2009年01月01日

適応策:2℃のラインを守れ、しかし4℃昇温に備えよ

 明けましておめでとうございます。

 ブログ『Transition Cluture』に、
9%, the Wizard of Oz and Sex
http://transitionculture.org/2008/12/10/9-degrees-the-wizard-of-oz-and-sex/
という記事がありました。本体の論旨も十分面白いんですが、そちらはおいておいて。

 そこで紹介されていたティンダールセンターのケビン・アンダーソンのプレゼンテーション(ppt版はこちら)を逐語訳してみました。
 以下にテキスト版を送ります。(逐語訳のpdf版はこちら、kevin-anderson-2J.pdf(その1)kevin-anderson-2J2.pdf(その2)
 (ティンダールセンターというのは、適応策についての共同研究をリードしているところなはずです。)

 果たしてこういう主張が国際交渉の中で取り入れられるものでしょうか?


・気候変動の枠組みの見直し−長期目標から排出経路への
Professor Kevin Anderson Director of the Tyndall’s Centre’s Energy Programme

・話の流れ
 1)危険な気候変動とは何だろうか?
 2)議論の枠組みの見直し - 累積排出量へ
 3)“バカ、エネルギー需要の問題だよ”
 4)航空と船舶輸送の役割は最重要
 5)挑戦に応える
… 英国の気候変動法?
 6)全世界の中でみると?

・危険な気候変動とは何だろうか? 英国とEUはそれを2℃の昇温と定義している
 大気中のCO2の総量とつながる
- 体積ppm(ppmv)として測定される
 現在は380ppmv で、毎年2-3ppmv増加中
- 産業革命前は280ppmv
 まだ、450ppmv CO2以下に保つことは可能
- これは70%の確率で2℃を超える
50%の確率で3℃を超える

・2℃のための「正しい」排出目標はいくらだろう?
 英国とEUは長期削減目標を持っている
- e.g. 2050年までに英国はCO2を60%削減する
 しかしCO2は大気中に約100年間留まる
 ゆえに、今日の排出は昨日分に追加され、明日もさらに付け加わる
 ということは、長期目標に焦点をあてることは非常に人を誤らせる

・サクッと言えば …
 最後にどれだけ炭素を削減できるか、は、危険な気候変動を避ける目的(つまり 2℃)との関連がほとんどない
 重要なのは
累積の炭素排出量だ

・この科学的に信頼できる思考法を使えば、我々が直面している挑戦はどのように変わるのか?

・銀行会計のアナロジー
 私たちは知っている:
  .. 2000-2050年にかけて、銀行にどれだけのお金を持っているか、 (炭素予算) を

・30%の確率で「危険な気候変動を避ける」ためには
 英国の予算は
  〜48億炭素トン
   2000-2050年に掛けて

・2つの質問が浮かぶ
 1.2000年から今日までの排出量はどれくらい?
 2.すぐの未来に定められている排出源はなんだろう?

・1の答え
 …2000-2006年の間の排出量は 〜12億炭素トン
 …つまり、私たちは50年間に許容される排出量の1/4を約6年間で使ってしまったのだ!

・2の答え
 グラフで確かめよう …

・この経路は、排出政策にどんな意味を持つだろう?

・グラフ:ほとんどの炭素は、今後15年間で排出される

・グラフ:←需要が大事 →需要と供給のどちらも

・… 航空はどう絡むだろう?

・グラフ:航空は現在英国の排出の7%を占める(自動車からの排出の1/2以上)

・もし2012年まで7%(過去平均)で増加し、2012-2050年の間は3%で増加したなら、

・グラフ:英国の排出の〜70%を占める

・… 船舶でも似たような状況になる

・気候変動法はどの経路を意味するのか

・国内排出の実績
(国際航空と船舶を除く)

・英国内の炭素排出量−法律の目標と経路

・グラフ:英国の累積予算−法律の意味するもの
 面積 = 累積炭素予算

・法律は〜6.0GtC (2000-2050)
(国際航空と船舶を除く)

・… 国際航空と船舶を加えると

・グラフ:例えば航空と船舶の伸びを低い率と仮定 (2000-2050)
 〜1.5GtC

・結果的に、法律が意味するのは:
- 英国の2000-2050年の全炭素予算は〜7.5GtC
- CO2の大気中濃度は650ppmvを超える
- ほぼ確実に2℃を超える
- 4℃を超える確率は50%

