2008年01月18日

福田首相への環境NGOからのメッセージ

 ダボス会議の場で福田首相がどんな発言をするのか、は今年の最初の国際的な働きかけに関わる戦略問題です。

環境NGOsよりのメッセージが出ていますので、コメントがてら転載をしておきます。

 2008年1月18日
ダボス会議での総量削減目標設定の決意表明を要請
〜日本のNGOと国際NGO、それぞれが福田首相へ書簡〜

 気候変動に取り組む日本のNGO7団体と、世界各地の約400団体で組織する国際NGO「気候行動ネットワーク・インターナショナル(CAN)」を代表して米国CANのディレクターのそれぞれが、福田首相に宛てて書簡を送付しました。

 書簡では、福田首相に対し、23日からスイスのダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、日本が2020年の総量削減目標を掲げる方針を表明することを要請しています。

 現在政府内で、ダボス会議に向けて日本の削減目標表明をどのように行うかについて最終調整段階にあるとのことですが、日本国内のNGO、そして世界各国のNGOは、総量での削減目標設定の方針を発表すれば、G8洞爺湖サミットの成功のカギを握る重要な日本の動きになると、大変大きな注目をしています。

英語(PDFファイル 105KB)

日本語(html)

以下、日本語部分を。
−−−内閣総理大臣 福田康夫 殿

2008年1月17日

環境エネルギー政策研究所(ISEP)
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
WWFジャパン
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)


拝啓

 私たちは、日本で気候変動問題に取り組む環境NGOです。

 新春のご挨拶を申し上げると同時に、私たちは、本年2008年は、洞爺湖サミットを控え、日本にとって重要な年であると考えていることを申し述べさせていただきたいと思います。

 特に、福田総理大臣におかれましては、1月23-27日に開催されますダボス会議に出席されるとお聞きしました。この会議に出席されることは、G8の議長国として、気候変動問題についての日本の姿勢を国際社会に向けて大きくアピールすることが出来る絶好の機会です。

 ご承知の通り、洞爺湖サミットの大きな議題の一つとして、気候変動問題があります。世界で最も排出量の多い国々が集まり、京都議定書以降の世界的な取り組みについて、2005年より話し合いを行ってきたグレンイーグルス・ダイアローグの結果報告を受ける、と言う重要な任務を負っていることを始め、洞爺湖サミットでの合意を、国連気候変動枠組み条約や京都議定書のもとでの2013年以降の国際的取り組みに関する交渉プロセスを加速させることにつなげていくことが、G8でこの問題を話し合うことの重要な意義と私たちは考えております。

 そのため、G8議長国のデビューの場であるダボス会議において、福田総理大臣にその演説の中でぜひとも触れていただきたいのは、2020年までの日本の総量削減目標に関してであります。

 ご存知のことと思いますが、先ごろインドネシアのバリで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議及び京都議定書締約国会議(COP13/COPMOP3) において、日本が数値目標に対して非常に消極的であったことが、国際的に大きな非難を受けました。最終的に、アメリカも参加する条約の下での決議文に直接数値目標は入らなかったものの、IPCCの第4次報告書第3作業グループ報告の中で必要な削減数値目標が述べられている部分が、脚注に入れられました。また京都議定書のもとで行われている特別作業部会(AWG)の決議文の中には、はっきりとIPCCの報告書が勧告している、2020年までに先進国の取り組むべき削減量の幅に関する文章が詳細にピーク年とともに入れられ、日本政府もそれに合意しました。

 これを受け、今日本政府に求められているのは、その中で日本は国別総量削減目標を維持するのか、どのくらいの削減量を目指すのか、それに向けて今何をするのか、と言う点であり、この点に関して、日本政府はいまだ明確な発言はしていません。それゆえ、ダボス会議での福田総理大臣の発言に世界は注目しています。ここで日本の中期的な総量削減目標に触れる発言がないと、洞爺湖サミットへの期待はしぼみ、日本はこの問題でリーダーシップが取れないとみなされかねません。

