2006年04月16日

"ユーレカ"の瞬間はいつでしょう

ユーレカ="Hey We've Peaked!"ということです。

左上の英文グラフは、
”Peak Oil: Navigating the Debate”
http://www.flickr.com/photos/rao-d/sets/1192840/
のスライド集の中の1枚です。
(論争の両派の主張についてと考えの筋道がよくまとまっているスライド集なのでリンク先のページ右上のview as slideshowのボタンをクリックしてご覧下さい(滝つぼに落ちようとしているゴムボートの写真などは傑作です)。)


●ピークオイルの話題も徐々にマスコミへの露出度が増えているようです

先ほどNHKの深夜11時半からの番組、土曜フォーラムを見ていましたら、3月2#日に開かれた「原油高騰と物流」というシンポジウムの映像を流していました。
パネリストの一人、経済学者の金子勝教授が、今の原油高騰は枯渇の前触れなのではないか、高騰が長続きする可能性を念頭に置いて対応をすべきと言い、NYタイムズ紙の社説を引いてピークオイル説のことを時間を取って紹介していました。

そういえば金子氏は以前ピークオイル問題の論説を書いていたデウィット氏とコンビを組んでいますので、身近な議論だったのかもしれません。

シンポ全体の論調も、実績によるものでしょうか、原油の高止まりを前提に話題が広げられていました。営業用トラックに延べ2万台のデジタルタコメーターが入り、エコドライブの診断で10%以上燃費を向上させている、など物流部門での温暖化対策の取り組みの実例なども出ていて、その面でも興味深いものでした。

「自家用トラックから営業用トラックへの転換を求める」「地産地消型の物流への転換」「多頻度小口(トヨタ発のジャストインタイム方式の部品調達)は諸悪の根源ではないか」といった概念も出てきていました。

閑話休題。

●ピークオイル否定論者は成果を示せ昨日の新聞ではWTIの原油先物価格が再びバーレル当り70ドル台に上がったとありました。
(注:15日の記事では”十三日のロンドン国際石油取引所(IPE)で北海ブレント原油先物相場が初めて一バレル=七〇ドル台に乗せた”ということでWTIとの勘違いだったようです。
WTIは月曜になって70ドル台に乗りました。)

始めに紹介した英文グラフの中で私たちはどこに居るでしょうか、ピークを否定する立場でも、少なくとも一昨年、昨年あたりから黄色のプラトーの領域に突入していることには異論はないでしょう。

IDCJ/最近のエネルギー情勢から(2004年9月14日)
http://www.idcj.or.jp/1DS/11ee_josei040914.htm
より。
”現在の価格高騰から上流部門投資が軌道に乗ってくることで供給力の増強が予想されるため、既述のように、原油価格は2〜3年後には30ドルの水準に収斂するとの見方も現れてきた。石油資源枯渇が当面心配ないとするならば、今日の高価格は、「産油国・石油会社の資金蓄積」→「探鉱・開発部門への再投資」→「供給力の増強」というサイクルを通じて、明日の低価格を準備する。石油産業は、宿命的に循環的な性格を負った産業であるといえよう。”

この文章が書かれたのは2004年9月のことで、もうそれから1年半経っています。

新たな資源の発見量が従来の傾向から変わって増えはじめていることは確認されているのでしょうか、そうは聞いていませんが。
否定論者の方が、成果が出てきたぞ、と言い始めない限りは、実は一歩また一歩とピークに近づいているわけですから、是非とも成果が出てきたのなら早急に公表していただくべきです。

過去の石油産業の探鉱・開発投資額と見返りとしての新規供給力の増強の間のタイムラグを調べてみれば、大数的にみればピークが10年以上のしばらく先にある状態だったとしても、今年は「たまたま」発見に失敗してプレピークがやって来て、その後石油価格が数年間以上高止まりするといったリスクの確率も推定できるはずです。

投資の成果が上がる前にプレピークがやってくれば、そのための各種物価高騰が今度は投資自体の足を引っ張るというフィードバックも働いてくるでしょう。

その局面で、ようやくピークオイルが起っているのだと皆が認知をするか、石油不足そのものでパニック状態が起っているでしょう。

ピークオイル否定論者からの「便りがないのは悪い便り」。
という結論になるかと思います。

後日記:
●石油価格の指標

http://www.oilnergy.com/index.htm
まだ70ドル台の数字はグラフには反映されていませんが、ここにWTIと北海ブレントの時系列グラフがありました。

PM WTI Posted ($/BBL)WTI原油(先物)
http://www.oilnergy.com/1opost.htm
ここでは50年単位の昔までの時系列グラフを見ることもできます。

IPE Brent ($/BBL)北海ブレント原油(先物)
http://www.oilnergy.com/1obrent.htm
ここでは25年単位の昔までの時系列グラフを見ることもできます。

