2006年05月16日

自然エネルギー開発を阻害している新エネRPS法へのパブコメは5月18日まで

風力発電の最速成長曲線はどうして日本に当てはまらない? の続き、「インドや中国といった積極的な途上国にも追い抜かれつつある日本の風力発電復活の鍵はなんなんでしょう。」の解答編です。


日本の風力発電導入の減速、これは、飯田哲也氏が2004年の時点で、# 第3回 風車が切り開いた「新しい論争」 の中ですでに詳細に解説していたように、予期されていた停滞でした。

 一部引用。
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 ”ところが、日本の風力発電業界には陰うつな空気が漂っている。多くの計画が、実現の見通しが立たずに「立ち枯れ」状態になっており、ようやく成長し始めたばかりの日本の風力発電が、なんと「存亡の危機」にあるからだ。”

 ”現在の無惨な状況は、何よりも第1に、昨年4月に施行された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」、通称「新エネRPS法」が原因である。” ”(RPSとは)「Renewable Portfolio Standard」(再生可能エネルギー割当基準)の略称である。電力会社や消費者に対して、目標年次までに電力販売量や電力消費量に占める自然エネルギーの比率を高めるよう目標値を義務づける制度で、その過不足をクレジットのかたちで販売することで、自然エネルギーの設備の有無にかかわらず、すべての電力会社が義務を達成できる仕組みである。しかも、RPSクレジットの取引市場をとおして、自然エネルギーのコストが削減できるという一石二鳥の効果が、当初のRPSのウリであった。”

 ”当初、欧州委員会の内部では、前述したRPSだけを唯一のオプションとして検討を進めていた。”

 ”これに対して、欧州議会は、「各国の目標値」については義務、政策措置に関しては「FIT」 (Feed in Tariff, 固定価格制度)を強く支持する立場を取った。FITとは、自然エネルギーからの電力の買い取りを電力会社(もしくは系統管理者)に義務づけ、一定の価格での買い取りを保証するという仕組みである。FITは、ドイツやデンマーク、スペインが風力発電の普及で成功した政策措置であり、とりわけドイツで「政治」(議会)が主導して導入し、政治論争の的になっていた。”

 ”最終のRES指令では、各国の自然エネルギー導入目標値は「参照値」とし、政策措置の選択は各国に委ねることとし、2005年にあらためてレビューすることを定めたのである。”

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この各国の記述を前回の風力の伸び率と比較すれば、各国がとった政策に対応して風力設備の伸び率が加速と減速の2種類に分かれていることも見て取れます


いつもであれば、酔っ払って日本の官僚がアホやから##ができへんねん、とクダを巻いて寝てしまうところです。
ところが、えいやっで今回書いたのは、まさにこの問題の新エネRPS法については、3年ぶりの見直しの審議会報告書案がもうできあがっており、パブリックコメントを今週木曜、18日まで募集中だからです。

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気候ネットワーク E-mailニュース 2006年4月25日<第220号>
H o t T a l k N o w ! ? 温 暖 化
 ほっとくの!?  おんだんか
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より引用しておきます。(ニュース購読希望の方は、どうぞ気候ネットのHP 経由でご連絡を。)

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●全く不十分なRPS法見直し報告書案、パブコメ中
 17日、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会第5回RPS法評価検討小委員会が開かれた。事務局(経済産業省資源エネルギー庁)から示された報告書(案)は、基本的に3月30日の第4回会合に出された報告書要旨(案)と同じだが、2009年までの義務量上方修正の数字が加わっている。いずれにせよ、実質的に今回見直すのは09年までの義務量のみという内容であり、自然エネルギー拡大をかえって妨げていると指摘されている現行法の見直しとして全く不十分である。これに対する意見(パブリックコメント)募集が18日から始まった(5月18日まで)が、きちんと自然エネルギーを促進・拡大する制度に見直すべきという意見を多く出す必要がある。(問合せ:資源エネルギー庁新エネルギー対策課 TEL:03-3501-3023)

