2006年06月27日

討論会の感想

後日記:「エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方」もご覧ください。

(初出:06年2月20日17時03分)
2月18日(土)にあった、懐疑派の中の槌田敦氏と反懐疑派の東北大明日香氏が企画したバトルのような討論会に、僕も参加してきました。

槌田氏の論に対して、かなりな反論が盛りだくさんに出されましたが、結局はああいえば上祐的に言い逃れられてしまって、相手方には楽しかった、またやりたい、的な感想をもたれていたようです。

 途中で僕が飛び入り参戦したときにパソコン上で紹介しましたが、槌田氏論文の図表7についてのIPCCのセントラル・ドグマグローバルカーボンサイクルの理解に基づく解釈は、紙の形で事前配布をできませんでしたので、左上にjpegファイルで添付をしておきます。どたばたして作ったものなので、微修正が後日あるかもしれませんが。この文章の下に、大きな修正を掛けて、グラフの追加もしておきました。趣旨は同じですが、より実物のグラフに似せるために、模式図の直線、曲線に傾斜を付けました。6月26日記
(炭素循環の数字の出し方については、こちらのjpegファイルを参照ください。)

・もっと明快に示した図がありました。有名なNASAのジェームズ・ハンセンが昨年12月に米国地球物理学連合(AGU)の総会の場でキーリング追悼講演を行ったときのプレゼン資料一式です。
この中でP19の図は、縦軸の単位系だけが違いますが槌田図表7と相似の形になっています。槌田図表7の折れ線がハンセンの図では幾分デフォルメされてはいますが同じ折れ線であることが見て取れます。"Soaked up amount"と青く塗られた箇所が、陸と海の吸収量の和となっていることがよくわかります。
(ちなみに、ハンセンの下側のグラフは、人為的に大気中に排出されたCO2のうちの平均58%ほどが大気中に残留している状況を示しています。)

後日記:
・つまり槌田氏論文の図表7が示しているのは、槌田氏図表の5の変動が、排出も吸収もすべてをネットで評価すると変動しながらも正の値であり続けていることなわけですが、それを各排出項目と吸収項目の値に分解すると、人為的排出は常に排出なので、吸収側も変動しながらも常に吸収となっているわけです。

 これをルシャトリエの法則を使って説明すると、まずは平衡系(18世紀、大気中CO2濃度280ppmの状態、毎年の大気中CO2濃度は一定なので自然の排出と吸収はバランスしている)から人為的な排出という変動要因生じたためそれを緩衝する方向への平衡状態のシフトが起っていることを表しています。このシフトをドライブする人為的排出という「長期的傾向」は変わらないわけです。
そして平衡からの逸脱の規模はCO2濃度の方が気温よりも著しいため、主にCO2濃度の変化を緩衝させる方向への変化が起っているのです。
このCO2濃度の変化を緩衝させる方向という関係反応は、中環審のこの資料の2000年までの実績がよく表しています。

・明日香氏の当日のパワーポイントのプレゼンテーション と、最新版の反論へのコメント が掲載されていますね。
・槌田敦氏の「CO2温暖化説は間違っている」もHP上に掲載されています。


・「環境を読み解くhechikoのブログ」でhechikoさんが、
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(1)
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(2)
(もうこのグラフ一つでなんにも付け加える必要はありません。)
槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」を読む(3)
 の連載をしています。

この中で紹介している図表1−5が、上で言っている槌田論文の図表7のことです。

2007/07/18
Aquarian's Memorandum:槌田『CO2温暖化説は間違っている』の間違い という記事もよくまとまっています。

グローバルな炭素循環について へ続く

                             槌田図表7
槌田2

こだわりを見せて、更に追加の記事を作りました。
エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方 これが決定版だと思います。

 もう一つ、グラフを追加しておきます。
海洋がCO2の排出源だという説は現実の観測と食い違いを見せます。海洋が多い南半球が率先して増加していないのはなぜでしょう。
CO2inc.png●倶に天を戴かざるの敵

 以下は感想です。
 客観的に見れば、槌田氏、中本両氏は、原発が安全だと安請け合いし、危険性を主張する研究に耳を傾けさせない役割を果たしている雇われ科学者と何も変わらないことをやっている。
「ブッシュの犬」「石油産業の意向を代弁しているのだからお金をもらっているに違いない」と決め付けてもよいのかもしれない。

 元環境NGO関係者(自分)としては、科学者の社会的責任論を振り回す両氏に対してこそ、自分のやっていることの社会的意味を見つめなおすべきだ、とプレッシャーを掛けるべきだった。それが出席していた他の科学者たちと自分との立場の違いであったに違いないと思う。
つまり、2003年の欧州大熱波で過剰に亡くなった30000人の老人たちのことを一体どう考えれば、「(他にあるとして)温暖化の真の原因が何かを追求するつもりはない」などと、科学者の社会的責任論を振り回すその同じ口で言えるのか、ということを言うべきだった。
 
