2008年01月16日

道路特定財源問題に関する見解

 道路建設のための特別会計の財源となっている自動車関係税の減税話が、政治の議題に乗ってきているようです。昨夜は少なくとも3つの民放テレビ番組で紹介していました。

 分野としては3つの次元での対立軸がそれぞれ別に起こっているかと思います。

●1.暫定税率廃止←×→維持

 原油高騰もあり、30年以上も続いてきた揮発油税の中の暫定税率を廃止することが第一の論点となっています。(もともと期限付き立法だったので、来年3月末の期限切れを前に延長の法律改正を可決・成立させなれば廃止となるため)

 民主党のチラシによるとこれでガソリン価格が25円安くなるはずとしています。
TBS調べの世論調査では
 ガソリン価格高騰を重視しやめるべき…79%
 税収不足を重視し続けるべき    …19%
です。特に、総計の中で98%もの人が回答した、つまり「分からない」と答えた人の少なさは重視すべきです。
 世論の意思はそれぞれ堅いと見るべきでしょう。

 ガソリン高騰の折、一回限りの自動車ユーザー向けにアメをあげよう(とはいえ今後取立てをしないだけですが)という提案です。

・廃止派
 民主党が政治論争を仕掛けるために廃止を提案して、キャンペーンも始めました。

・維持派
 自民党は道路(土木建設)族と財務族の声が高く、自動車族の声はかき消された感があります。3月末までに予算関連法案を通すことを決定しています。
 民主党の中の土木業界とつながりのある議員は造反覚悟で維持を主張するつもりのようです。

 さて、実際に3月までの国会で議論されるかどうかは別にして、以下の二つの論点も以前から根強くありました。●2.道路特定財源の一般会計化←×→維持
・一般化派
 与党財務族

・維持派
 与党道路族

 この問題は財政再建との関係の綱引きとなっています。


●3.道路特定財源の環境税化←×→維持
・環境税化派
 環境派  
・維持派
 与党

 温暖化対策のために新たな炭素税を導入するべき、とする環境派(本来民主党他の野党も概ねはこちらの主張のはずです)と、日本ではすでに道路建設が必要分終了している、とする財務規律を重視する観点からは2.と3.との間でも綱引きがされています。


 一方、短期、中期、長期の各種外部要因の視点でみるとどうでしょう。

◆短期
 ・選挙のための人気取りが必要(一般消費者vs土木業界の対立はあるにしても)
 ・京都議定書の第一約束期間に入り、削減の実が必要
  →税金撤廃は消費を誘発する逆向きの政策であり「悪化」
 
◆中期
 ・5年先は国債償還の関連で財政破綻が懸念されている時期の真っ最中
 →国も地方自治体も財政破綻懸念の折から、今回の再予算化で5年先まで手を縛るべきではない。
 ・ピークオイルパニックが炸裂して、さらにガソリン価格の高騰が続くだろう
 →従って今回一回限りの価格低下の効果はすぐに消え、いずれ需要の削減を迫られる。生活の苦しさは変わらない。

◆長期
 ・温暖化対策の必要性とピークオイル問題の石油供給低下により「道路網」「ガソリン車」というインフラが維持出来なくなっている
 →道路建設のムダ
 →財政破綻は必至となるので、極力早期の方向転換が必要
 

 まとめてみれば、ピークオイル派の観点からは、無駄なあがきで歳入カットをする馬鹿な民主党といいたくなります。
ただちに道路特定財源の道路建設への使用を中止すべきですが、代わりとなる公共交通網を作り上げるため、特に過疎の地方でも機能する、ポストピーク時代にも維持できる公共交通を作り上げるためだけに、その財源は特定財源として使用すべきという結論になります。
(もちろん、近い将来にはガソリン消費の減少に伴い、ガソリン税からの財源は先細りとなっていくでしょうから、期間限定の財源であるという認識と規律が必要です。)

 このような大胆な方針転換は政治的には民主党にも無理でしょう。・・・
もちろん自民党さんにとっては地球温暖化もピークオイルも不都合な真実であり、これらに対する対策を取りようがありません。

WorldChangingのホームページでは、「無料の公共交通」という刺激的な概念が提案されていました。
Free Transit For All?
http://www.worldchanging.com/archives/007771.html

 さてさて、こういう提案を打ち出せる政治勢力がどこかに転がっていないものでしょうか。

関連リンク:
はてなのページより
[政治][社会]民主党のガソリン税暫定税率廃止案に反対する
道路特定財源に関する議論が不毛なわけ

「【続】ガソリン税の暫定税率考・・・再び」

日本持続可能社会新聞:暫定税率/道路特定財源はどうなる

気候ネットワークと炭素税研究会のメッセージも出されていますね。
道路特定財源諸税の見直しの際は、地球温暖化防止の視点を!
〜CO2排出を増やさないために最低でも税率を維持し、使途は道路以外にシフトすべき〜


町村官房長官会見1/17その2

安井至氏の市民のための環境学ガイド01.27.2008
環境問題の虚実・表裏・損得 その2:ガソリン税暫定税率廃止
では、きちんと議論をする骨太な政治家を待望しています。

上岡直見氏の意見:道路特定財源から総合交通体系へ、とのことです。

JANJANでもさとうしゅういちさんがこの問題で連載をしています。
ガソリン税問題、国民的議論を
ガソリン税問題、国民を馬鹿にしないで
ホントに「暫定税率維持」でいいの?
問われるべきは「トヨタ応援」政治・ガソリン税率
 永尾理恵子さん取材の
ガソリン国会をよむ〜生活者の視点で徹底論戦を〜
もJANJANにあります。


ブログ意見集 by Good↑or Bad↓ 道路特定財源と高速道路建設計画


五十嵐敬喜氏へのインタビュー記事もJANJANに掲載されています。
「実は借金返済財源だった道路特定財源 五十嵐敬喜氏に聞く」
http://www.news.janjan.jp/government/0803/0803052054/1.php


posted by おぐおぐ at 00:20 | TrackBack(3) | 交通政策 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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