・… だから科学に基づいた2℃の気候変動法に含めなければならないものとは

・… 法律は :
 累積の排出量を目標の基礎に採用するべき
 2℃の目標が以前考えられていたよりもはるかに厳しいことを要求していることを認めるべき (毎年〜6から9%の炭素削減)
 航空と船舶を削減に含めるべき
 需要を削るための即時の行動が必要であることを認めるべき
  (低炭素の供給源に集中するのは間違いであることを認めて)

・グローバルな文脈で再考

・ティンダールセンターの
「グローバル排出シナリオ(CO2e)’」
 最近のCO2 排出トレンドは?
 要因を組み込むことの意味は:
  - 土地利用変化と林業?
  - CO2 以外の温室効果ガス?
 何時 CO2e のグローバルの排出はピークを打つか?

・最近のグローバルな CO2 の排出トレンドは?
 〜2.7% p.a. last 100yrs
 〜3.3% p.a. in last 5 years

・最近のグローバルな CO2e の排出トレンドは?
 〜2.8% p.a. since 2000
 〜Stern assumed 0.96%

・土地利用変化と林業の排出
 ティンダールの分析で使っているのは
  文献の中でも最も「楽天的」な推計
  ティンダールの非常に低排出シナリオ

・CO2 以外の温室効果ガスの排出
 ティンダールセンターで使っているのは
  短期のEPA 推計
  排出ピークまではティンダ−ルの楽天的シナリオ
  2050年までに低レベルで安定化

・何時、グローバルなCO2e の排出はピークを打つか?
 USA -2025
Stern -2015
Tyndall-2015,2020,2025

・何時、グローバルなCO2e の排出はピークを打つか?
 USA -2025
Stern -2015
Tyndall-2015,2020,2025

・グラフ:これらすべてを組み込むと、450ppmvCO2e の未来はどうなるか?
cc1-300x211.JPG

・550ppmv CO2e のためには
 2020年までに排出をピークを打たせ:
  CO2eの年率6%削減
  エネルギー起源CO2 の年率9%削減

 650ppmv CO2e のためには
 2020年までに排出をピークを打たせ:
  CO2eの年率3%削減
  エネルギー起源CO2 の年率3.5%削減

・そのような削減の過去事例は?
 毎年1% 以上の排出削減は、これまで「経済停滞や不況に伴っておこっただけだ」(2006年、スターン卿)
 英国の天然ガス転換とフランスの40基の原発展開で 年率〜1%の削減(航空と船舶を除く)
 旧ソ連経済の崩壊で年率〜5% の削減

・私たちにどんな手が残されている?
 できたと仮定して:
  … 過去にない排出の緩和策の革新が行われ
  … 650ppmv CO2e での安定化が、私たちがますます最善の成果と期待できるようになる
  i.e. 〜4℃以上の人為的な気候変動を意味する

・結論として
 私たちは緊急に、気候変動議論の枠組を変える必要かある:
  緩和策としては
   政策を動かすために2℃目標を残せ
  適応策としては
   4℃に耐えるための政策が必要

・… 究極的には ..
 “どのレベルにおいても、世界を変える上で一番大きな障害は、それが可能である、と想像する想像力と明確さに我々が欠けていることである。”Roberto Unger

・1人が寝室が3つある家に住み
 パティオ暖房をもち
 台所の照明に10 個のハロゲンランプを付け
 70kg の身体を3マイル移動させるために3トンの4WD車を運転し、子どもを学校に送り、
 ビジネスマンは私用ジェット機に乗り
 学者は気候変動会議に参加するため飛行機に乗り
 ミュージシャンも気候変動コンサートで飛び廻り
 どこへ/いつでも、飛び/ドライブする「権利」を持ち
 セレブの贅沢を賞賛し
 プラハで七面鳥パーティ、バルセロナで誕生日会
 一年中イチゴを食べ
 2ドア冷蔵庫にホームシネマ
 別荘に2台のクルマに3台のテレビ
 そしてこの星には90億人が暮らしている!

・おしまい
−−−

 しかし、たまたま、この9%という数字は、IEAが評価した、生産量ピークを過ぎた大規模油田の自然減耗率と同じ数字です。
http://sgw2.seesaa.net/article/127917473.html

 これはヤッパリ天の助けというものかと思います。だとするとまずは既存油田への投資を枯らすことが緩和策政策の第一目標となるでしょう。
posted by おぐおぐ at 12:35 | TrackBack(0) | 適応策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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