20世紀の実データ
2.19世紀の北半球の精度の高い過去気温データ
3.19世紀の南半球の精度の高い過去気温データ
 を調べようがないというところで不可知論になるというものでしょう。

 言いたくなるのは「あんたがその未知のメカニズムを提案してみせてよ」or「ほんとに19世紀の全球気温データが20世紀のデータと同じく直線的な上昇だったというのを確かめてみせてよ」というとこでしょうが赤祖父氏はやらないでしょう。2,3が課題として残っているということは赤祖父氏の後者の主張には根拠がないということそのものを意味しているのですが。

 なのでIPCCに関わる気候モデル家が、可能な限りの過去データを(恣意的にだろうがなんだろうが)使って19世紀の再現実験をやってみるしかないようです。
 過去200年間の自然要因の変動の中で、火山は再現可能でしょう。問題は太陽活動の程度ですが、こちらも数世紀前のものまでは出てきそうです。
南半球の影響については、なんらかの仮定をおくのでしょう。

そうやって、作ってみた結果は、・・・当然懐疑派からは、「気候モデルならパラメータをイジればなんでもやれるハズ」という批判が出てきて、たとえ整合性がある結果が出ていても受け入れられないでしょう。

 ということで、赤祖父氏の主張の前には千日手状況のような気もします。

 19世紀を仮にクリアしたとして、さらにもう数世紀過去まで遡って実証しろ、と言われれば実施不可能でしょう。

 とりあえず精度の比較的高いデータがある過去の期間(つまり20世紀)については、現状の気候モデルで各要因が適合する、というところまでで、モデルの詳細を確認した後、目を瞑ってもらえませんでしょうか。>懐疑派の方続きを読む
posted by おぐおぐ at 15:47 | TrackBack(1) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月11日

温暖化懐疑本の流行

環境新聞:環境図書月間売上ベスト10  2008年7月21日〜8月24日
http://www.kankyo-news.co.jp/ps/qn/guest/news/showbody.cgi?CCODE=69&NCODE=108
と言うのがありました。

「環境図書月間売り上げベスト10」
八重洲ブックセンター本店3階しらべ (08年7月21日〜8月24日)

1偽善エコロジー 武田邦彦
2科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている 丸山茂徳
4「地球温暖化」論に騙されるな! 丸山茂徳
5地球温暖化論のウソとワナ 伊藤公紀・渡辺正
7ほんとうの環境問題 池田清彦・養老孟司
8正しく知る地球温暖化 赤祖父俊一

 以下の4冊を除いてトップ10の温暖化関係の本はすべて温暖化懐疑本です。

3トコトンやさしい太陽電池の本
6環境白書
9新・よくわかるISO環境法
10太陽光発電システムがわかる本

 ここまでくると笑うしかないですね。
懐疑本の編集者の皆さんは、狙いが中ってウハウハで笑いがとまらんでしょう。

 丸山氏の2位の本については、
ブログ『気候変動・千夜一話』に
「宝島社の新刊本」
http://blog.livedoor.jp/climatescientists/archives/401015.html
という記事があります。

コメント:続きを読む
posted by おぐおぐ at 11:33 | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月02日

コメント欄より:沈思黙考さんとのやり取り

(一つ前の記事、「CO2の温室効果は飽和する?」
の続きとしてお読みください。量が多すぎて、記事の更新が出来なくなりましたので、別記事として独立させておきます。)

 以下に、沈思黙考さんとの以前のコメント欄でのやり取りを保存します。

●Posted by 沈思黙考 at 2008-07-28 04:30:29
はじめまして。
私は、懐疑論(温暖化の原因=分からない・・・
少なくとも人為的に排出されたCO2だとは考えられない)に
コミットしている者ですが、私とは異なるSGWさんの見解を伺ってみたくて投稿いたしました。

> 真空の宇宙空間に向かって熱を逃がすメカニズムは
> 放射以外にはありません。
「地球からの熱放射」・・・SGWさんご指摘の
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/dd/Atmospheric_Transmission_JA.png
> 真空の宇宙空間に向かって熱を逃がすメカニズム
は、いわゆる「大気の窓」を通じてであって、

