2008年03月21日

経産省手抜き試算でG8サミットの足を引っ張る

日経:温暖化ガス排出量、省エネ進めば20年度に11%減・05年度比
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080319AT3S1802218032008.html

 かつて経済産業省さんは、1994年頃には2000年までに90年比0%削減すると公約しておりました。(できなければCCSを実用化してでも達成する、と啖呵を切っていた兄ちゃんもいました)
 京都議定書の中97年には、2010年頃の5年間平均で毎年、90年比6%削減と公約しておりました。
なのに、90年比8%くらい拡大している05年基準で11%削減し、 2020年になってようやく90年比では4%削減できます、という数字を、努力すればここまで可能です、と出しててよいのでしょうか。
 対策の中身が高価なものばかりならべていること、原発増設で対応するという、できもしない##の一つ覚えがまだ残っていることには反対ですがそれはさておき。


●費用について

”排出量を減らすために企業や家計が払うコストは08―20年度の累計で52兆円にのぼる。”
と書いていますね。だから大変なんだよーと言いたいのでしょう。

ロイター通信:Japan can cut emissions 11 pct by 2020-Trade Min
http://www.reuters.com/article/latestCrisis/idUSL19673300

ウォールストリートジャーナルにも記事が出ています。
In Kyoto’s Home, Japan Tallies the Costs
http://blogs.wsj.com/environmentalcapital/2008/03/19/in-kyotos-home-japan-tallies-the-costs/?mod=googlenews_wsj

 特筆すべきことはWSJの記事の中で引用されているロイター電にしても、削減できるコストは含まれていないことをきちんと指摘していることですね。
"Granted, the study didn’t try to account for possible cost savings from greater efficiency, and based its estimates on present technology"

 一般に、省エネばかりではなく代替エネルギーにしても費用対効果評価で重要なのは、化石燃料の消費を回避することで浮いた費用で初期投資に使った費用を早期に回収することができる点です。
 その規模をざっと試算してみましょう。基準年のCO2排出量 約12億トンCO2 (後で見ると他の温室効果ガスも合わせてこのくらいの数字ですね、過大評価でした。)
Bauからの排出削減比率 1.08*0.19=0.21
BauからのCO2排出削減量 2.46億トンCO2

原油の排出係数0.02tC/GJ
原油の単位発熱量38.2GJ/kL

原油削減量=2.46億/44*12/0.02/38.2kL=0.94億kL

原油価格 現在のドバイ原油価格を使えば、59500円/kL

0.94億kL * 59500円/kL =約5.6兆円

となります。
 ここでは3種の化石燃料の内では一番高価格であるだろう原油の消費を優先して抑えるだろうという想定にしました。

 より安価な石炭を削減燃料のポートフォリオに組み込めば、燃料費の低下はこれよりも少なくはなりますが、これまでの企業の経済性のみを考える対応をみればありそうにないことです。
 また、皆さんご存知?のピークオイル危機が2020年より前に発生することで、このような「安い」原油価格の想定がほとんど非常識になるほど高騰し、供給そのものも不安定化するだろうことも想定すべきですので、まずは原油だけを削減するものとしました。

 さて、対策にかけたコストは、12年間で52兆円なので毎年均等に分割すると4.3兆円の出費になっています。

ということで、この大変高価な対策をしても、2020年時点では5.6兆円−4.3兆円=1.3兆円ほども儲かる対策のポートフォリオであるというファンキーな結果となりました。

 初期投資の数年間には確かに金がかかるとしても、対策で得られる成果を示さないのはいかがなものでしょう。


 経済産業省のお役人さん、武家の商法はそろそろ止めるべきではないでしょうか。
米国での削減費用試算の例はこちら。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/stopglobalwarming/12109.html

 足を引っ張る部下ばかりで、かわいそうな福田首相です。


  お役人シリーズ

お役人 仏の顔も 三度まで

お役人 ところかまわず バウと吠え
  (Bau=成り行きケース、Bussines as Usual)

お役人 道路作らず ガス減らせ
  (道路特定財源は10年間で59兆なのでこの程度の費用はそっくり賄えます…と言ったって、お役人に任せてりゃ絶対失敗するでしょう。)

後日記:
 元資料はこちらに掲載されました。
総合資源エネルギー調査会需給部会(第7回)  配付資料
この資料によると、エネルギー起源CO2についていえば
 90年には10.6億トンCO2
 2020年には90年比で+17%から-3%まで20%分(ずいぶんきりが良すぎる数字ですねえ)を削減する想定ですので、
 エネルギー起源のCO2排出削減量は 2.12億トンCO2
 原油削減量=2.12億/44*12/0.02/38.2kL=0.76億kL
 節約できる原油代金=0.76億kL * 59500円/kL =約4.5兆円
となって、ほぼトントンということになります。

 つまり収支トントンとなる程度の対策しか行わないことを想定して、しかも節約できる石油の費用は隠して発表している?という、意図的な対外的にズルイ態度なのかもしれません。


 長期エネルギー需給見通し(案)について−エネルギー起源CO2排出量の見通し− という資料がありました。
”○この度公表された長期エネルギー需給見通し(案)では、2010年時点の実際のエネルギー起源CO2の排出量について、90年総排出量比+5%程度を想定しております。

○これは以下の理由により、京都議定書の▲6%目標の達成と整合的です。

@今回の見通しは、+5%程度となっていますが、先に発表した2010年エネルギー需給見通しでも明らかなように、CO2以外の温室効果ガスとして、代替フロン等の削減が▲3.1%進展すると見込まれており、これを考慮した温室効果ガス全体の伸びは、+2%程度となります。

A他方で、そもそも、京都議定書の▲6%目標は、政府自らが財政出動によって実現するものとして、森林吸収で▲3.8%、また京都メカニズムの活用で ▲1.6%を織り込んでおり、これらを勘案した実際の排出量の目標は▲0.6%と言えます。したがって、この目標と見通しの差は、実際のところ、2.6%程度です。

Bこの差は、産業界の自主行動計画において、自らの費用により京都メカニズムを活用しようとしている量(2.6%)と一致しているため、相殺されることとなります。”

 経済産業省は、@西暦2000年目標も達成できませんでしたし、A97年当時の目標、エネルギー起源CO2の2010年0%も今回は断念したわけですから、B2008年に立てた目標、エネルギー起源CO2の2010年5%増に抑制するとの目標の達成も無理、と見るべきではないでしょうか。

石井孝明の「温暖化とケイザイをめぐって」
温暖化対策にいくらかかるのか〜富の1%を提供できますか?
http://wiredvision.jp/blog/ishii/200804/200804031200.html

長期エネルギー需給見通しについてのパブリックコメント募集開始〜4/25まで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=620208009&OBJCD=&GROUP=


posted by おぐおぐ at 05:50 | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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