2005年10月19日

世界の森林減少で加速する温暖化:2番目の懸念

 気候カタストロフィとなるシナリオの一つに、森林減少が地球温暖化を加速する悪循環、を挙げることがあります。

 その森林減少にも2種類の話題があります。

●一つは、北極周辺のツンドラの南部にある亜寒帯林(北方林)が急激な気候変動にともなう干ばつや永久凍土(という水源)の喪失や、害虫の大発生などで立ち枯れをおこしたり森林火災が起こりやすくなり、そこの地上および地下に蓄えられている有機物が分解しCO2やメタンとなって大気中に出て行く、というシナリオです。

これは「2億5千万年前の大絶滅:3番目の懸念」
の中であった、一定の温暖化がきっかけでツンドラの永久凍土(および海底)の中に蓄えられているメタンハイドレートが急激に大量に放出されるという話と類似していますが、別の土地での別の気温条件がティッピングポイントとなっているので、別々の懸念であるといえます。●もう一つは、現在人為的におきている、ブラジルやインドネシアなど途上国での「熱帯林の減少・劣化」(これ自体が一つの地球環境問題とされています)によって温室効果ガスが排出されるというものです。
 以前の記事「ヘイズ(煙害)情報inロイター」
の中でも、インドネシアの農地(オイルパームは樹ですが)開発のための森林破壊で森が燃やされるという例がありました。

 人為的の意味を一言で言えば、森林を伐採したり、農地の転換するために火入れしたりすることで、有機物として炭素を蓄えてきたのがCO2となって排出されるものです。(火入れではN2OやBC/OCといったエアロゾルなど他の温室効果ガスも出ますし、地下での嫌気性の有機物分解ではメタンも出ます。)

 こちらは特に、エルニーニョ現象における降雨パターンの変化の問題が関わってきます、気候モデルの研究によると将来の温暖化時には、現在のエルニーニョのパターンがより起こりやすくなるという予測が出されていること、また実際に1970年代以降、エルニーニョの起こるパターンが変わっていることが地球温暖化のあらわれではないかという議論も起こっていました。

 これが将来おこれば、温暖化→エルニーニョの激化→現在の熱帯林地域が幅広く減少→温室効果ガスの増加→さらなる温暖化という悪循環になることが懸念されます。
 昨日の記事にアマゾン河流域での森林減少という話がありました。
Greenpeace claims a relationship between the Amazon drought and deforestation
http://internacional.radiobras.gov.br/ingles/materia_i_2004.php?materia=243772&q=1&editoria=
 10月17日ブラジルのラジオ放送より。
 グリーンピースの気候キャンペーンコーディネーターのカルロス・リッテルは「アマゾンに降る雨の50%は森林由来だ。樹に触れると雨水は地上に届く前に蒸発する。さらに樹は蒸散もしている。森林を破壊すると、雲の形成を邪魔することになる。」と語った。「ブラジルでは温室効果をもたらすガス排出の75%が森への火入れと森林減少によるものだ。これは我々の温暖化への寄与であり、それが更に大西洋や川に影響を及ぼす。」

ということで、ポスト2012(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)の交渉では、途上国の温暖化対策として、森林減少問題が焦点化される可能性もあるといえます。少なくとも、長期気候目標を議論するさいには、この問題を除外するわけにはいきません。



●森林(林業)を管轄している国連の機関、FAO(国連食料農業機関)は2001年版の「世界の森林の現況,SOFO2001」の中で「Climate change and forests」の一章
http://www.fao.org/documents/show_cdr.asp?url_file=/docrep/003/y0900e/y0900e06.htm
を割いて森林と温暖化についてまとめています。

 この中の図21では、土地利用変化(Land Use Change)に伴う二酸化炭素の排出を、森林減少面積を元に推計したデータが示されています。(グラフの縦軸の数字がダブっていますが…)
1990年における1年あたりの排出量、炭素換算で約2ギガトンという数字は、同じ時期の全世界の化石燃料消費による排出量約6ギガトンの1/3を占める非常に大きな排出減となっています。(但し森林が伐採されて農地などに用途が転換されたその瞬間に、森林内に保たれていた炭素成分がすべてCO2に転換して大気中に放出されたものとして計算しています)
 この2ギガトンの数値はIPCCの第三次報告書の中にも複数ある試算の一つとして採用されています。

参考:元論文といってもよいでしょうが。
R.A.Houghton WHRC
http://cait.wri.org/downloads/DN-LUCF.pdf

後日記:
 国際環境NGO FoEJと(財)地球・人間環境フォーラムが共同で発行しているフェアウッドキャンペーン のメールマガジン通信『フェアウッド・世界のニュース』
が役に立ちます。

--以下紹介文
 地球規模での環境問題に配慮しつつ、持続的発展を達成するためには、健全な自然環境の維持と資源の効率的利用が重要です。なかでも世界の森林は、その地域の経済発展にとって重要な役割を果たしていますが、無秩序な土地利用、森林火災、違法伐採などにより森林の健全性が脅かされています。そのため持続可能な森林経営を通じ環境負荷の少ない木材利用を求める国際的世論が沸きあがっています。

 特に、違法伐採問題は持続的森林経営にとって大きな脅威となっていることに鑑み、この問題解決には生産国のみならず、消費国においても何らかの対策をとるべきという共通認識のもとで、2002年4月、東京でNGO、研究者、企業、政府関係省庁等からの参加を得て「違法伐採円卓会議」を開催しました。

 そこでは、持続可能な森林経営と環境に配慮した木材の利用推進等の必要性について議論し、木材輸入国の消費者をはじめ木材関係者に対し広く普及啓発することが重要であると認識しました。

このような背景からスタートした「フェアウッド・キャンペーン」では、木材の持続可能な利用をよびかけています。早急な解決が望まれる違法伐採問題や、森林管理や林産物の認証といった取り組みをとりあげながら、持続可能な森林管理の実現に向けた具体的な方法を考えます。
--
・同じく、(財)地球・人間環境フォーラムが発行しているレポート「環境政策提言
発展途上地域における原材料調達のグリーン化事業
サプライチェーンを遡ってみれば」
では、海外でのこの問題対策の先進事例を紹介しています。


posted by おぐおぐ at 15:49| 気候カタストロフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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