 (SGW:後だしジャンケンの解説をさせてもらえれば、この引用されているグラフの右側の青い地球放射の成分は、地表面の固体液体から「大気の窓」を通じて直接宇宙空間に逃げ出している成分だけしか表示していません。総合的な熱のやり取りを示した下のグラフの中では40と、ほんの一部です。一方、温室効果ガスの寄与は、Emitted by Atmosphere=165です。)
0dim.png


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B0%97%E3%81%AE%E7%AA%93
温室効果ガスの吸収帯とは違いますよね。
帯域が違うということは、温室効果ガスによる放射そのものは、
大気圏を循環しているだけで、宇宙へは、ほぼ漏れ出していないと見なせませんか?
「大気の窓」を通じた放射=黒体輻射
が「地球からの熱放射」であって、温室効果ガスによる放射は
> 真空の宇宙空間に向かって熱を逃がすメカニズム
"そのもの" としては、無視できる程度なのではないでしょうか?

私が申しているのは、
> 一旦吸収されて分子の運動に変わったエネルギーは、
> 再びCO2の励起スペクトルの窓からふく射の形で
> 逃げ出す以外に逃げ場はないんだ
というご意見は、間違っているのではないか? ということです。
> 一旦吸収されて分子の運動に変わったエネルギーは、
> CO2の励起スペクトルの窓
ではなく、「黒体輻射」の形で「大気の窓」を通じて、
宇宙に逃げ出すのではないか? ということです。

繰り返しますと、各種熱運動に変換されたエネルギーが「黒体輻射」として、「大気の窓」を通じて宇宙に放射される・・・というのが、私の「地球からの熱放射」に対する見解です。
温室効果ガスによる放射は、概ね、自由エネルギーのより小さい熱運動のエネルギーに変換されることになる訳ですが、
CO2の濃度 << 水蒸気の濃度
を勘案すると、「黒体輻射」へのチャンネルの1つとしての
CO2の役割は小さいと考えている次第です。

●Posted by SGW at 2008-07-28 09:37:07
沈思黙考さん、どうもです。

 「黒体」というのは、科学者が想定した仮想的な物体でして、考慮すべき赤外波長領域のあらゆる波長に渡って、単色ふく射率(=単色吸収率)が1となっている「モデル」物質です。

 ということで、
>各種熱運動に変換されたエネルギーが「黒体輻射」として、
>「大気の窓」を通じて宇宙に放射される・・・というのが、
>私の「地球からの熱放射」に対する見解です。
 という誰かが書いた文書にあるような「黒体ふく射をする物質」が現実に存在しているわけではありません。

 黒体ふく射の何十%程度の(全波長に渡って積分させた)総合ふく射率をもつのが、個別の気体分子であったり、雲を構成する氷の固体があったり、地表の水の表面があったりで、それらからのすべてごっちゃに合わせた、波長によって強度がまちまちな(赤外)光が上下両方向に飛び交っているわけです。

 「大気の窓」というのは、その中で特に水分子の特性に応じてできている吸収の少ない波長領域です。
地表面の固体液体から上向きに放射される赤外線はこの波長では宇宙空間まで届きやすいという特徴はあります。

 んで、そのいわゆる「大気の窓」を効果的に塞いでしまうということで、微量な温室効果ガスの増加による影響が大きいということが言われています。この範疇に入る温室効果ガスは、フロンガス、代替フロンガスなどでして、CO2の温室効果の2万倍といった大きなGWPをもっている大きな要因が、これらのガスの吸収率が高い波長が「大気の窓」の波長と重なっているという問題です。
CO2についても15ミクロン当たりでこの大気の窓に重なっています。(このへんですでに暑さボケしていますね。)

「分光吸収スペクトル」について
 いろんな化学物質の分光ふく射スペクトルを調べた文献を探してみてください。でもそのようなデータはどこにもありません。分光吸収スペクトルと全く同じものだからです。
 単色ふく射率=単色吸収率という関係にあります。
 この記事の本文の下側に、大気による分光吸収スペクトルの図を添付しておきます。
地表での分光吸収スペクトルと高度11kmでの分光吸収スペクトルが違うのは、各温室効果ガス成分(特に水蒸気)の濃度が違うからですね。
 さて、大気の窓以外の波長の赤外光は結局どこから宇宙空間に出て行っているのでしょう?

