2008年01月14日

南極の氷床は成長するのか減少するのか論争

 南極の氷床の減少は1996年から2006年の10年間で2倍近くになっているという新たな包括的なデータ評価が出てきました。

追記:
共同通信でも今朝から出ていましたね。
南極の氷、減少速まる 10年で1・75倍に http://www.47news.jp/CN/200801/CN2008011401000005.html

AFP:Ice loss surges by 75 per cent
http://www.news.com.au/heraldsun/story/0,21985,23047155-663,00.html
2006年には、南極半島の氷の融ける量は600億トン、西南極氷床は1320億トン、併せて1920億トンになっていた。

Times:Antarctic is losing ice 'nearly twice as fast as ten years ago'
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/environment/article3181944.ece ”この国際プロジェクトに参加したブリストル大Jonathan Bamber教授は「私たちの観測により、氷床の全体にわたって重要で劇的な変化が示されているということが分かった。このことは気候系の変化が南極氷床の健康状態に急激な影響を与えうることを示している。」
そして、「これは世界中で起こっている傾向を確認したもう一つの観測だ。同じものが山岳の氷河やグリーンランドで、パタゴニアで、アラスカで見られている。場所がどこでも同じものを見ているのだ」と語った。”


 カナダのグローブアンドメール紙がまとまった解説となる記事を書いています。Antarctic ice sheet shrinking at faster rate
http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/RTGAM.20080113.wicesheet13/BNStory/National/home ”NASA、JPL研究所のエリック・リグノー博士らの研究プロジェクトでは「観測期間の間、氷床は全体として確かに質量が減少しており、その速度は10年間で75%増加した」という報告を今週のネイチャー(・ジオサイエンス)誌で発表した。”

 ”科学者のサークル内では、グリーンランドの氷が溶けていることについてはほとんど疑問の余地がない。しかしより大きな南極の氷の蓄積の運命については大きな不確実性が存在してきた。
 地球温暖化の情報を編纂する国連の科学機関、権威のある「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は昨年、この問題についての研究はあらゆる方向を指し示していると述べた。
 93年から2003年にかけてこの氷床が毎年500億トン増加しているという研究もある一方で、同じ期間に毎年2000億トンの減少を示す研究もあった。
 概算の広範なばらつきは、この大陸で行われた氷の計測数が限られていることと、どの手法が傾向を評価するために最善の手法かについての科学者間の論争が原因とされている。”

”専門家の中には、地球温暖化は南極の内陸部での降雪量の増加により氷の蓄積の増加をもたらすという推測すらあった。
 しかし、多くの専門家は、この効果が急激な南極沿岸の氷河の解氷による海水面上昇への寄与をキャンセルすることはありそうにないと語る。
 「地球温暖化が南極の降雪量を増やし海面上昇を緩和するという考えは子守唄だ」とリグノー博士は語った。
 「私たちの研究では、質量変化の駆動力は、氷河の海への流れであって、降雪量の増加ではない。他の研究ではすでに最近の降雪量は著しくは変わっていないことが示されている。」”


 ・・・ということでした。以前紹介した、重力の直接観測をする人工衛星観測(南極とグリーンランドの氷床の融け方明らかに) 以外の計測方法によるデータでも、同じ傾向を示したということでより根拠が深まったということでしょう。

「南極は降雪量が増えるため海面低下に寄与する」という(温暖化対策の必要性についての)懐疑派の説の根拠を崩すデータが蓄積しつつあります。


posted by おぐおぐ at 11:45 | TrackBack(0) | 温暖化の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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