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ということで、より詳しくこの問題を研究したい方は、GEN(『自然エネルギー促進法』推進ネットワーク)の特集ページ「新エネ利用特措法改正検討委員会」 をご覧下さい。


おかしいと思うことに対しては、ぜひ声を出していただくようお願いします。
温暖化対策のために、あるいは、ピークオイル問題にまともに対処するためには、自然エネルギーをわずかでも多く早期に建設しておくことが、アラブ(とアメリカ)の王様に貢物をするよりもはるかに意味のあることでしょう。

国のお役人に対して、言うだけであったりメールを送るだけ、というのは一番省エネルギーでできる行動です。それで日本の進路が変わったらすごいことだと思いませんか?もちろん審議会報告書が決まったあとも、国会で改正されるに際して、の働きかけも可能です。

国のパブコメの案内はこちら。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=620206003

送り先はこちら(pdf文書)を参照下さい。



僕の考える要点は以下の各項目でしょうか。一部だけでも参考にしていただければと思います。
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・現在の原油価格高騰がピークオイルによる天井知らずの高騰傾向であるとの懸念に対応するため、緊急に、あらゆる自然エネルギーの導入・普及のスピードを上げる必要がある。

・ピークオイル問題の脅威を前にして、自然エネルギーの高い成長率を毎年いかに維持し続けられるか、こそがもっとも重要なエネルギー対策である。

・ところが現行の新エネ利用に関する特別措置法(いわゆるRPS法)の元々の趣旨は、価格メカニズムによってコスト効果的に自然エネルギーを導入するというものであるため、ある時点でもっともコスト効果的な一種類以外の全ての自然エネルギーの導入にとってはブレーキ役となってしまう。ゴミ発電に圧された風力発電の減速がその代表例といえる。

・またつい今週のEU-ETSの排出枠バブルの崩壊の事例に見るように、取引で価格を調整するのはちゃんとした市場が出来上がっていても難しい。ましてや相対取引でRPSの市場価値が決定されることが長期的な投資に役立てられる指針となると考えるのは現実離れしている。

・したがってRPS制度自体をご破算にして、ドイツ、スペインといった風力発電の急成長国が採用していた「固定価格買取制度」に切り替えるべきだ。

・この制度であればそれぞれの自然エネルギーの開発現状に応じた適切な価格プレミアムを電力購入料金に上乗せして支払うことにより、「すべての」自然エネルギーの導入支援となる。

・この支払いで電力会社にとって過剰負担となる部分についてこそ、電源立地促進税等の特別会計に集められた資金を活用するべきである。すなわち、新エネ導入のための資金として有効活用すべきである。

・放っておけば電源特別会計のお金は国の借金の穴埋めに使われてなくなるだけだ。
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また、
新・国家エネルギー戦略はお蔵入りすべきや、
国家エネルギー戦略本文・現状分析編を読む も参考にしてください。

後日記:
「自然エネルギー促進法」推進ネットワーク(GEN)が提出したパブリックコメント
自然エネルギー市民の会が提出したパブリックコメント
GENでは6月13日にも今年度一回目の市民検討委員会を開くなど、法改正に向けてのロビー活動をやっていく姿勢です。

後日記:
RPS法改正に関わるパブリックコメントを募集した結果
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1040&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000010851
が電子政府のHPに掲載されています。延べ127通、348件のコメントが付いた、という、いかに問題点が多いかを明らかにした内容になっていると言えます。
「コメントを受けて変更しましたありがとうございました」という回答が一つもない(?ように見える)ところが「お役所仕事」たる所以でしょう。
 僕が送ったコメントの中身についても、どれがそれやら全然分からない、細切れに返事をされているようです。
同じくコメントを送っていただいた方は、お手数ですが一度調べてみてください。
posted by おぐおぐ at 06:23| 再生可能エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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