2007年01月29日

「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その1

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 さまざまにあるでしょう懐疑派の内、槌田敦氏の主張している「海洋の温度上昇が原因で大気中のCO2濃度上昇が起きている」説を「槌田・温暖化駆動CO2説」と呼んでおきましょう。

 実際に仮説が評価されるためには、まずはさまざまな観測データを説明できなければなりません。
 しかしこれまで、反・懐疑派のグループとしては、槌田・温暖化駆動CO2説に対してはまともな突っ込みをワザと入れていない面があったのではないかと思います。

 いわば「正統」派?の自負を持っている人たちが横綱相撲を取るという態度を取っていたところがあるのではないでしょうか。しかしおよそ科学論争においては、自説を守る論陣を張るだけではなく相手説に矛盾を突くツッコミを入れることによって論争の勝利を目指すのは当然の権利というものでしょう。

 実際、槌田・温暖化駆動CO2説の唯一の論拠となっているデータは、「人為CO2を原因とする温暖化論ではこう解釈されているしそれで論理整合性がある、だから槌田の解釈の論拠とはならない」という守りの反論を僕は1年前にしたことがあります(討論会の感想
および グローバルな炭素循環について

 ですが、これについてはそもそも槌田氏自身の人の話を聞く能力に限界があるため理解されていないようです。
 そういう人物と追加で討論会をしてもおよそ不毛ですし追加の説明を書く気にもなっていませんでしたが、mixiの「ピークオイル」コミュニティを主催しているぬりさんも懐疑論に引っ張られているというような現状がありますので、ほったらかしにしておくわけにもいかないという気になってきました。
(もうちょっと趣旨を読んでみると、ぬりさんは別の一派になるのかもしれないと思いましたが。)
 ということで槌田・温暖化駆動CO2説ではちゃんと説明していないと思われる観測データについてツッコミを入れる説明を考えてみました。


●槌田・温暖化駆動CO2説の概要(勝手に推定してみました、問題点があればご指摘をください、歓迎します)

・気温(=海水温)の変動パターンが大気中CO2濃度の変動パターンに数ヶ月〜1年先行して起きており、これが、(原因不明の)温暖化によりCO2が駆動されて上昇していることの証拠だ。

・そのメカニズムとしては、ヘンリーの法則により、海水中の溶存CO2が海水温が高くなるにつれて大気中に排出されていることを想定している。
つまり年々大気中のCO2濃度が増加し続けているからには、海洋は一年間のネット(正味)で勘定すると排出源となっているはず。


●タイムスケールを変えると説明が二転三転する?

 タイムスケールが異なる3種類の「気温」と「大気中CO2濃度」のデータについて、槌田・温暖化駆動CO2説に基づけばこうだと想定される説明を、「正統」派の理解と比較していきますので、槌田・温暖化駆動CO2説は「健全な」懐疑論者が準拠するに足る仮説かどうかを考えてみていただきたいと思います。(「99.9%は仮説」という題名の本があったように、「定説」=「まだ破綻していない仮説」であり、科学者は本来みな「健全な」懐疑論者であるべきでしょうが)


1.過去数十万年間 まずはアル・ゴア氏が映画や本「不都合な真実」の中で使っていたグラフ、この記事の最初に示した図について見てみましょう。

(同様なグラフとして、
http://caos-a.geophys.tohoku.ac.jp/bujunkan/studies/icecore.html
のものを使って加工して説明します)

このデータの出所は、気温と大気中CO2濃度共に南極の一箇所のボーリングして採取したアイス・コアから得られた情報です。
一箇所のデータから地球の平均気温や大気中CO2濃度を推定してよいのか、というデータの代表性批判はおいておきます。
 約2万年間の間氷期(黄色で強調している期間)と約10万年間の氷期(氷河期:青い地のままの期間)の遷移を繰り返すパターンが過去数十万年間続いていたことを明らかにするデータとなっています。(実際には65万年程度のグラフも別途得られています。日本隊は90万年前まで逆上ろうとしているはずですが。)

 また、明らかに気温の変動と相関関係を保って、二酸化炭素及びメタンガスの大気中濃度が変化していることも見て取れます。

しかし、ゴア氏がスライドの中で近年のCO2濃度と気温の変化を付け加えて説明しているように、過去200年については、その気温とCO2濃度の相関関係は崩れており、CO2とメタン濃度が(気温に「先行して」かどうかは分かりませんが「無関係に」)上昇しています。
CO2は380ppmへ、メタンに至っては倍以上の1750ppbとなっています。
(なお、ゴア氏のスライドの中には、メタンガスのデータは入っていなかったと思います。)

 このデータから分かる「過去数十万年間ずっと継続していた、気温とCO2濃度の相関関係が近年になって崩れている」という現実データこそが、現在のCO2濃度増加が「自然の」変動の影響を受けた結果である、とする槌田・温暖化駆動CO2説へのキツーイ反論となっています。数十万年間起こらなかった自然変動というのは一体何なんでしょう。

 このデータを(陰謀論とかで否定しないで)説明できてなおかつ生き残りうる懐疑論は、「CO2増加は人為的な排出によるものだろうが、CO2の温室効果は飽和しているので地球平均気温は上昇しない」論だけでしょう。

以下、つづく
posted by おぐおぐ at 14:30| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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