2008年01月27日

福田首相はどんな気温安定化目標を想定しているのか?

福田首相のダボス会議(世界経済フォーラム)での発言
朝日:福田首相の特別講演全文〈3〉より

 ”昨年ノーベル平和賞を受賞した科学者たちの会議IPCCは、破局を避けるためには地球全体の温室効果ガスが次の10年から20年の間にピークアウトし、2050年には少なくとも半減しなければならないと警告を発しています。
 私は国連にピークアウトと温室効果ガス排出半減の方策を至急検討するように要請します。”

 一方、IPCCの元の文書はこちらです。
 ここの表SPM.6によれば、カテゴリーIという最も厳しい温暖化対策を行うためにはピークアウトする年は2000〜2015年、つまり今年から7年先までにしなければなりません。また2050年に2000年比-85 〜 -50%排出量を減らすとしています。
「最悪7年先にピークを打ち、2050年には2000年比50%以上削減」よりも緩く遅い削減目標では、カテゴリーII以上の昇温を許容するものとなってしまいます。

 そして福田首相がIPCCの推奨として示した数字「次の10年から20年の間にピークアウトし、2050年には少なくとも半減」は、カテゴリーIIとカテゴリーIIIの折衷案のような数字でありこんな数字をIPCCが実際に推奨しているわけではありません。

 とはいえ福田首相がこの数字を出すからには、最も厳しい対策であるカテゴリーIを目指していないことは明らかです。

 日本政府は、産業革命以降からの温度上昇幅2.4-2.8℃での安定化(カテゴリーII)ないし2.8-3.2℃での安定化(カテゴリーIII)程度を提案したものと言わざるを得ません。EUが主張してきた2℃未満安定化という主張からは大きく後退した遅れた気温安定化目標を想定しているものと言えるでしょう。後日記:
日経:首相、2050年の温暖化ガス排出「国内で半減以上も」
の中では、福田首相は「他国が半減できなければ日本がその分頑張らなければならない。20―30年の間にピークアウト(減少に転じる)しないと達成できない」と強調したとのこと。
論外ですね。2020-30年なのか、今後20―30年後なのかは分かりませんが、日本が2050年50%以上をカットしようとすれば、より早期から削減ルートに乗らないと後になっての削減行動も難しくなりますから、結果として不可能になるでしょう。
それではBauの方策です。

後日記:
 福田首相は前日の報道からは、さらに微妙に軌道修正した答弁をしているようです。ダボスで注目された高揚感からポロポロ失言している、というような批判を受けているのかも?しれません。

1/29衆議院予算委員会 小池百合子議員質疑

小池議員
 地球温暖化について、また洞爺湖サミットについて引き続き総理に伺います。
昨日この予算委員会の場で、日本の国別総量目標ということで、2050年に50%以上の削減という具体的な数値が総理の口から出てきたのは、私はこの昨日の場が初めてであったと、このように認識してございます。
 ただ、温室効果ガス濃度を安定化させるというのが究極の目的なわけですけれども、科学的に言うとですね、先進国は60〜80%の削減が必要であるというのが相場となっているわけでありまして、2050年に50%以上、以上というのはにょろっとついて非常に幅が広いわけでございますけれども、50%で止まってしまうと後退と見られかねない。
 ましてや科学的な相場から行きましてもそれよりもかなり低いという位置づけになってしまいます。

 また、京都議定書から現在ブッシュ政権が離脱しているとはいえ、例えばマケイン上院議員今の候補者ですね、がかねてより進めてきた仲間であるリーバーマン議員などを含めるリーバーマン・ウォーナー法案というのが上院委員会を可決いたしております。50年には70%、産業分野で70%、国全体では63%という数字を出した法案が可決をしているところでございますし、今闘っている民主党側のオバマ、ヒラリーそれぞれ、2050年80%という数字を出してきているわけでございます。
 もちろん中国やインドを引き入れなければならないという、きわめて難しい交渉ですけれども、国別の目標を設定する、それも我が国の我が国としての目標を決めるのは、我が国が決めればいいわけでございますので、これについてはより明確な数値の設定ということがどのみち必要になってくるのではないかとこのように思います。

 また、積み上げ方式での国別総量目標という考え方でございますけれども、たぶん今ダボスでご発言があって、まだまだ世界全体のダボス発言についての反応がまだらというかよく分からない。
急にゴルフのヤード表示からメートル表示になったような部分があるので、もしくは、ティーグラウンドがバックティーからレギュラーティーに変わったというか、若干そのへんのところでみんないろいろ、ん?て思って計算しているところなんだろうと思います。
もちろんこれで新しい日本の提案したルールがマーケット、もしくはルール全体を世界のルールを決めていくのにつながっていけばそれでいいと、このように期待するところです。
総理ご自身の勝算はいかがでしょうか。

福田総理
 委員がご指摘になりました私昨日の答弁の中で申し上げました、2050年これ50%削減というのはこれは世界の目標なんですね。で、我が国もとりあえず50%削減はこれはしなければなりません。しかし他の国がそこまで行かないというのであれば、先進国は我が国も含めてさらに低い数値を出さなければ目標を掲げなければいけないとこういうことになるわけですね。
しかし現在2050年50%削減で本当にいいのかという議論も当然あると思うんですよ。ですからこれからそういうこれからの科学的な予測とか、実行能力とか言ったようなものを勘案しながらですね、数字をそのうち改訂されるかもしれん、とこういうことになります。
ですから日本はそういう状況の中で日本はどうするかといえば、やっぱり日本は2050年にはもうCO2排出ゼロのエネルギーを開発するとか、いったようなことをこの20年30年の間にしていかなければいけないのではないかとこういうように思いますし、そのために具体的にその第一歩をもう踏んでいるわけでありますけれどもそういう方向に向かって開発のテンポを早める努力をしなければいけない、そういう提案もしているわけでございます。