●Posted by 沈思黙考 at 2008-07-28 22:34:21
SGWさん、ご返事読ませていただきました。
突然の問いかけにもかかわらず、速やかに応答してくださり、感謝する次第です。いま少し、お相手ください。

> 「黒体ふく射をする物質」が現実に存在しているわけではありません。
私は、ご指摘の件は了解した上で、
CO2を重視することに疑問をもつ観点から、
黒体近似で記述できるスペクトル成分(大気の窓)について
言及したつもりなんですが、どこかおかしな点がありましたか?

> 微量な温室効果ガスの増加による影響が大きい
私はこの点・・・地球温暖化を有意に促すほどの効果を水蒸気以外の温室効果ガスに求めるのはおかしいと考えています。

> CO2についても15ミクロン当たりでこの大気の窓に重なっています。
重なっていないとまでは申しませんが、無視できる程度ではないでしょうか?

> 単色ふく射率=単色吸収率
アインシュタインのB係数(誘導放出係数=吸収係数)のことですよね?
アインシュタインのA係数(自然放出係数)まで考慮すると違うんじゃないですか?

私は、
> 一旦吸収されて分子の運動に変わったエネルギーは、
> 再びCO2の励起スペクトルの窓からふく射の形で
> 逃げ出す以外に逃げ場はないんだ
というご意見(・・・以外に逃げ場はない)に、温室効果ガスの吸収帯域以外の主たる逃げ場として、大気の窓がある旨を述べた訳です。
温室効果ガスの吸収帯以外の主たる逃げ場があるのか?ないのか? についての検討であれば噛み合うのですが、
> 大気の窓以外の波長の赤外光は
> 結局どこから宇宙空間に出て行っているのでしょう?
という問いかけは、論点がずれてませんんか?

●Posted by SGW at 2008-07-29 14:39:24
沈思黙考さん

>黒体近似で記述できるスペクトル成分(大気の窓)について
>言及したつもりなんですが、どこかおかしな点がありましたか?

 一般的には、地表温度の黒体近似としては記述できない、欠けているスペクトル成分の波長帯「が」大気の窓と呼ばれています。すんません、後で将棋のマッタをかけさせていただきました。用語の使い方がどこかへんです。

>> 微量な温室効果ガスの増加による影響が大きい
>私はこの点・・・地球温暖化を有意に促すほどの効果を
>水蒸気以外の温室効果ガスに求めるのはおかしいと考えて>います。

 大気の窓とは、実際には水蒸気がカバーしていない、欠けているスペクトル成分のことなんですが。

 実績として、グラフのデータを見ていただければ分かるように、高度11kmにおける吸収の主体?は水蒸気以外の分子です。この層でのこれらの吸収率が1に近い波長での吸収とふく射には、これらの固有のスペクトルを持つ分子だけが関与しています。
 水蒸気はこの高度(対流圏上端)には実質上存在していません(分圧が非常に低い)から影響を及ぼしていませんが、他の温室効果ガス分子は存在して、分光特性として現れているわけです。

>> CO2についても15ミクロン当たりでこの大気の窓に重
>なっています。
>重なっていないとまでは申しませんが、
>無視できる程度ではないでしょうか?

 上に書いたように高度によって寄与の度合いは変わります。

>> 単色ふく射率=単色吸収率
>アインシュタインのB係数(誘導放出係数=吸収係数)の
>
ことですよね?