日本が輸入しているドバイ・オマーン平均価格(現物)
http://www.tocom.or.jp/jp/souba/crude_oil/genbutsu/index.html
こちらは、4/17現在、ドル換算で65$/BBLほどのようです。

OPECバスケット(OPECが増減産の意思決定に使っている7種価格の平均)
http://www.opec.org/home/basket.aspx
こちらは、4/17現在、65$/BBLほどのようです。
いずれにしても歴史的な上がり方といえます。
OPECバスケットの年間平均価格が2003年の$28.1から
2004年には$36.05、2005年には$50.64とうなぎ上りに上がっていることもピークオイル論の論拠になっていますね。

●●以下の部分に、いささか勝手ながら、いただいたコメントを旧い順に掲載させていただきます。●●

・Posted by rita at 2006-04-16 08:41:49
sgwさんこんにちは。
グラフとか図の威力ってすごいですね。

サンフランシスコが全米の都市で初めてピークに取り組むことを宣言しました。
市議会、全会一致。
そこまで市民や市当局をピークについて啓蒙したのは、やはり、ポスターだそうです。
これ一枚あれば、一目瞭然。
http://www.oilposter.org/
うちでも何枚か購入し、近所の啓蒙活動に使おうと思ってます。
サウジ政府を含め「否定論者」が本当のこと言わないのは、えらいパニックになってしまうなんて思ってんじゃないでしょうか。

原油生産の最近の数字が発表されましたが、相変わらず、昨年5月/12月のレベルで「頭打ち」です。

・Posted by SGW at 2006-04-16 09:37:41
ritaさん、サンフランシスコ市の情報をどうもです。
うーん、温暖化の話が入っているものを、といえば、今探して見つかるのはこれ
http://www.gci.org.uk/images/C%26C_Bubbles.pdf
でしょうか。(いちおうoil depletionの話も入っています。)
グラフ自体の類似性からすると、石油はピークオイルでの減少にまかせておけるので、温暖化対策の主な戦線はやっぱり、石炭の液体燃料化を封じ込められるかどうかに掛かってくるように思います。

・Posted by Y at 2006-04-16 11:33:39
SGWさんこんにちわ

わたしも昨夜のNHK教育を見ました。慶応の金子教授の発言で「ピークオイル」という言葉をTVで初めて聞きました。氏はEPRに多少は理解があるようですね。しかし既存油田の一次、二次回収のピークオイルを既に過ぎた事(※1)、既に安い石油を失った事(※2)への理解が不十分なようです。60〜70ドルで高止まりとは油田の性状(※2)を理解していない証拠ですね。

見ていて「温すぎる」と言うのが素直な感想でした。

やはりこのまま「無知な楽観論」に導かれてオイルショックは免れそうにありませんね。ドップリと石油依存症の人類にはオイルショックという「目覚まし」が必要なようです。

ピークオイルや石油減耗なんて問題の一片に過ぎないんですがね。現在の環境問題をキチンと総合的に理解する人は「ピークオイルは天恵だ」(※3)といいますからね。地球温暖化は石油減耗によって多少改善の可能性があると言っていますが(私見では正のループが大きく止まらないと思います)、森林の伐採は増えそうです。SGWさんは今世紀中頃に必要な酸素を失う可能性が高い事をご存知でしょうか?私は「文明崩壊 J・ダイアモンド」を読んで最近知りました。

※1 http://www007.upp.so-net.ne.jp/tikyuu/oil_depletion/iea_exxonmobil.htm

※2 http://asyura2.com/0601/hasan45/msg/812.html

※3 http://asyura2.com/0601/war78/msg/378.html

・Posted by SGW at 2006-04-16 14:47:47
Yさん、
ピークオイルは天啓かといえばそうじゃなくて、「危機」の始まりでしょうね。「機」の言葉はチャンスも意味していますがその中には「偽りの希望」のタネもたっぷりあるでしょう。

ただ、酸素がなくなる論にはくみするつもりはないです。
1モルの炭素が二酸化炭素に変わるために必要な酸素量はやっぱり1モルですので、CO2濃度の倍増化程度ではO2濃度の低下はネグリジブルのはずです。

