2006年05月14日

ピークウラン問題

風力発電とEPRの続きです。

[Wind Turbine EPR]の単語でググッてみました。もちろん英語圏の論文についてです。
まだ一部しか目を通していませんが、以下のようなのがひっかかりました。

・The Wolf at the Doorのホームページ(ピークオイル関係のページ)
Alternate Energy Sources
この中ではそれぞれEPRを、バイオエタノール0.7-1.8 水力11.2 風力0.03-2 潮力15 地熱1.9-13 太陽熱1.6-1.9 (温水器), 4.2 (タワー式発電) 太陽光1.7-10
と数字だけ示しています。風力は低い数字も出ていますね。今後の要検討課題とさせてください。

また、nuclearでは

原発のEPRを4としています。

しかも原発の数字の元データの論文に当ってみると、4というのは最良のウラン資源の場合であるというのです。

http://www.stormsmith.nl/report20050803/Chap_1.pdf
でLCCO2をかなり包括的に検討をしているようですね。
ここでは、濃縮精錬前のウラン鉱石中のUの濃度が0.1%を切るとCO2削減効果は悪化し始め、0.01%以下になると石油を直接燃やしたほうが良くなる、といった評価となっています。後日記:
同じ論文中の)左上に示したグラフの中では、0.01%以上の良質のウラン鉱石(棒グラフの左側1/3から左端の部分)はウラン資源全体(棒グラフ全体)の非常に少ない割合(縦軸は対数グラフなので一番長い棒と比べてはるかに少なくなっています)しかないことが見て取れますから深刻です。これは80年時点での評価ですが、現在は良質なウランのかなりは採掘しつくしていることが想定されます。


またここ
http://www.stormsmith.nl/report20050803/Chap_2.pdf#page=14
では、EPRの運転年数変化を示しています。質が悪いと何年経っても使ったエネルギーを回収できなかったり、良質の鉱石を使っていても、当初の10年間程度はエネルギー収支はマイナスであり(いわゆるエネルギーペイバックタイムは10年)、その後運転年数が長くなるにつれてようやく4近くまで上昇するということをグラフが示しています。ほんとうに4もあるのか?分からないというのが実情かも。

いやー、日本の原子力村の方々にとっては衝撃的な数字でしょうね。
ピークオイル論の石井氏はちゃんとビデオhttp://education.ddo.jp/ishii/の中の「資源とは」の12:00〜17:00頃)の中でこの4という程度の数字だと紹介していましたね。

ちなみにこの論文の筆者たちは原子力産業からのコメントやクレームの数々を受けて何度も書き直していて、その最終版がこの2005年8月版だということです。

後日記:2006年10月19日のプレゼンNuclear Power and Global Warming
http://www.stormsmith.nl/publications/storm_Van_Leeuwen_presentation.pdf

「原発がエネルギーの純生産をできるのは良質のウラン資源が使える間」だというところまで確認できました。
さて、このピークウラン問題は、どの程度現実の問題なのでしょうか。今確保できているウラン資源はどの程度良質なのでしょうか。

下に続く、かな?

後日記:
うーん、一番上のグラフから読み取る限りでは、むしろ資源は豊富にあるというようにも思えます。
>10%鉱石 400Gg=40万トンU
>3%  60Gg=6万トンU
>1%  180Gg=18万トンU
>0.3% 2000Gg=200万トンU
>0.1% 70000Gg=7000万トンU
となりますが、一方IEAが示しているウラン資源量の規模が395万トンU(どこだったか政府のページより)となっています。
ということは、濃度0.1%超のウラン資源が沢山あるのでまだ大丈夫、であるかのように見えます。

とはいえ、70年代に探鉱された既存のウラン鉱山についても上の論文では書かれていて、それらの鉱山でのウラン濃度は0.02-0.04%と非常に低い数字が下限として書かれているんですよね。良質なウラン鉱山自体が現在なくなっていて、新たなのが見つかっていないとすれば、グラフの評価は、本当にあるのか分からない未確認埋蔵量レベルの数字だということになります。過大評価である可能性もあるかと思います。

後日記:
この研究は、WorldChanging.comでも
Nuclear Energy: Not a Climate Change Solution? として取上りげられていますね。コメントの中では定量的な批判もされています。

後日記:
Lower grade uranium could hasten climate change pace
http://www.sundayherald.com/56616
この同じ著者による批判が、スコットランド国民党の原発政策の報告書の中にも使われるもようです。
2034年以降はウラン資源が低グレード化しはじめ、2070年までにはEPRが1以下になるとの主張のようです。


●その他の検索結果:
風力発電のEPR(エネルギー収支比)というのもいろいろな評価があるようです。

・ウィスコンシン大学が行った、各種発電のEPRとライフサイクルでのCO2のプレゼン資料
Life Cycle Energy Cost of Wind and Gas Turbine Power
この資料の中では、風力発電のEPRは23程度、原発は16程度だと主張しています。
全然実用化の見込みのないD-T核融合のEPRがこの時点で計算できているのは笑えますが、この大学のクルチンスキ氏が核融合関係のコンセプトをよく語っている人だからだと思います。
これは核融合推進のためのむしろ政治的なプレゼンだとみなしておくべきでしょう。


posted by おぐおぐ at 01:50| 核エネルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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