2006年06月30日

気候の危機へようこそ−マッキベン語る

Welcome to the climate crisis
http://www.canada.com/ottawacitizen/news/arts/story.html?id=233b86e0-4b73-4ee7-b448-1f8c2d7465bf&k=64353

Global warming starting to heat up political scene
http://www.news-journalonline.com/NewsJournalOnline/Opinion/Editorials/opnOPN76061806.htm

 環境ライター、ビル・マッキベンの『自然の終焉』は日本語訳もされて読んだことのある人もいるかと思います。アル・ゴアの本『地球の掟』と同じ頃だったでしょうか。

その名前につられて、オタワシチズン紙6月11日号に掲載されていた、「気候の危機へようこそ−政治家が地球温暖化と闘うつもりがあるかを知る方法」を紹介します。
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 気候変動への関心を興そうと十年以上も働いてきた人たちにとって今は機会の時であり、危難の時でもある。ハリケーン・カトリーナの襲来に始まり、アル・ゴアの新しい映画の公開に至る一連の出来事はとうとう、大衆の関心の表面近くに浮かび上がっている。
まだ対テロ戦争やガソリン価格の高騰ほどではないが、明らかに今度のハリケーンシーズンや引き続く干ばつでそうなるだろう。

 危険はここに潜んでいる。20年間もの間、行動が起きてなかったため、どんな低いレベルの立法でも本当の前進に見えてしまうという点だ。電力会社も石炭会社もデトロイトの自動車メーカーも、今後20年先にまで及ぶ政策を容易に左右することができることに気づくだろう。
もし二酸化炭素の排出を抑制する立法が余りに生ぬるい場合は、何も法律がない場合よりもたちが悪い。まさに私たちが過去20年間を浪費してきたがために、形ばかりではない真の行動が今や必要となっているのだ。

 政治家たちが真に地球温暖化と闘うつもりであるかどうかを確かめる5つの質問を示そう。1.彼らは地球温暖化を、貿易政策から学校問題に至るリストのどこかに入れている問題の一つとみなしているのか、それとも温暖化がまさにそうであるもの、つまり人類がかつて直面したことのない文明規模の挑戦として理解しているか?
(ブッシュ政権がNASAの気候学者ジェームズ・ハンセンの発言を抑圧しようとしたのを含め)新たな科学的な発見は、私たちがこの危機の規模と緊急性を過小評価していたことを明らかにしている。
地球上のすべての氷は急速に融け始めており、今や数十年も経てば私たちに敵対的な惑星を作り出す恐れがあり、あらゆる生命にとって耐え難いものとなりそうだ。
 政治家の発するメッセージは、緊急事態であるという厳しい現実を反映したものであるべきだ。

2.彼らはたとえば二酸化炭素排出量の50%削減というような、大きな数字の提案をするか?
それらは一夜にして達成する必要はない(欧州各国の目標では2030年〜50年くらいのものだ)が、最新の科学的知見によれば今後数年以内に本当の(単に排出量の成長率を抑えるのではない)削減を始める必要がある。
 これは、国防費の規模の予算を技術開発と例えば風力発電のような既存の技術の導入普及に振り向けることを意味する。

3.彼らは一つだけの技術による解決策を避けようとするか?
 原発や、”クリーンコール”や、風力がそれ単独でエネルギーのギャップを埋められるというアイデアはナンセンスであり、ある一方からのイデオロギー的な主張の隠れ蓑となっている。
(狼男を倒す)魔法の弾丸などない、散弾があるにすぎない。必要な対策の規模を考えれば、(エネルギーシステムの浪費を省くことを始めとする)最も安い対策が最も意義深い。
 これは市場が大きな役割を果たせることを意味するが、それは政府が温暖化が与える損害を化石燃料の価格に正確に反映する価格を示すよう政策を振るう場合に限られる。

4.彼らは気候を安定化させるために必要な、化石燃料の70%削減を、技術的な変化のみでは達成できないことを理解しているか?
 我々はまた、態度や振る舞い、習慣を実際に転換しなければならない。この変化は可能である(平均的な西欧人は平均的なアメリカ人の半分しかエネルギーを使っていないが生活の質はより高い)が、大量輸送機関の導入からスプロール対策や自動車のサイズ変更に至るまで、真の政治的なリーダーシップが必要となるだろう。

5.彼らは中国や他の途上国を生け贄にしようとする誘惑を避けるだろうか?
 この問題は、京都議定書のようなわずかな前進すらサボることを望む政治家たちの隠れ家となってきた。彼らは中国が我々と肩を並べて二酸化炭素排出を削減するよう忠実に主張するが、これは道徳的に支離滅裂である。
中国人は米国人の1/8しか一人当たりエネルギーを使っておらず、最近ようやく化石燃料を大々的に燃焼し始めたばかりであり、またリンカーン・ナビゲーターを走らせる楽しみに耽るためではなく貧困から抜け出すためにエネルギーを使っているのだ。
 そして、これは政治的には出口がない。中国人も他の途上国も、大気が米国人のものであり米国が二酸化炭素で一杯にしてしまったので、今彼ら自身は発展のための新たな戦略を探さなければならないのだという考えを単に受け入れようとしないだろう。
 我々の唯一の希望は、そして唯一の公正な解決策は、技術と資源を大量に北から南に移転することで南の国々が違った道を通って発展できるようにすることだけだ。


 これらすべてを可能にし、好ましくさえするスキームはある。
それは化石燃料に掛けた高い税金でエネルギー消費を削減する人々に報いることであり、通貨への投機に小額の税金をかけ、中国での風力発電の建設投資にあてがうことであり、化石燃料への補助金を未来の燃料への補助金に転換することだ。

 私たちに欠けているのはアイデアではない。私たちが迷い込んでしまった致命的な脅威、高い目標を設定しようとするリーダーシップが求められている脅威のことを、あまねく感じることができていないのだ。

ビル・マッキベンはマルベリーカレッジ在学の研究者であり、地球温暖化について書かれた本『自然の終焉』の著者。
(c) The Ottawa Citizen 2006
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 最後の悲観的な結び方は、以前も同様だったかと思います。

後日記:
 ちなみに、国際連帯税(税金の上がりで途上国への資金フローを作ること)の実例がもうでき始めているんですね。
ブログ「海舌」航空券税(国際連帯税) より
 2002年ヨハネスブルグサミットの頃から話は浮上していたはずですが導入され始めたのは画期的なことでしょう。
posted by おぐおぐ at 22:40| 温暖化の政治学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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