2008年07月27日

本の紹介:『プランB3.0』byレスターブラウン

 遅ればせながら、この6月16日に発刊された本『プランB3.0 人類文明を救うために』をようやく読みました。

プランB3.0 人類文明を救うために

 プランBという同じ表題で発行された本の、今度は三冊目となります。

 レスター・ブラウンの名前は、元ワールドウォッチ研究所で毎年発行していた、データでもって各種の環境問題を訴える『地球白書』が話題になったことで知りました。
 本の後書きで共同通信の井田記者が紹介しているように、2001年から、レスター・ブラウンは新たにアースポリシー研究所という組織を立ち上げて、よりアドボカシー活動を強化しているその主要な主張が、これらの『プランB』シリーズなのでしょう。

 帯より。
「(CO2)排出量は80%削減できる」
「バイオ燃料は食料を脅かす」
「石油・水・食料はゼロサム時代へ」

 また、はじめに、より。
「『プランB3.0』には最優先すべき目標が4つある。「気候の安定」「人口の安定」「貧困の解消」「地球の生態系の修復」である。気候の安定をめざす構想の中心になるのは、地球の気温上昇を最小限に抑えるために、2020年までに二酸化炭素排出量の八〇%削減をめざす詳細なプランである。この構想には三つの要素がある。「エネルギー効率の向上」「再生可能エネルギー源の開発」「炭素隔離のための森林伐採の禁止と数十億本の植林による地球の森林面積の拡大」である。」

 特にピークオイル問題との関連で言えば、
「(プランB2.0を発行した)二年前、石油増産の可能性は、オイルメジャーや権威筋の予測よりも、大幅に少ないことを示す早期兆候があった。だが、いまでは、ピークオイルはすぐそこに迫っている可能性がある。二年前、石油は一バレル五〇ドルだったが、本書を執筆している二〇〇七年後半の時点で、九〇ドルを超え、なおも上値を追っている。」(はじめに、より)
としており、
 第T部「世界は今後どうなってしまうのだろうか」不安をもたらす現状の章の始め
の第2章丸々を使って、「ピークオイルとフード・セキュリティー」という章で詳細に解説しています。

小見出しは以下の通り。
 ピークオイル−先細りの石油資源
 石油に依存している今日の農業と食料
 一変した食料の展望−過去最低の世界の穀物在庫
 食料vsバイオ燃料
 ピークオイル後の世界
 フード・セキュリティーと破綻国家

 もちろん、この本の売りは、ハンセンらによるグリーンランドの氷床融解の警告や北極の海氷のアルベドフィードバック問題が明らかになったことで、レスターブラウンの危機感が高まっているせいで、はるかに野心的な温暖化対策目標が設定されていることなのです。
 ですが、このピークオイル問題と食料問題が出てきたこと、あたりが新しいバージョンアップを必要とした問題意識なんだろうと思います。

 地球白書の問題点とも共通することですが、総論は、地球環境問題の全体を全体としてそのまま把握する力のある人にとっては包括的で良いと分かるプランなのでしょう。
しかし問題の全体像を読み通して絶望に打ちひしがれない人というのはかなり少ないのでは?ないでしょうか。
 (この点ではSharon Astykの記事Everything you need to know, in order
の中でもっとも重要な学ぶべきスキルとして挙げている”1. How not to panic. - This is probably the most important skill set - when stuff gets hard, you need to focus and do what needs doing.”という態度を取ることが大事なのだと思います。)

 全体は全体としてシステム思考に基づいて解決することが必要だとしても、アル・ゴアの先日の解決法提案のような、噛み砕いた短縮形の解決パッケージとしてしか、多くの人々に同時に伝えることは不可能だろうと思います。
 逆向きにみて、アル・ゴアのプレゼンがなかなか筋がいいものになっている根拠として、この本の主張する全体像を見るべきか、とも思いました。
もちろん、これほど全体像を提示できている環境NGOは他にないわけですから。リンク
日刊温暖化新聞:あの人の温暖化論考
レスター・ブラウン「プランBという挑戦 すでに私たちは「危険な気候変動」に直面している」
http://daily-ondanka.com/thoughts/lrb_01.html

ワールドウォッチ・ジャパンでの紹介ページ
http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyupdate2008-3.html

JanJan記事:レスター・ブラウン氏講演 温暖化の危機は「人類文明の存続」さえも脅かす 
http://www.news.janjan.jp/world/0806/0806130520/1.php


posted by おぐおぐ at 18:59| 温暖化の政治学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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