2007年06月05日

ニュース短信その8

 この短信の表題一覧
・NASAのハンセンらによるピークオイルの含意レポート
・安倍首相の記者会見
・2050年に排出量半減目標をサミットで提示
・JanJanに「地球温暖化の予測出そろう〜IPCC第三作業部会報告書」の記事
・民主党の参院選向け「脱地球温暖化 戦略」
・ソトコト新書本「エコハウス私論」
・懐疑論に迷う方のために
・日本は本当に「乾いた雑巾」なのでしょうか
・5/7〜18日にバリMOP3の準備会合開かれる
・懐疑論へのコメントのバージョンアップ
・「21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言」(中央環境審議会意見具申)について
・先進企業の取り組み例が日本語訳されています
・6月5日国連環境デーにUNEPから氷河後退のプレゼンテーション
ニュース短信その9 へ続く

−−−
●6月5日国連環境デーにUNEPから氷河後退のパワーポイントプレゼンテーション
が公開されているとのこと。
Melting Glaciers
Glaciers around the world provide compelling evidence of rapid climate change. See startling examples of this in our newest powerpoint presentation, Melting Glaciers. (download ppt 5.7mb)
グリーンランドや南極の氷床の溶け方についても紹介されています。

つづく●先進企業の取り組み例が日本語訳されています
チェンジ・エージェント:世界の先進企業の温暖化対策事例集をアップしました
http://change-agent.jp/news/000086.html

「21世紀環境立国戦略の策定に向けた提言」(中央環境審議会意見具申)について
が公表されました。

本文はこちら

 温暖化に関わる部分は、前回の「美しい星50」の3つの懸念と3つの柱
の元文とほぼ同じ内容のようです。

以前送ったパブリックコメントはこちら

●懐疑論へのコメントのバージョンアップ
が出ていますのでClimate MLより転載しておきます。
−−−
タイトル:「地球温暖化問題懐疑論へのコメント」Ver.2.3, 2007年5月26日

http://www.cir.tohoku.ac.jp/~asuka/
(前バージョンURLから変わりました!)

著者:
明日香壽川(東北大学)、吉村純(気象研究所)、増田耕一(海洋研究開発機構)、河宮未知生(海洋研究開発機構)、江守正多(国立環境研究所)、野沢徹(国立環境研究所)、高橋潔(国立環境研究所)、伊勢武史(ハーバード大学)

内容:
1. 温暖化問題における「合意」
2. 温暖化に関するマスコミ報道
3. 温暖化問題の科学的基礎
 3.1. 過去および現在の観測データ
 3.2. 炭素循環
 3.3. 地球大気の構造・光学特性
4. 温暖化問題の優先順位

 世界でも日本でも、懐疑論に属する著作が続けて出版されており、しばしば新聞や雑誌でも取り上げられています。また最近、特に日本において「温暖化の科学は不確実」「温暖化対策よりも重要な問題あり」などを、京都議定書目標不遵守や2013年以降の枠組みへの消極的関与の理由にしている議論が散見されます。
新たに数名の著者を加えた最新版では、約一年前に作成した旧版(Ver.2.2)を大幅に修正加筆しています。これをご覧になれば、日本のみならず、世界で展開されている懐疑論のほぼすべての論点に対する最新の議論(反論)が把握できると思われます。本ぺーパーが、温暖化問題に対する誤解をとき、対策の必要性に対する認識を深めることにつながれば幸いです。

とりいそぎ

明日香壽川
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●5/7〜18日にバリCOP/MOP3の準備会合開かれる
 外務省による会合の成果のとりまとめが出されています。
気候変動枠組条約第26回補助機関会合(SB26)、「先進国(附属書 I 国)の更なる約束に関する第三回アドホック・ワーキング・グループ(AWG3)」及び「気候変動に対応するための長期的協力に関する第三回対話」
概要と評価



日本は本当に「乾いた雑巾」なのでしょうか
 という論説を、環境NGO、WWFJapan(世界自然保護基金日本委員会)の鮎川ゆりかさんが5月17日のNHK番組『視点・論点』で話しています。

「京都議定書の批准を急げ!」(気候ネットワーク、2001年)
ここに出てくるデータは98年、99年といった一昔前のデータですが、それ以降の5年間も同じ傾向が続いているということかと思います。(5年前にはWWFJでも同じ項目の文書を作っていたかと思いますが)

ブログ『CASA 地球温暖化の国際交渉』でも
通信2−2 日本は本当に乾いた雑巾を絞っているのか?(ECO記事より)
として、今週ボンで開かれていたSB(下部機関会合)での環境NGOのメッセージを翻訳したものを紹介しています。

