2006年02月22日

グローバルな炭素循環について

先日の討論会の感想 の続きです。

 温暖化懐疑派の中でも槌田氏とその論の追従者の人たちが、IPCCの第三次報告をきちんと読んでいないのは明らかだと思っていました。が、もう一人の懐疑派論者の中本氏もまた読んでいないようでした。
それは、ミッシングシンクについて、そんなものはもうなくなっている、と僕がしゃべったことに心底驚いたようだったからです。

 ミッシングシンクについては国環研の地球環境研究センター通信の中の、「炭素循環国際研究集会」の中に90年代半ばの状況が示されています。
 この文章によると、1995年発行予定のIPCC第二次報告書の検討時点ですでに、ミッシングシンク問題は定性的には解決されたとの紹介になっていて、報告書の文章から除かれていたようです。つまり中本氏がしゃべっていたのは第一次報告書の時点での知識に基づいていた、ということでしょう。

 中本氏がまだまだ研究がされているんだ、と語っていたIGBPでの研究についてもこのセンター通信では継続的にフォローしています。
ニュース一覧からバックナンバーをご覧ください。


 さて、「ミッシング」なものがないことの証しとして、IPCCの第三次報告書の
http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/108.htm#fig34
に出てくるグローバルな炭素循環のマスバランスについての解説を作ってみました。
左上のjpegファイルとして公開しておきます。

前回のjpegファイルの最上段に示しました「ネットで表す炭素循環」のデータは、このような手順で作られたデータです。

 さて、言葉の当初の意味はおいておいて、この中にどこに疑問を呼ぶ点があるのでしょうか。

後日記:
 言葉の当初の意味について
 中本氏も槌田氏も、学会の大多数が、ミッシングだろうがなんだろうが「シンク=吸収源」という評価であるということを知っていて、どうして海洋が「ソース=排出源」だなんてトンデモ理論を出してきたんでしょうか、どこの誰が「ミッシング・ソース」について数字を示しているのでしょうか??

ミッシングシンクはいつなくなったか? へ続く追記:
中本正一朗氏の名前をGoogle検索してみると、

平成12年度科学技術振興調整費総合研究
「炭素循環に関するグローバルマッピングとその高度化に関する国際共同研究」
研実施計画

の研究推進委員会委員としても名前を連ねていますね。
 IGBPの研究の必要性の大前提となる、ミッシングシンクについてどこまで解明されたのかという現状について、委員に対してきちんと情報提供ができていないということでした。
この推進体制には、構造的に情報流通を阻害している問題点がある、としか思えません。(そりゃ、本人が沢山回ってくる書類を積読にしていて目を通していなかっただけかもしれませんが。)

 IGBPの研究が重要な理由は、将来の気候変動への海と陸の吸収源の反応がどう変わるかが、温暖化の被害の規模とリスクを大きく左右する不確実な要因であるからであって、現在その吸収源の規模が分かっていないからではない、ということを主張として書いておきます。


トラックバックをいただきました。
http://blog.livedoor.jp/y0780121/archives/50062218.html

この記事へのコメント
●Posted by はれほれ at 2006-02-25 17:09:07
>さて、言葉の当初の意味はおいておいて、この中にどこに疑問を呼ぶ点があるのでしょうか。

左上の図についての質問です。出典はキーリングジュニアの論文からだと思うのですが、地球上には酸素の化合物は炭素以外にもS、N、Pなどほかにもあるとおもうのですが、それらの物質は考慮しなくてもいいのでしょうか?

●Posted by SGW at 2006-02-25 20:09:21
 はれほれさん、キーリングジュニアの論文自体は読んでいません。出典はまさに上のURLにあるIPCC第三次報告書の図3-4の説明文そのものです。

 連立方程式の中には入っていないCO2やO2の行方で、それらのほかの化合物が関わるものがそれなりの規模以上の規模であるなら、それらについても調べないといけないでしょうね。
 実際には図3-4の中には第三の要因として、海水の温度上昇にまつわる溶存酸素のアウトガス(垂直方向の短いベクトル)がわずかですが含まれています。模式図ではこれについては理解しやすいよう説明を省略していました。

はれほれさんの考えるように、その不明なプロセスが酸素とだけ結びつくものと想定すれば「ソース」として存在するのか「シンク」として存在するのかによって、このアウトガスのベクトルの長さを長く(あるいは短く)したもののようなベクトル図の変形をもたらすことになるでしょうが、それは海のベクトルそのものを大きく変えることにはならないでしょう、元々直交する向きですので。
posted by おぐおぐ at 17:08| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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