・Posted by Y at 2006-04-16 23:55:09
ピークオイル 「今のままでは日本は危ない・・・分かったつもりの専門家が多く多勢に無勢」石井先生より御返事頂きました。

http://asyura2.com/0601/hasan45/msg/933.html

・Posted by macroscope at 2006-04-17 16:01:29
大気中の酸素(O2)はほぼ二酸化炭素の増加に見合った程度に減っていることがわかっています。測定にかかっているという意味ではネグリジブルとは言えませんが、酸素濃度自体に比べて4桁か5桁小さい変化ですから、影響という意味ではネグリジブルと言えるでしょう。この濃度変化を最初に示したのはラルフ・キーリング(昨年亡くなったC.D.キーリングの息子)だと聞いています。日本では東北大学の中澤高清教授のグループが詳しい分析をしています。ただし、東北大学のこの話題の説明のページ(http//tgr.geophys.tohoku.ac.jp/の「研究領域:対象物質」から「酸素(O2)」)の図は、ちょっと残念なことに、縦軸の単位が解析作業用のもの(酸素と窒素の比率の何かの標準からの偏差を百万倍したものらしいが、未確認)で、酸素の量の変化を直接示してはいません。たぶん、黒の斜めの矢印が、横軸のCO2の1モル(44 g)に対して縦軸のO2の1モル(32 g)の割合になるようにひいてあるのだと思うのですが。

Yさんの「必要な酸素を失う」とはどういう意味でしょうか?「文明崩壊」は読んだのですが、酸素がなくなるという話を読んだ覚えはありません。もともと自然科学者(生物学者)であるダイアモンド氏が、地球の大気中の酸素がなくなるとか、たとえば半分まで減るとかいう予測を述べるとは信じがたいです。ある水域の水に溶けている酸素がなくなる(あるいは水中動物が生きられなくなるほど少なくなる)、あるいは、ある地域の植生の酸素供給能力がなくなる、という予測ならばありうると思います。いま、本(英語版)の索引にoxygenあるいはO2ということばがないことと、直接地球温暖化を論じている段落で酸素を論じていないことは確認したのですが、全部読みかえす時間はとれそうもありません。Yさん、どの部分に書いてあったか教えていただけますか?

・Posted by Y at 2006-04-17 17:18:21
誤解を与えて仕舞ったようでしたら済みません。

私は全くの素人で恐縮です。著書に「必要な酸素を失う」との言葉は無く、以下の一節から私の解釈による言葉です。

「文明崩壊 揄井浩一訳」下巻p316、(7)より抜粋

「そしてとりわけ人間による環境侵害(後述(12)を参照)の増加率からすると、今世紀半ばぐらいでに、わたしたちは全世界の光合成能力の大部分を使うことになるだろう。つまり、日光から固定されるエネルギーの大半が人間のために消費され、天然林などの野生植物を生長させるぶんはほとんど残らないと言うことだ。」

又、「成長の限界 人類の選択」による人口の増加と森林の消失の高い可能性。更に、少し前のニュースステーションで、富良野塾の倉本先生が行なう廃ゴルフ場の森林再生活動を取り上げていまして、小泉首相に会ったら「郵政民営化と呼吸とどっちが大事ですか?!」とタオルで口を塞いでやりたいと言っていたこと。

これ等を元に「必要な酸素を失う」と書きました。当然、全ての酸素という意味合いではなく「多くの人類の活動に必要な分の酸素を失う」との意味です。天然林の成長に必要な酸素、光合成能力を失うと言う事は結果として「必要な酸素を失う」と同義と解釈しましたが、如何でしょうか?

光合成限界について少し勉強したいのですが、NETで得られる論文、書籍、素人でも理解できそうなものがあれば、ご教示頂けないでしょうか?

・Posted by macroscope at 2006-04-18 16:55:12
Yさんどうもありがとうございました。前のわたしの発言がきつくなってしまってすみません。ダイアモンド氏の言っているのは、大気中の酸素ではなくて、地球上の植物の光合成能力について、人類がその多くを農業などで使ってしまっており、その限界に達するのは遠くないということですね。自分では数量的に確認していませんが、定性的には正しいと思います。

そこでピークオイル問題にもどると、今のエネルギー資源の需要を変えないままで、その供給を化石燃料の代わりにバイオマス燃料でまかなおうという政策には無理がある、と言えると思います。バイオマス燃料は必要になると思いますが、需要を減らすことも必要です。

・Posted by rita at 2006-04-18 18:08:13
sgwさんこんにちは。
賑わってますねえ。「オイルピーク」で、そろそろ別ブログを立ち上げる時期かも知れませんが、いかがでしょう?
喜んで転載/リンクしますよ。

yさん。はじめまして。
サンフランの取り組みについて、サンフランシスコ市議会の決議の全文は下記よりダウンロードできる。
www.sfbayoil.org/sfoa/media/SFOA_Peak_Oil_Resolution.pdf
また、私のブログ掲載する予定なので御参照下さい。
http://www.the-commons.jp/rick/

