2005年10月20日

南極にも異変が:4番目の恐怖

 1番目は:世界の深層海流を動かしている熱塩循環のポンプが停止して、欧州が地域的に氷河期に叩き込まれる懸念=「氷に刻まれた地球11万年の記憶」本の紹介」

 2番目は:「世界の森林減少で加速する温暖化:2番目の懸念」

 3番目は:永久凍土の下や海底で眠っているメタンハイドレートが、一定以上の温暖化で急激に放出されはじめ、暴走温室効果をもたらすという「2億5千万年前の大絶滅:3番目の懸念」

 と紹介してきましたが、以前「「氷に刻まれた地球11万年の記憶」本の紹介」 の中で、懸念される気候カタストロフィの4番目として、南極の西南大陸部の氷床の融解と書きました。
 今日はこの南極を取り上げます。いつものように英字紙より抄訳を。Reuter:Antarctic ice melts as sea warms but cause unknown
http://today.reuters.com/News/CrisesArticle.aspx?storyId=L17336344
 2007年に発行されるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告書向けに南極の温暖化の状況について整理するための会合がロンドンで開かれた。
 南極の氷が融けつつあり、もしこの西部南極の氷が全部融ければ最大6メートルにも及ぶ海水位の上昇は、沿岸部に住む人や経済への被害となる。中央部での降雪よりも沿岸部での融解が早く氷の質量は減少しつつあるという。
但し、人為的な地球温暖化の影響がどれくらいなのか、どの規模まで広がるのかは良く分かっていない。
Scientists baffled over sea temperatures
>http://seven.com.au/news/topstories/114450
 同上

Sea Level Rise Forecast to Flood Low-Lying Coastlines
http://www.ens-newswire.com/ens/oct2005/2005-10-18-02.asp

 最近の人工衛星からの氷床の観測データによると、氷の融解が速く、以前の予測以上に現在の海面上昇に寄与しているようだ、これらの影響は現在の気候モデルには組み込まれていない、とブリストル大学のペイン教授は語った。
 ペンシルベニア州立大のアレイ教授は第三次報告書の中の、21世紀中には(南極西南大陸部の氷床の融解が)海面上昇に寄与することは"非常にありそうにない"との記述に懸念を表明した。我々はサプライズを予期し対応することになる、という。
 英国南極隊のヒンドマーシュ氏は氷床の移動モデルを作り、棚氷が気候変動で融けると氷河が海に向かって移動する速度が急になり海面が上昇することを示した。
(南極の氷河の縁にあって浮かんでいる棚氷が通常は栓をして氷河の移動を食い止めているが、一旦棚氷が崩壊すると氷河が海に向かって移動する速度が急になった、という研究が確か2003年には報道されていました。上の氷床の移動モデル評価をすることになった元の実測データはこれなのでしょう。)
後日記:
Hotwired Japan:南極の氷河流が加速、世界の海面上昇にも影響か
Stephen Leahy 2004年9月24日
 が、この以前の研究のことだと思います。2003年ではなくて昨年でしたか。

元の発表は
JPLのプレスリリース Glaciers Surge When Ice Shelf Breaks Up


 一般にカタストロフィを起こす条件としては、A.正のフィードバックループがあること、B.その拡大を阻止する負のフィードバックループの力が弱いこと、C.そして初期のゆらぎが正のフィードバックループを動かし始めるほど充分ゆらぐこと、といったような条件があるのだろうと思います。

 これまでの1から3番目の懸念される気候カタストロフィでは、正のフィードバックループに納得がいくものがありましたが、この4番目の懸念については、南極の氷床が移動し始めるといったことが正のフィードバックとなるのかどうかはまだよくわかりません。
 元々時定数が数千年と極端に長いと思われていたこともあってまだ複数のモデルが並行して作られるところまで進んでいないのだろうと思います。

 ということで、この南極の異変については、ある程度リスク概念がなりたつという意味のある「懸念」ではなく、分からないからこその「恐怖」ということにしておきます。

 なんちゃって、「四番目の恐怖」って広瀬隆氏の本がありましたね〜って、同じ表題を作ってみたかっただけのことでした。


posted by おぐおぐ at 15:50| 気候カタストロフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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