2005年09月12日

1.気候モデルはどこまで信用できるか/信頼できるか

科学の不確実性を踏まえた上での採るべき対策とは(その1)

1.気候モデルはどこまで信用できるか/信頼できるか

 田中氏の論の前編への反論 の続きです。−−−−引用
 この理論の問題点の一つは、気候モデルのソフトウェアが、現実の気候変動のメカニズムを再現し切れていないということである。代表的な気候モデルは、地球上を300キロメートル四方の無数の地域に分割し、各地域の内部の気象が均一であると仮定しているが、現実の世界では、300キロ離れると気象状況はかなり違ってくる。(関連記事)
 そもそも、人類はまだ気象や気候(日々の気象の長期平均が気候)のメカニズムを完全に解明できておらず、きちんとした気候モデルが作れる状況ではない。1週間先の気象を予測する天気予報用のシミュレーションモデルも作れていないのだから、はるか以前の気候を再現したり、遠い未来の気候を予測したりする気候モデルは、不完全なものしか存在しない。


 4):実際のIPCCのモデルの使用が信用できない(前回は「信頼できない」と書きましたが、ここではむしろ「信用できない」という言葉を使うべきだったと思います)、という田中氏の主張へは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm/spm.htm の中の、”将来の気候を予測するモデルの能力の信頼性が増してきた”の段落自体が反論になっていると思います。

−−−−引用ここまで

 気候モデルがどこまで信頼できるか、と問われたときに、まともな科学者であれば、自分が作った気候モデルが完全なものである、とは答えられないはずです。モデルには必ず現実を近似する仮定が盛り込まれていますし、初期値の僅かなずれにより応答が発散するカオス現象というのも知られており、感度分析やアンサンブル平均などの処理が必要になっています。

 同じ問題を追いかけているはずの複数の研究グループが独立して作った気候モデルのそれぞれにおいても、『気候感度』(CO2大気中濃度を倍増した際に全球平均気温が何度上昇するかの指数)は確率分布関数という形で表されていますし、複数のモデル間の気候感度のばらつきもかなり大きいのが現状です。

 従ってIPCCがやってみせたように、これらの複数の気候モデルを全体として併せて、ある範囲の予測に整合性がありそうだと見なすことはできても、その予測が不確実であることからは逃れられません。全くモデルに考慮されていなかった新たな気候変化の要因が見つかることもありえる話です。

 複数の科学者チームが独立して作った気候モデルが同じ方向を指し示していることは、一般の人が定性的な方向性を信用する根拠にはなりえます。しかし、そのことと定量的に予測範囲がどこまで信頼できるかは別の問題です。

 その2へつづく
posted by おぐおぐ at 14:18| 温暖化の政治学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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