2006年08月11日

雨を降らせよ、アマゾンの森に(byトーマス・ラブジョイ)

雨を降らせよ、アマゾンの森に(byトーマス・ラブジョイ)
The Amazon forest: Let it rain
Thomas E. Lovejoy
http://www.iht.com/articles/2006/07/27/opinion/edlovejoy.php
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に掲載された記事より抄訳して紹介しておきます。
干ばつで干上がるアマゾン河 も参照下さい。

Amazon rainforest 'could become a desert'
http://www.climateark.org/articles/reader.asp?linkid=58635
によると、3年間の連続干ばつでアマゾンの森林の多くが枯れ、巨大な二酸化炭素排出源となるとのことです。今年はアマゾンの干ばつの連続2年目にあたります。

但し、ブログ:Real Climate の科学者たちとしては、
Amazonian Drought
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2006/08/amazonian-drought/
の中で、一つ上の3年間の連続干ばつの記事は一部が誇張だと批判しています。



Published: July 27, 2006
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 25年前、アマゾンの降雨量の半分はアマゾンの熱帯林からの蒸発由来であることが示された。
当時は漠然と森林生態系の価値を示すものだと思われた。このなにやら深遠なと思われたものが、南米の多く生命の保証となっていることが分かっている。
大気が大西洋からアンデス山脈に向かって動くにつれて、海洋からの水蒸気が雨となって降り注ぎ、樹木からの蒸散と森林の表面からの蒸発となるのがそのメカニズムだ。 更に大気は西に向かうにつれて雲となり再び雨となって落ちていく。この降雨はアマゾンの熱帯林ばかりではなく、アンデスの東側の国々とブラジルの残りの地域にとっても重要である。ブラジルでは農業と水力発電の双方にとって危機的に重要である。この偉大なる水蒸気マシーンはまた、世界のほかの地域の気候とも繋がっている。
 当初から、森林減少によっていつかはこの水力学サイクルが解体されることが明らかだった。
 今日では、私たちはエルニーニョがペルー沿岸沖の地域的な現象ではなかったこと、1997年に起ったように厳しい干ばつを大陸中に引き起こすことを知っている。
 昨年、私たちはさらに、大西洋循環の変化−おそらく気候変動の前触れ−も同様にアマゾンに干ばつをもたらすことを知った。2005年はこの地域が記録的に乾燥した年だった。2006年も続くように見える。
結論は明らかだ。アマゾンは3つの独立した乾燥ファクター(森林減少/エルニーニョ/大西洋循環の変化)が同時に起った場合にも耐えうるように管理されなければならない。
問題なのは、アマゾンが水力学サイクルの劣化についてのティッピングポイントにどれくらい近づいているか、だ。
ブラジル(他の国は適切な計測ができていない)領内のアマゾンの森林減少率は17-18%であり、毎年200万ヘクタールに近い。他の国のアマゾンを併せれば、ティッピングポイントに非常に近いが、過ぎて初めて気づくのではティッピングポイントの意味がない。

 ブラジルと他の国々が政治的な意思を持つことが解決策である。
幸いなことに、アマゾン協力条約はすでに存在し、適切な仕組みを備えている。実行部隊への適切な資金源を必要としているが、また幸いなことに、すでに気候変動と温室効果ガスの問題への対策を取るための炭素市場が浮上している。これは人工林だけではなく天然林の保護にも適用できるよう拡大することができるはずだ。
森林の減少と焼却に伴う温室効果ガスの排出量は世界の排出量の約1/5を占めており、代替エネルギー源のリーダー国であるブラジルは実際には森林火災からの排出量を含めればトップ5の排出国である。他のアマゾン諸国の数字はあまり知られていない。
規制が自主的であるべきか強制的であるべきか、クレジットは暫定的か永久的かなど詳細は詰めなければならないが、それらは枝葉末節である。
炭素成分に悪影響を与えない方法で森林を利用する所有者に収入を与えることにより、炭素市場は必要な政治的意思を生み出す長い道を進むことができうる。
 そして最終的にはそれはアマゾンの水蒸気サイクルを守り、南米全体の経済にとっての福祉となりうる。

 トーマス・ラブジョイは科学と経済、環境に関するハインツセンターの代表であり、1965年以来アマゾンの科学と保全のために働いてきた。
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コメント:
 原生林の保全により得られる炭素クレジットの規模は余りにも膨大であるため(そして先進国のクレジット需要=排出削減目標があまりにも微小であったために)排出権取引の市場が供給過多でコラプスしてしまうことが、キョウト議定書の第一約束期間中のメカニズムの中に原生林の保全クレジットを含めるべきでないとされた大きな理由でした。
新しい途上国交渉グループCRNの誕生
を参照下さい。

 さらに今日まさに、ブラジルのバイオ燃料輸出がアマゾン開発にさらに火を注ぐことが、森林減少を食い止める役に立つとはとうてい考えにくく、状況は悪化の一途を辿りそうです。


posted by おぐおぐ at 06:50| 異常気象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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