 ということで、遅ればせながら僕は槌田、中本両氏に対して、不倶戴天=倶に天を戴かざるの敵1号、2号との称号を送ろうと思う。
もちろん、今回、反懐疑派が提供した情報、証拠があるにも関わらず今後彼らが科学者として不誠実な態度をとり続ける場合のことだが。

 また討論会をやりたい、だなんて言われても、次回彼らとあいまみえる際には怒髪天を衝いているかもしれない、という警告をここでしておこう。


トラックバックをいただきました。
http://blog.livedoor.jp/y0780121/archives/50062218.html

コメントをいただきました。
Posted by 傍目八目 at 2006-02-25 09:40:02
>倶に天を戴かざるの敵

貴方の発想こそ、「911のWTC犠牲者を考えれば、アフガンやイラクの野蛮人の命など無意味」とばかりに、無関係な人々に虐殺の限りを尽くすブッシュと同じではないのかな?

なんらかの原因で海水温が上がれば、炭酸ガスが放出されるのは、サイダー飲んでた世代としては自然に理解できる事なんですけど・・

Posted by SGW at 2006-02-25 16:08:04
 傍目八目さん
 ワハハ、こちとらネット上で言うだけのヘタレですのでブッシュとは一緒にせんといてくらはい。

 なんらかの原因とは何ですか?海水温はいくら上がったんですか?何年続くんですか?
 まあ、科学者じゃない人が主張するのなら別にこれらには答える必要はないでしょうが。

Posted by 傍目八目 at 2006-02-26 19:46:58
SGWさま

ネットオタとおしゃる割には、物騒な事が書かれていたもので、つい・・

それに、「佐藤秀の徒然・・」さんの様に、バンドワゴンにのっかるコイズミチルドレン見たいな方も多々いらっしゃるみたいで、温暖化CO2原因説とその運動は、国を巻き込んで免罪符売り付けた、なんとか教の歴史を目の前で見ているようで、コワイ
このごろCO2原因説を梃子にして原発推進派が勢いづいて来ているのではありませんか?

ロシアの学者がもうすぐ小氷河期が来ると言っているようですし、
地球規模の温暖化については、お天道様の虫の居所と言うところでしょう

Posted by SGW at 2006-02-26 23:11:54
 傍目八目さん。
まあねえ、僕としては当日の議論の中で槌田説を完全に論破できる材料を紹介したつもりなので、それらを全然検討しないで、同じ槌田説を垂れ流し続けるなら、科学者であるはずの彼らは僕にとって「倶に天を戴かざるの敵」になる、という主旨です。
ですので、別にその説に惑わされているだけの人のことを悪く言うつもりはないです。

Posted by SGW at 2006-02-27 01:40:07
傍目八目さん
> このごろCO2原因説を梃子にして原発推進派が勢いづいて来ているのではありませんか?

この件については、ちゃんと議論をするべきだと思っています。
議論のための場所をここに準備してありますので。
「4.ラブロックの原発推進論について」
ここで話を進めていただければと思います。

Posted by ニリンソウ at 2006-03-02 23:43:14
岡目八目さん

あなたの言ってることは正しい。
不倶戴天・怒髪天を突く・・・、感情でしか物事を捉えられない人種とは、あまり有意義な対話は望めないでしょう。
何より「二酸化炭素が原因で気温が上がる」と考えた筋道が示されないわけですから。

素人に説明できなくなると、
>「まあ、科学者じゃない人が主張するのなら別にこれらには答える必要はないでしょうが。」
と来る。
>「なんらかの原因とは何ですか?海水温はいくら上がったんですか?何年続くんですか?」
なんてのは、素人に「あっち行け」と閉じこもる姿勢を露わにする。

偉そうに見せて居丈高に根拠のないことをまくし立てる。勉強は出来るのかも知れないが、詐欺師は知能の高い人が多いことを考えると、庶民の常識は一つの対抗軸になると思います。サイダーを卒業してビールになった現在でも。

http://env01.cool.ne.jp/

や、

ほたる出版 「CO2温暖仮説は間違っている」槌田敦 著

は、ご存じでしたか?

Posted by ニリンソウ at 2006-03-03 00:11:50
失礼。誤字訂正です。

×岡目八目さん
  →傍目八目さん


×ほたる出版 「CO2温暖仮説は間違っている」槌田敦 著
  →ほたる出版 「CO2温暖化説は間違っている」槌田敦 著

でした。すみません。

Posted by SGW at 2006-03-03 16:37:07
> 何より「二酸化炭素が原因で気温が上がる」と考えた筋道が示
> されないわけですから。
 ニリンソウさんが懐疑派を代表して議論にお付き合いしていただけるのなら、議論の場を設定してもいいですよ。なんとか説得するように努力してみましょう。


もう2年前の記事ですが新たにリンクを。
池田 信夫さんのブログで「地球温暖化バブル」
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/86511d76663734ad5d6057b791fc3cf9
として話題になっていました。
 正のフィードバックループができているからには、因果関係は一方方向だけでなく両方向に働いているのだ、ということをまず理解してもらわないといけません。
 それが分からない人には何を言ってもムダかもしれませんが。
posted by おぐおぐ at 01:52| 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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