 ですから今、何パーセントでどのくらい本当にできるかといったような議論というのはなんといいますか、あんまり意味はないわけじゃあありませんけれども、しかしそれよりも、より現実的に今何をするか、第一歩をどこで踏み出すのか、今できることはあるわけです。例えば完全なエミッションゼロではないんだけれどもしかし省エネとかそういったことによってそういう方向に向かえる技術もあるのでそういう技術もまずは普及させていくということも大事なんではなかろうかと思っております。
またこれを日本だけでやるということではなくて、他の新興国途上国にもそういう技術を移転するということも考えていかなければいけない。そして世界全体でですね、今現在なにができるか、それを実行していくということが問われています。
 まあ、いずれ、中間的な目標値も出さなければいけないと思います。
我が国としての意思も示さなければいけない、そういうこともございますけれども、これはそうか、他の国もそういうやり方であれば公平だな、と思うようなものでないと長期的な目標として協調して実行するということにならないわけですから、そのへんは今年G8議長国という立場もありますんで、よくそういう関係と協議をしたい。
G8だけでない、新興国、途上国とも話をしていかなくてはいけない。そういう問題だと思っております。

小池
 もちろん現実を考えなくてはいけなくて、そして省エネ、日々行っていかなければならない。ただ、私は積み上げ方式という形になりますとですね、今出来るところをやっていくならば、2050年の50%削減というのは到底無理だろうと。
であるならば、たとえば月火水はもう自動車には乗らない、とかですねそれぐらいのかなり激しい話が実は2050年に50%というのを確立するためには、実際には必要になってくるであろうと、このぐらいのものであると。
ですから積み上げ方式よりもむしろ、御旗を立てておいてそこから逆算するぐらい、それによってイノベーションを図るというのが私は必要なのではないか。それを実現するために省エネを毎日の部分のところの技術開発を行うと、両方からだと思いますけれども、まずやはりここがゴールなんだということをもう少し明確に言うべきではないか、と私は思います。
 で、また、たとえば日本はそもそも石油資源がないという前提に立ってすべて考えなければいけないのであるならば、ちょうど70年代の石油ショックで味わったときのようなですね、もっと大胆なことをですね、次々とやっていかなければならない。
例えばロンドンではこれもロンドン市でございますけれども、一般家庭の白熱球をですね、3日間に渡って無料で換えますと、これをLEDの電球に換えますということを実施をいたしております。
これによって大体白熱球から出る部分の5分の1で済むということをロンドン市内全体でやったならもう大変なものになります。
それからこれもロンドンでございますけれども、自動車の市内乗り入れの制限をし、混雑税コンジェスチョンチャージとかロードプライシング制度とか導入をしている、こういうことで、非常に政官財三者一体となってまさに低炭素社会を目指すんだとそういう勢いたるや大変なものがございます。
 ましてやイギリスは産油国でございます。ですから石油のない我が国にとりましてより本格的に取り組んでいくためにも大きな目標が必要なのではないか、またそのためにも環境税の導入ということは避けて通れない道になるとこのように思うわけでございます。
 そういったことでぜひともこのG8サミット、非常に今年は難しい年であること良く分かりますけれども、ぜひとも総理の明確な目標設定と、それから各国を引き入れるためのご努力を期待をするところでございます。
 と同時に洞爺湖サミットをぜひともカーボンオフセット型にしていただきたい。つまりハイリゲンダムサミットの時に3日間で使ったCO2の量は約3万トンといわれておりますけれども、それと同じことを考えるならば、この3万トンをどこかで相殺すると、私はぜひともアフリカの植林で相殺をしていただたらいかがかと。
 例えばその時には3000万本の植林を行った、マータイさんの力を借りるというのも良いのではないかと思っておりますし、日本にとってはアフリカは若干遠いという思いがある人は多いと思うんですけれどぜひその植林という活動を通じてアフリカで身近として、そしてまた温暖化対策という具体的な問題、これらを二つをアピールするためにもですね、こういう形を取られてはどうかと思いますけれども、お考えを伺って、質問を終わりたいと思います。

福田総理
 温暖化問題はですね、省エネだけでは済まないんです。省エネ以上に経済成長が進んでしまえば排出量は増えてしまうというそういう結果になりかねないわけでありまして、やはり総排出量っていうものを規制していかなけりゃいけない。
またその目標を立てなけりゃいけない、っていうことは当然のことでございますんでそういう目標を設定して、そして世界で協力しあいながらカーボンをなくしていくという努力をしていくのは当然のことでございます。
 いまご提案具体的にございましたけれども、洞爺湖でカーボンオフセット、その構想はですね考えております。どこでどういう風にするか、ということもございますんで、一番納得のいくような方法を考えたいと思っております。
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WWFJapan山岸氏のブログより
昼夜が逆転してきた・・・
http://d.hatena.ne.jp/rdaneelolivaw/20080126


posted by おぐおぐ at 10:06 | TrackBack(2) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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