●懐疑論に迷う方のために
New Scientistという雑誌が最新号の中で、
Special Report Earth
Climate change: A guide for the perplexed

というタイトルで、懐疑論への反論をまとめています。
すこし時間が経つと、全部が有料になってしまいますので、今のうちにどうぞご覧ください。

• Human CO2 emissions are too tiny to matter
人間が出すCO2なんて自然の出入りにくらべりゃぁ

• We can't do anything about climate change
気候変動に対して私達ができることなんてないよ

• The 'hockey stick' graph has been proven wrong
ホッケースティックのグラフは間違ってたっていうじゃない。

• Chaotic systems are not predictable
カオスの系を予測はできないよ

• We can't trust computer models of climate
気候のコンピュータモデルは信頼できない。

• They predicted global cooling in the 1970s
1970年代には地球寒冷化が心配されてたじゃない。

• It's been far warmer in the past, what's the big deal?
過去にもはるかに温暖な時期があったじゃない。

• It's too cold where I live - warming will be great
ここいらじゃあ寒いじゃないか。あったかくなってくれてありがたい。

• Global warming is down to the Sun, not humans
地球が温暖化しているのは太陽活動のせいさ。

• It’s all down to cosmic rays
宇宙線の影響さ

• CO2 isn't the most important greenhouse gas
CO2よりも重要な温室効果ガスがあるじゃないか。

• The lower atmosphere is cooling, not warming
大気の低層部は気温が下がっているじゃないか。

• Antarctica is getting cooler, not warmer, disproving global warming
南極は寒くなっていて、温暖化していないことを意味している

• The oceans are cooling
海水温は下がっている。

• The cooling after 1940 shows CO2 does not cause warming
1940年代からの寒冷化は、CO2が原因じゃない証拠だ。

• It was warmer during the Medieval period, with vineyards in England
英国でワイン畑が作れるくらい、中世の温暖期は暖かかった。

• We are simply recovering from the Little Ice Age
小氷期からの回復をしているだけさ。

• Warming will cause an ice age in Europe
温暖化は、欧州にとっては氷河期が来ることを意味している。

• Ice cores show CO2 increases lag behind temperature rises, disproving the link to global warming
アイスコアは、CO2の増加が気温上昇に続いて起こっていることを示しているから、温暖化とのリンクを否定したデータだ。

• Ice cores show CO2 rising as temperatures fell
アイスコアは気温が低下している時期にCO2増加している。

• Mars and Pluto are warming too
火星と冥王星も温暖化している。(太陽のせいだ)

• Many leading scientists question climate change
多くの指導的科学者が気候変動に疑問を出している。

• It's all a conspiracy
全くの陰謀説さ。

• Hurricane Katrina was caused by global warming
ハリケーン・カトリーナは温暖化が原因だ。

• Higher CO2 levels will boost plant growth and food production
CO2濃度が増加すれば、植物がよく成長し食糧が増産できる。

• Polar bear numbers are increasing
北極グマの生息数は増加している。

●ソトコト新書本「エコハウス私論」という本が出ていました。
 環境省のお役人らしくないお役人、小林光氏の建てた環境配慮型住宅についての本です。
前に住んでいた家に比べて、一人頭で50%の削減が可能だとのコト。
個人でできることについてだけでなく、それを支援するための各種の国ができる制度について、雑感という形できちんとまとめていただいています。
現職は環境省大臣官房長だそうですが、京都COP3会議当時は担当課長として他省庁と丁々発止をやっていた人なので、そのあたりをこそ記録として出して欲しい人です。
エコハウス私論―建てて住む。サスティナブルに暮らす家
出版社/メーカー:木楽舎
価格:¥ 800
ISBN/ASIN:4907818912
Rating:★★★★★


●民主党の参院選向け「脱地球温暖化 戦略」発表
http://www.dpj.or.jp/news/files/chikyu.pdf
5/9に京都府選出の福山哲郎参議院議員が発表したとのことです。
 ”「気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること」という究極の目標のために、我が国として、1990年比で2020 年までに20%の温室効果ガス排出量の削減を中期的目標とするとともに、長期的には2050年よりも早い時期に排出量を半減することを目標とする。”

 むむっ、この数値が野党から先に公表されることを嫌って、政府はマスコミ対策のアドバルーンとして2050年半減を打ち出したのかも?しれませんね。
 具体策も山盛りで、7月下旬投票の参院選に向けて、ようやく温暖化問題がテーマとして動き出した感があります。
 またEUからイニシアティブを取られた中期目標については、2020年20%削減が最低ラインだという認識を持っているようで、結構なことです。


