2005年10月02日

炭素税についての世論はどこを向いている?

 今日の地方紙を読んでいると、「地球より家計」「環境税反対32%」と表題が踊っています。
内閣府が行った世論調査で、賛成は24.8%、どちらともいえないのが35.5%だということで、「負担懸念 賛成上回る」という副題がついています。

 これはあかんなー、「かくも長き炭素税導入への道」という記事を少し書いてみようと思い立ちましたが、すると以前はフォローしていたつもりの過程をほとんど頭の中から叩き出していることに気がついてしまいました。


 しょうがないので、内閣府のホームページへ飛ぶと、10月1日の発表記事はまだ掲載されていません。いつものGoogle検索をかけると、1997年の世論調査がひっかかりました。●地球温暖化問題に関する世論調査(平成9年6月)
http://www8.cao.go.jp/survey/h09/ondan.html
この年は京都議定書ができた京都COP3会議の年です。
新聞の解説をみると、どうやらこの当時と同じ調査方法で繰り返しているもののようです。

 その後の世論調査は2001年です。
●地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査 平成13年7月調査
http://www8.cao.go.jp/survey/h13/h13-ondanka/index.html
 COP6とCOP7で京都議定書の詳細が確定し、次の2002年に日本政府が京都議定書の批准をした重要な年でした。さすがにお役所だけあって、データがない、ということにはしていないんですね。

 2001年の調査には入っていませんが、97年の調査では、実は炭素税の調査をしていました。
----引用
Q13  〔回答票12〕現在,地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の量を減らすために,炭素税という税を導入すべきだという意見があります。炭素税とは,燃料の中に含まれる炭素の量に比例して燃料にかけられる税金で,燃料の使用を節約させるなどの効果を持つと言われています。ヨーロッパの一部の国では既に導入しているところもありますが,仮に日本でもこの炭素税が導入されることになると,製品の値上がりなどを通じて国民の負担につながると考えられます。あなたは,地球温暖化防止のためにこの炭素税を受け入れることができますか。それとも受け入れることはできませんか。この中から1つだけお答えください。

(23.5) (ア) 地球温暖化の防止のためには受け入れることもやむをえない
(42.1) (イ) 受け入れるかどうかは製品の値上がりの程度などによる
(25.5) (ウ) 受け入れることはできない
( 8.8)   わからない
----引用ここまで

 ちょっと驚きですが、今年の7月に行った世論調査の数字とほとんど変わらない比率です。
 今年の質問では、環境税の導入をどう考えるかについて、賛成(24.8%)/どちらともいえない(35.5%)/反対(32.4%)/分からない(7.3%)を分けています。
(詳細はまだわかりませんから、ここでは環境省が昨年そう呼ぶことにしたのにならって、環境税=炭素税のこととして質問側も回答側も答えたものとみなしておきます。)

 この数字をどう考えるべきでしょうか。わずかに「どちらともいえない」の比率が下がり反対派に回っている程度で、ほぼ同じに見えます。

 京都会議の時も1月から、京都会議、京都会議と結構大きく新聞などでも取り上げられ、温暖化問題についての露出がかなりあった年ではありましたが、6月ころにはまだまだ規制というのが実感を持って受け止められていなかった時期だったと思います。

 今年の状況は、もう京都議定書が発効し、目標達成計画もできて対策待ったなし、昨年の内にも一度環境省が環境税制度の創設を税制改正要望でも提案したというのが現状ですが、その状況についての認識がないのだとみなすべきでしょうか。
 国民からのはっきりしたメッセージは出てきていない、と言う結論にすれば、政府の方もやりにくいことこの上もないでしょう。(だったら選挙の公約にしておけば良かったのに>小泉ソーリ)

 今年は賛否の理由を複数回答で聞いており、反対でもっとも多いのは、「家計の負担が重くなる(57.5%)」、ついで「税収が政府に無駄に使われるかもしれない(43.3%)」。
 賛成理由でもっとも多いのは、「環境を大切にする気持ちを呼び覚ます(45.4%)」、二番目が「温暖化対策に全員参加の仕組みができる(39.5%)」だったとのことです。

 一つだけ言えるのは、どちらともいえないと考える多数派がなるだけ納得できるような方向性が必要だということです。制度についてのより明確な輪郭が見えてこないと「どちらともいえない」ままの人たちの納得なり反発を得られないでしょう。

 炭素税/環境税は最も正統派の温暖化対策といわれることもあり(今作っただけですが)、今年の国内における対温暖化政策として議題に上げられているのはこれ一つですから、そして、今年は京都議定書を達成するための国内の進捗状況をCOP/MOP1に提示しなければなりませんから、はやいとこマスコミのみなさんにも議論を盛り上げてもらいたいものです。


後日記:
・この報道の結果をみてがっかりしているというブログもありました。
「環境税反対、賛成を上回る=関心あっても負担は嫌」で思うこと

・京都議定書発効シリーズブログでも昨年度の経緯を少し書いています。

●炭素税論争

・環境NGO関係者が集まった横断的な、炭素税研究会 に資料がたくさんあります。

・経団連:民間の活力を活かした地球温暖化防止対策の実現に向けて
〜改めて環境税に反対する〜

・同参考文献

・国立環境研究所:温暖化対策税をめぐる議論−試算結果への批判に答える
(環境省の提案の根拠になった試算について)


posted by おぐおぐ at 15:32| 炭素税/環境税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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