 アインシュタインの係数については寡聞にして知りませんが、光は波長で決まるエネルギーを持っていることから、キルヒホッフの法則においてエネルギーバランスが整合性のある式としてなりたつためには、すべての波長にわたって、単色ふく射率=単色吸収率となっているわけです。
 そうでなければ、まさに熱力学の法則が間違っていたことになり、熱を溜め込むブラックボックスができる、パラドックスが生じます。

つづく続きを読む
posted by おぐおぐ at 02:00| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月28日

「地球温暖化詐欺」はどっちでしょう

 日本のブログで、BBCチャンネル4の番組
"The Great Global Warming Swindle"
についての動画の紹介がぽつぽつ出ているようです。
 ニコニコ動画(加入してませんあしからず)や、Youtube動画、Google動画でも日本語の字幕付きで流れているようです。

あんまり広めるのも気が進まないのでリンクは貼っておきません。

ということで、以前、ブログReal Climateの中で紹介されていた記事、
Swindled! 詐欺だ!
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2007/03/swindled/
の中で、懐疑派の主張の批判をしていたところを仮訳しておきます。
それでもって、関連ブログにトラックバックやコメントを送っておきましょう。

−−−
・CO2 doesn't match the temperature record over the 20th C.
「大気中CO2濃度は20世紀の気温変動記録とマッチしていない」

 それはそのとおりだが、そもそも(温暖化派も)そんな主張はしておらず不適切な表現だ。
 番組では1940-80年の間の急激な気温低下(たまたま変に強調されているグラフのようだが)を紹介するのに長い時間を掛けていた。温暖化理論の主要な欠陥のように表現していたが、とても欺瞞的である。
なぜならGCM(気候モデル)の中では1940-70年の間の気温低下期間は充分よく再現されており、その多くは硫酸エーロゾルが原因である。
 これはthe IPCC TAR SPM fig 4
http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/figspm-4.htm
や more up-to-date AR4 fig 4
http://ipcc-wg1.ucar.edu/wg1/Report/AR4WG1_Print_SPM.pdf
で示されている。ということで、省略のウソとなっている。


・The troposphere should warm faster than the sfc, say the models and basic theory.
「モデルとその基礎理論によれば、対流圏はsfc(地表面温度)よりも急速に温暖化するはずである」

まさにその通りでそうなっている、但しMSU(人工衛星による観測)のクリスティらによる何度もの校正版データに執着していなければ。
 (IPCCに参加しているからと言って中身には同意していない、と語っていましたが)クリスティは、自分が執筆したUS CCSP報告書の要約を度忘れしているようだが、そこではかつて(過去形になっています)報告されていた地表面と高度の高い大気温の不整合は気候モデルの信頼性と人為的地球温暖化の真実に疑問を投げかけるものであった。
 特に地表面データは実質的な温暖化を示している一方で、初期の人工衛星及びラジオゾンデデータは地表の温暖化の兆候を示していなかった。人工衛星及びラジオゾンデの誤差が確認、校正された結果、現在ではこの著しい不整合は存在していない。新たなデータセットではこの不整合はなくなっている。、と書かれている。過去記事はこちら。
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2005/08/the-tropical-lapse-rate-quandary/


・Temperature leads CO2 by 800 years in the ice cores.
「過去の氷床コア記録では、気温変化がCO2の変化に800年先んじている」

 彼らが言うほどではないが、基本的にその通り。とはいえ、彼らは間違った紹介をしている。彼らの説明の仕方では、読者は気温とCO2には逆相関があると思ってしまうだろうが、実際に40-80万年間のコア記録グラフ全体を見れば、わずかすぎて時間遅れを見つけることすらできないだろう。
正しい説明の仕方は良く知られている。気温とCO2には(正の)フィードバックが働いているのだ。
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2004/12/co2-in-ice-cores/


・前半は、CO2により温暖化しているのでなければ何によるのだろう?という疑問につながるものだが、答えは"太陽だ"としている。
この説明部分は変に弱くグラフがないインタビューだけだ。スベンスマークの研究すら引用していない。他は以前からの議論の焼き直しだ。
 ちなみにスベンスマークらが太陽活動と気温が高い相関を示しているという主張の根拠になっていたグラフには問題点があったことが知られている。
see figure 1c of Damon and Laut.
http://stephenschneider.stanford.edu/Publications/PDF_Papers/DamonLaut2004.pdf

・ほかは、火山が人類よりも大量のCO2を噴出する
http://gristmill.grist.org/story/2006/12/17/223957/72
、あるいは中世期の英国にはブドウ畑があった
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2006/11/english-vineyards-again/
という話まで、懐疑派の議論のてんこ盛りだ。