 ぜひ、日本が国別総量目標を維持することを明言するとともに、日本の中期目標としての 2020年総量削減目標について、その場で具体的数値はあげられないとしても、「G8での議論素材として、できるだけ早く発表する」と言うような発言をしていただけるよう、お願い申し上げます。原単位目標、セクター別目標、効率目標などは、国別の総量削減目標があってこそのものであり、追加的なものであるべきです。

 気候変動は、加速的に進んでおり、年ごとに被害も増大しています。被害を最小化する努力のため、そして洞爺湖サミットの成功のため、ダボス会議でのご発言に私たち日本の環境NGOのみならず、世界中が大きな期待をしております。どうかよろしくお願い申し上げます。

敬 具

連絡先:
環境エネルギー政策研究所:大林ミカ TEL: 03-5318-3331 FAX:03-3319-0330
「環境・持続社会」研究センター(JACSES):足立治郎 TEL:03-3556-7323 FAX:03-3556-7328
気候ネットワーク: 浅岡美恵 TEL: 075-254-1011 FAX: 075-254-1012、平田仁子 TEL:03-3263-9210 FAX:03-3263-9463
WWF ジャパン: 鮎川ゆりか, 山岸尚之 TEL: 03-3769-3509 FAX:03-3769-1717
地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA):早川光俊 TEL:06-6910-6301 FAX:06-6910-6302
−−−
(この日本語版には5団体の名前しかありませんが、後の2団体FoE Japan、グリーンピース・ジャパンの名前も含めたプレスリリースが流れています。やっぱり7団体なのでしょう。)

 うーん、ナニやら深刻な懸念があることはサラッと流して日本が行うべき2020年の削減目標を求めているのですが。

 日本政府がクールアースの2050年半減目標を言い出したからと言って、まだ2℃気温安定化目標を日本の目標だと明言してはいないからには、IPCCAR4のカテゴリーAA(I)の目標も日本の目標だとは明言していないことになります。カテゴリーについては、こちら(IPCCAR4における排出削減経路の紹介)を参照してください。
 もちろん日本政府が単独ではカテゴリーAA以外の目標を主張する度胸がないのは明らかですが、だからこそ最後のG8の場で去り行くブッシュ政権にその主張を期待するのではないでしょうか。
 本当はクギを差すべき項目が抜けていると感じてしまいます。

(英語版では以下の数字に関する項目も入って、カテゴリーAA(I)の対策を求めていることが明白なのですが)
”Additionally, before the G8 Summit, we expect you to announce the scale of Japan’s target, which should be in line with the -25-40% range agreed at the Bali conference under AWG of the Kyoto Protocol.”

後日記:
1/18朝日:温室効果ガス 排出ピーク時期の世界目標呼びかけへ
http://www.asahi.com/politics/update/0117/TKY200801170329.html?ref=rss
 この記事によれば、
 ”政府は今回、排出半減の実現に向けた中間的な到達点としてピークアウトに着目。目標時期を各国が共有することで、省エネの推進や新規技術開発などガス削減に向けた各国の具体的行動を加速させたい考えだ。”

 そのピーク年は今後10−15年後であるべきものです。そうでないものはCategoryIIよりも大きな排出量を想定していることになります。これは世界的な災厄を意味しますから、日本政府がこういった方針を提案すれば袋叩きになるおそれがあります。
 本来G8の議長国としては、バリ会合の場で日本政府の考える目標を表明するべきでした。それをしなかったのは米国の意向が通りやすい場で世界を売り飛ばす合意をしてしまいたいのでしょう。
ブッシュ政権に洞爺湖G8サミットの機会に日本政府の逃げの態度を代弁してもらいたい、という卑しい根性が見え隠れすると思ってしまいます。

 自分たちの政府を誇らしく思える日はいつでしょう。


posted by おぐおぐ at 21:03 | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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