●JanJanに「地球温暖化の予測出そろう〜IPCC第三作業部会報告書」の記事
を掲載してもらっています。

●2050年に排出量半減目標をサミットで提示
 共同通信のスクープかと思いました、4月末の日米共同宣言などでは全然出てこなかった、サミット向けの日米政府の方針が今朝の地方紙朝刊で紹介されています。

5/8共同:温室効果ガス50年に半減を 温暖化防止目標を提案へ
http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007050801000705.html

毎日:温室効果ガス:削減目標提案へ サミットで政府「50年までに半減」

朝日:「2050年までにCO2排出半減」日本、G8で提案へ

 全体を読んでみても、米国が賛同するなどという目はないようで、日本が提案することを米国にも了承してもらった、という趣旨に読めますがどうでしょう。米国内では、カ州のシュワ知事提案やステップアップ2007キャンペーンで2050年までに80%削減を、という数字が出ていますから、別の数字が他国から出てきた方が良い、という米国側の意向があったのかもしれません。

 この目標についての、安倍政権の唐突さ批判をしているブログがありました。
エコビレッジへの旅:「いきなり半減化」
http://way-to-ecovillage.cocolog-nifty.com/aloha/2007/05/post_b233.html
”2050年までに半減化という目標は、まあ妥当なものだろう。しかし環境問題にさほど関心を持っていない人とって、一国の首相がサミットでいきなり提案するというのは、かなり唐突という印象があるのではないだろうか。まずは日本国民に対して、温室効果ガスの大幅削減の意義を訴え、それなりの理解を得てから国際舞台で提案するのが民主的なプロセスではなかろうか。国民が「ノー」と言ったら、どうするのだろう。”
 まあ、確かにその通りなんですよね。これまできちんと国内政策をやってこなかったツケが回ってきてバックラッシュを生むことになるでしょう。
なにやら、安倍政権の従軍慰安婦問題発言での迷走の動きを思わせる流れになってきました。

ブログ:サステナ・ラボ「妥当か、その程度か?」
http://suslab.seesaa.net/article/41339791.html

●安倍首相の記者会見
ゴールデンウィークを活用した、各地周遊の旅の最後に記者会見をしたさいの質疑です。
−−−
【質問】
 今回、日米首脳会談において環境問題について活発な意見交換が行われたと伺っている。今年のみならず、来年日本で行われるG8サミットにおいても主要議題の一つになると思われる。総理は、ポスト京都(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)の枠組みにおいて何が重要と考えているか。より多い参加を求めるべきか。あるいは、中国、米国等主要国など CO2大量排出国の参加がなくとも、高いレベルのものを目指すべきなのか。また、昨日原子力発電についての議論についてもあったと聞いているが、今後、原子力の平和利用はポスト京都(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)の重要な役割を担うと考えるか。

【安倍総理】
 気候変動問題を含む環境問題については、対応を誤ると人類の生存にも関わる大変重要な問題であると認識しており、これは世界各国が共通の課題として取り組んでいかなければならない問題であり、日本も大いに貢献していきたい。そしてまた、外交においても日本がリーダーシップ及びイニシアティブを発揮していきたいと考えている。
 温室効果ガスの濃度安定のために、全ての主要排出国の参加する、実効性のある国際的な枠組みを構築していく必要がある。ポスト京都(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)の課題としては、全ての排出国が参加し、そして実効性のある枠組みを作っていくという新たな課題に取り組んでいかなければならない。
 先月、来日した温家宝総理との間でも、中国が枠組み構築への過程に参加することで一致した。そしてまた、今回の日米首脳会談においても、ブッシュ大統領との間で気候変動問題の重要性を確認した。そして、日米で共同声明を発出し、今後日米間で対話を一層強化していくことで一致した。そういう意味で、課題について目的に向け一歩一歩着実に前進していると認識している。
 来年日本でサミットがある。そして、気候変動問題を含む環境問題は重要なテーマになる。この来年のサミットに向け、関係国と協力を深めていきたいと考えている。それに向けて、中国や米国という主要排出国との間でそれぞれそれなりの成果を挙げることができた、米国との間で共同声明を発出することができたということは前進であり、大きな一歩を記すことができたと考えている。
−−−

NASAのハンセンらによるピークオイルの含意レポート
 がエネルギーバレティン誌に紹介されていました。
pdf版はこちら
後日詳細に紹介したいと思います。

後日記:インタビュー付きの紹介が掲載されています。
http://www.theoildrum.com/node/2559

以前に紹介した、「ジム・ハンセンの説くOver the Rainbow戦略その1」もご覧ください。

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posted by おぐおぐ at 09:11 | TrackBack(2) | ニュース短信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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