2005年08月08日

なぜ私たちは温暖化を否認するのか(その1)

 夜明け前が一番暗い、といいますが、ミラノ(COP9会合)の時期と比べて、ロシアの批准で京都議定書も発効し、次にまで話が及びだしたということで、前向きの姿勢が見え始めてきた今ですが、私たち自身の未来認識は明るくなってきたでしょうか、どうでしょう?

 英国の政治誌?ニュー・ステーツマンに掲載された文章から仮訳を3回に分けて紹介しておきます。
 リトマス試験紙のような文章だと思います。

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Why we don't give a damn
なぜ私達は温暖化を否認するのか
Cover story
George Marshall and Mark Lynas
Monday 1st December 2003
ジョージ・マーシャルとマーク・ライナス
2003年12月1日


 もう何度目かになるが、世界の指導者たちは地球温暖化によって起こる新たな危機について聞こうと集まった。そして彼らはまた今度も行動を起こすことができないように見える。ジョージ・マーシャルとマーク・ライナスがそれはなぜか解説する。

(生と死の境にある京都議定書) 今年の国連気候大集会はミラノで開かれたところだが、世界中の政治家にとっては地球温暖化問題についての心のこもった懸念を表明する場となっている。
すべての科学機関と世界中の政府が今では国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による、地球温暖化が惑星の未来への主な脅威であるという結論を認めている。このような幅広い共通認識を得られている外交問題は他にはまれである。

 それでもなお、まだ米国とロシアの非妥協的態度のせいで京都議定書は生と死の境にあり、会議は政治的な無人の野で開かれていた。
1992年に地球サミットで始まった外交プロセスはまだ大きな果実を産んではいない。

 チラシを埋めるに十分なほどの、風力発電所から太陽電池パネル、水素燃料電池などの多くの提案にも関わらず、化石燃料の利用量は無慈悲に増え続けつつあり、大気中の温室効果ガスの濃度は増加し続けているのが醜い現実なのだ。
 それではなぜ我々はこれほどまでにこの挑戦に正面から取り組むことが出来ないのだろうか。


(温暖化の被害影響)

 まず最初に、脅威の規模について思い起こしてみよう。
 地球温暖化はすでに進行中である:全ての温室効果ガスの排出を明日止めたとしても、我々は全地球的に気温が1.1℃上昇することを覚悟しなければならない。
これは過去100年の昇温幅(0.6℃)の2倍の大きさであり、熱帯のサンゴ礁をすべてかき消し、また山岳の氷河をかなり溶かしてしまうだろう。
 しかし同じくらい悪いことには、これもまだ非現実的なほど楽観的なシナリオなのだ。温室効果ガスの排出は数十年間は増加し続けると予想される。

 IPCCは2100年までに1.4℃〜5.8℃の地球気温上昇を予測している。
その下限でも、農業生産に適した土地の多くが破壊され、国土全体が海面上昇で沈む国も現れ、熱帯の乾燥地帯国々全体が居住不可能になるだろう。

 IPCCでは欧州が支払う気候変動コストは年間2800億ドルと予測しているが、世界最大の再保険会社であるミュンヘン再保険会社によると、金融面の悪影響は2050年までには年間3000億ドルにも上るという。

 自由貿易推進派の懐疑論者は、このコストは経済成長に伴う税金と見なすことができると主張する。しかし豊かな国が経済成長で利益を得る一方で、この「税金」のほとんどは貧しい人々が支払うものである。
そしてミュンヘン再保険会社によると、気候変動のコストは地球経済の成長率よりも2、3倍の率で増加し続けているという。

 しかしIPCCの予測の上限側にこそより大きなリスクが潜んでいる。2億5千万年前の地球温暖化エピソードはすべての種の95%を絶滅させてしまった。
このカタストロフィの引き金を引いた昇温はわずか6℃であり、古気候学者が、「黙示録の後の温室」と呼ぶできごとである。
(訳注:このペルム紀の大量絶滅事件の原因としては他の説がいろいろあるようです。「語る科学」大量絶滅 生物進化の加速装置(http://www.brh.co.jp/experience/exhibition/journal/44/research_11.html) など参照のこと。)
 IPCCの現在の最悪のシナリオは5.8℃であり、これ以上悪い数字はもう想像できない。

後日記:
「2億5千万年前の大絶滅:3番目の懸念」 を参照のこと。


 このことが意味するものは明らかである:我々がただちに温室効果ガスの排出を削減しなければ、極端な気象と生態学的破局に瀕した世界、永久的に貧困になり脅威が益々増える世界で生きることを、我々は子ども達と後の世代全てに宣告したことになる。

(続く)
なぜ私たちは温暖化を否認するのか(その2
なぜ私たちは温暖化を否認するのか(その3)
posted by おぐおぐ at 11:35| 環境哲学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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