なお、掲示板など他の場所へ転載する時は発言者のクレジットも付け加えてくださいね。

・Posted by SGW at 2006-04-18 19:22:13
ritaさん、どうもです。
ピークオイルについては、別ブログを独立させるつもりはないです。やっぱり温暖化問題との関係で述べることが自分の視点だと思いますので。
何人か、ジャーナリスティックにこの問題を追っかけようという方が居れば、JanJanなりでブログを立ち上げてもらってそこと連携して記事をやりとりというくらいにしたいものですが。
これまでは読んでいるだけだったけれども関心のあるという方、どなたか居ませんでしょうか。

Yさんへ、オリジナルを誰が書いたかを明らかにせずに転載されるのは困ります。修正できるものならしてください。

・Posted by Y at 2006-04-18 19:43:37
macroscopeさんritaさんSGWさん、こんにちわ

macroscopeさん、お気遣い有難うございました。私は素人なもので玄人に突っ込まれ「間違ってた?!」と少しドキッとしました(笑)。ritaさん勝手に転載させて頂きまして恐縮です。クレジットの件了解いたしました。段々面倒になってきたので(ピークオイルそのものについては充分に裏を取ったので)、サンフランシスコの件は裏を取らずに転載し、少し早まったかと思っていた所、市議会決議文のURL紹介は有り難かったです。

最近方々でピークオイルに関心のある方々と遣り取りし、ソロソロ一同に介し遣り取り出来ないものかと考えておりました。その際は有識者の方々にもご紹介して、方々で宣伝し注目を集めて・・・。

このまま「無知な楽観論」に導かれて、日本崩壊を現実のものとするのは余りに馬鹿らしいと思います。個人的にもそれに巻き込まれたくは無いです。これまで私の投稿を友人、知人、方々のブログ、BBSにて狂ったように紹介してまいりましたが、元より関心のある方は有りがたくも応答して頂けますが、大抵の方は無視ですね。単に悲観的な事は聞きたくないとの姿勢です。

実は、あるお方がピークオイル問題などに板を使用しても良いと行ってくださったのですが、私事で近々、I=TAPのTAを下げる為、来る食糧難に備える為、自身の利益の為に田舎に移住、帰農生活をする予定、途中から参加できるか解らないので「言い出しておいて最後まで責任を取れない」と考えご遠慮しました。


皆様、その様な適当な板が有ったら如何でしょうか?


追記:ピークオイルに関心が高く、遣り取りして頂けた方々をご紹介いたします。

エネルギー関係者のSamochanさん
http://diary.jp.aol.com/pmh2hm6htf/33.html
石油開発専門企業に30年お勤め、現役の魚讃人さんhttp://8926.teacup.com/toto01/bbs
太陽光発電のプロ、よしどみさん
http://pv.way-nifty.com/pv/2005/09/post_fec6.html
お医者さんの朝日さん
http://8301.teacup.com/beniakou/bbs
科学者の分析屋さん
http://bunsekiya.seesaa.net/article/5484536.html
環境問題に関心の高いRUPISUさん
http://db.zaq.ne.jp/asp/bbs/cwo_bfacy104_1/list
整形外科医で本の執筆もされるSHOさん
http://64172503.at.webry.info/200503/article_66.html

・Posted by Y at 2006-04-18 19:48:30
皆様方にお願いです、次の講演情報の宣伝にご協力願えませんでしょうか、どうかお願い致します。
http://asyura2.com/0601/hasan45/msg/933.html

今、日本はオイルショック、食糧難、エネルギーの危機を目前にしています。最悪のシナリオを回避する為に5/26の「無料講演」に参加、その具体的方法を学び情報の普及をしませんか。

日時:平成18年5月26日(金) 13:00〜17:00
場所:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)

基調講演 「『脱石油戦略』を考える」
 
 東京大学名誉教授・科学技術戦略フォーラム代表 石井 吉徳

詳細はこちらで(http://www.eaj.or.jp/openevent/symposium060526.pdf

石井先生の過去の講演映像、論文がこちらから見れます(http://education.ddo.jp/ishii/

・Posted by Y at 2006-04-18 20:56:27
SGWさん済みませんでした。

生憎某サイトの投稿は削除が出来ません。以後、転載の際は気をつけます。

・Posted by SGW at 2006-04-19 06:34:53
Yさんどうも紹介をありがとうございます。
>石井先生の過去の講演映像、論文がこちらから見れます(http://education.ddo.jp/ishii/
この講演映像のインターネット配信を拝見しました。
わざわざ大きな講演会へ行かなくても、この講演映像を広めるだけでかなりなインパクトがあるのではないでしょうか。
原子力「村」の研究会で喋っているってことは置いておいても、本人の理念が明らかになっているのが良いですね。
 宇宙太陽発電衛星の研究がロケットのコストを根拠もなしに1/100に楽観的に切り下げる見積もりをしていたという紹介には驚きましたが、確かにそうでもしなければ安価に実現可能というような評価にはならないでしょうね。


posted by おぐおぐ at 01:51| ピークオイル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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