2005年07月17日

有機薄膜太陽電池のシンポジウム

京大21世紀COEシンポジウム「有機薄膜太陽電池の最前線」というシンポジウムを聞いてきました。
http://energy.coe21.kyoto-u.ac.jp/200507sc.pdf

 2日間に渡って、近年の学会での発表動向と本人の研究を元に、大きく4つの角度(有機薄膜太陽電池、色素増感型太陽電池、有機EL素子、光合成科学)からの素材研究が紹介され、同僚の研究者の間で情報を共有した、という趣旨のものでした。参加者は大学の教授、若手研究者を中心に90名ほどでした。

 この4分野は90年代に素材の研究が進み、「共通する課題が顕在化している。今後は急速に融合しつつある」そうで、科学誌ネイチャーの表紙を飾っているような華やかな分子模型のユーレカ(発見)談を淡々と聞かされ、このへんの分野での発表というのは10年に一回くらい聞いていたのではとうていフォローできないということだけはよーく分かりました。

 国の外郭のエネルギー研究開発財団であるNEDOが昨年発表した太陽電池研究開発のロードマップでは、2030年に日本の総電力需要の10%(日本の家庭用電力需要を全て賄う量)を太陽電池で賄う野心的な普及予測を立てており、その太陽電池のシーズとして例示されているのが色素増感型太陽電池(いわゆる湿式のグレッツェル型太陽電池)ですが、むしろ総称を有機薄膜太陽電池とする技術というか、光合成をミミックする分子合成技術(いわゆるナノテクの一分野)に収束していくのだろうという印象を受けました。

(後日注:NEDOの2030年に向けた太陽光ロードマップhttp://www.nedo.go.jp/informations/other/161005_1/gaiyou_j.pdfによると、
「2030 年までに累積導入量100GW 程度、発電量として家庭用電力の1/2 程度(全電力の10%程度)が太陽光発電で賄えることを想定」しているということで、上の家庭用電力需要全部を賄うというのは誤りでした訂正です。)

 世界的な地球温暖化対策のための、いわゆるバックストップ技術となるポテンシャルを持っているのはこの技術あたりでしょうか。
 アメリカ系の一部の経済学者が主張するようなバックストップシナリオ、つまり、当面はこのようなバックストップ技術の開発に資金を全力でつぎ込み、ある時点から爆発的な投資を行うことで一気に普及コストダウンさせれば、コスト効果的に大幅なCO2削減を行えるというシナリオが本当に描けるのかどうかは疑わしいことです。
 それでもそのシナリオを検討する際には対象技術がこの有機薄膜太陽電池と想定しておくべきだろうと思われます。
 シンポでは一部、宇宙空間へ超大型の太陽電池発電衛星を打ち上げて地表までの遠隔のエネルギー輸送を行というシナリオも描いて研究をしていますが、まあこちらは絵に描いたもちで検討する必要はないでしょうが。

 今回発表の話題も含めて「有機薄膜太陽電池の最新技術」という本もシーエムシー出版社より11月に発行予定とのことです。(6万円台と高価ですが)

 以下、シンポの予稿集の中から「有機光電変換系の可能性と課題」(京都大学エネルギー理工学研究所 吉川 暹教授)より引用しておきます。
posted by おぐおぐ at 12:52| 再生可能エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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