・最後は政治で締めくくっているが、アフリカの発展の欠如を環境運動のせいにしている。政治を語るのは好まないが、番組では言っていないことを指摘しておけば、京都議定書では途上国の排出削減義務を免除している。(ブレイムゲームは止めろ。)
−−−

mixiのコミュニティ『地球温暖化について知りたい!』の「映画『地球温暖化詐欺』」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=32535993&comment_count=71&comm_id=1248569
の中でもいろいろ議論が出ていますね。

後日記:
Wikipediaの日本語版にも、英語圏のWikipediaでの解説の翻訳版が掲載されています。この文が紹介用には良いですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E8%A9%90%E6%AC%BA_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29続きを読む
posted by おぐおぐ at 20:15 | TrackBack(2) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

過去の目次■温暖化の科学編

■温暖化の科学編

●カテゴリー:温暖化懐疑派・否定論【27】
 地球温暖化&対策への懐疑論
 化石燃料ニセ情報キャンペーン(その1)
 化石燃料ニセ情報キャンペーン(その2)
 「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇1
 「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇2
 SF小説の紹介:恐怖の存在
 続・温暖化懐疑論について
 FOX Newsは地球温暖化をどう見るか
 温暖化懐疑論(その3)
 2/18東京:温暖化の原因と対策についての賛否討論会
 討論会の感想
 グローバルな炭素循環について
 科学論争は終わった−デザインコンペ
 ミッシングシンクはいつなくなったか?
 カオスな問答
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その1
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その2
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その3
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その4
 「正統」派の論点整理と論拠
 「地球温暖化のエセ科学について」in田中宇の国際ニュース解説、について
 『地球温暖化の国際政治学』by田中宇について
 CO2はすでに飽和説&水蒸気が主要因説への解説がでています (2007-06-30)
 懐疑派批判のパンフレットが出ていますね (2007-07-06)
 エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方 (2007-09-10)
 水蒸気の方が温室効果が大きい?ならば対策を講じなくては (2007-09-18)
 光・熱ふく射のエントロピー理論について (2007-12-19)


●カテゴリー:温暖化の科学【37】続きを読む
posted by おぐおぐ at 21:12 | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月18日

水蒸気の方が温室効果が大きい?ならば対策を講じなくては

 こんなニュースがありました。

Humans implicated in rising water vapor
http://www.mercurynews.com/breakingnews/ci_6919307
火曜日発売のPNAS誌の最新号で紹介された論文によると、地球温暖化が進む今日、1988年から2006年までの人工衛星による観測によると水蒸気も世界的に増加しているそうです。
 そしてこの気候変化を理解するための手段として毎度おなじみのコンピュータシミュレーションを行い22個の気候モデルを比較した結果、CO2による温室効果なしでは現象を再現できず、ありでは現象を再現出来たということです。

後日記: 同じ記事はこちらにも。
Increase In Atmospheric Moisture Tied To Human Activities
http://www.sciencedaily.com/releases/2007/09/070918090803.htm

 ここまで読んだ懐疑派の方なら、まーたかよ、コンピュータモデルなんて信じられない、とレッテルを貼ってよそへ行ってしまいそうですが、まあこのモデルの話は脇に置いておきましょう。


 一般に懐疑派の中で流布されている正統派批判の中で、CO2なんかよりも温室効果が高いのが水蒸気だ、現在地球を暖めている温室効果ガスの大半は水蒸気の効果によるものでCO2の温室効果なんてたいしたことない、という批判があります。
これはまあその通りで、水蒸気の温室効果が大きなこと、CO2の温室効果が小さいことはその通りです。

 地球温暖化指数(GWP)での評価においても、CO2の温室効果を基準値の1として他のガスを評価していますが、GWPが1以下のガスはそもそも温室効果ガスとはみられていませんし、GWPが数千から1万以上の人工的なガスも数多くあります。

 そして「その水蒸気が観測でも増加している」というのであれば、それこそが現在起こっているらしい地球温暖化の本当の原因なのではないか、本当の原因を解明して問題に対処すべきではないか、と考えたくなるのが当然の流れでしょう。
 続きを読む
posted by おぐおぐ at 11:11 | TrackBack(1) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。