2009年01月31日

回復不可能とは、未然防止の即時対応を求めるメッセージでしょうが

 話題の記事が続きますね。

地球温暖化、今後1000年は回復不可能 米海洋大気局
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2564684/3730931
 本当に新しい研究なのかどうか?分かりませんが、(ブッシュ政権の退陣で)政策上の含意の大きなメッセージをアメリカの政府機関が出せるようになったことの反映かもしれません。

 ”今後1000年間、たとえ二酸化炭素(CO2)排出量を今すぐまったくゼロにできても、地球温暖化の大部分は「回復不可能」だとする新たな研究結果を、米海洋大気局(NOAA)などのチームが今週、米科学アカデミー紀要に発表した。”

 ”研究者たちは、2000年から2100年の間に起こる大気中CO2の増加によって、その次の1000年間に起こる海面上昇はすでに確定されてしまっていると強調した。”
 と書いていますが、極域の陸氷の融け方こそが「確定」する要因なんですから「確定」されているというわけではなくて、ここの表現は間違いでしょう。

 ”多くの沿岸部や島しょ地域が海面下に沈むため、(海面上昇は)地球の地理の将来的変化を不可逆にする”
という表現も、このこと自体は、従来の研究ですでに常識化していることだと思っていましたが・・・。


共同:1000年は地球温暖化が進行 CO2の排出止めても
http://www.47news.jp/CN/200901/CN2009013001000131.html

 ”排出されたCO2の一部は大気中に数千年単位で残留することと、いったん温まった海水の温度は下がりにくいことが理由という。チームは「CO2の削減費用が下がってから削減すべきだとの主張があるが、大気への蓄積濃度が高くなるほど、その後に排出を止めても温暖化の悪影響が大きくなる」と指摘している。”
 ここは、政策上の含意の大きな重要なポイントですね。

 但し、研究では、マイナスの排出量を構成する緩和策については、ありそうにないことという評価をだしているようです無視していますが、BCCS(バイオマス火力+炭素回収・隔離)発電所の可能性を消去してしまうと、どのレベルであろうがCO2の大気中濃度の安定化を達成するのは難しいだろうと思われます。

 なので、安定化オプションの中には、BCCSなどをある程度の規模で適用されるものと想定して、マイナスの排出量を長期的に続けていく、つまり、オーバーシュート型で大気中のCO2濃度が下がり続けるというオプションをこそ、科学者には提示、研究して欲しいものです。続きを読む
posted by おぐおぐ at 12:07| Comment(7) | TrackBack(0) | 温暖化の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月27日

オバマ大統領就任演説を聞いて

the nef triple crunch blog より。

nef:Obama and the Green New Deal
http://neftriplecrunch.wordpress.com/2009/01/21/obama-and-the-green-new-deal/
 オバマ大統領就任演説のグリーン度を探る、というような中身の記事がありましたので紹介します。
 NEF(新しい経済学財団)は英国のNGOと呼ぶべきかと思います。グリーン・ニューディール提案の元祖の団体でもあります。

−−−
 NEFの本部(ロンドン)では、オバマの就任演説を流している間、みんな活動を止めて聞き入った。「どん欲と無責任さ」「誰もが幸福を最大限に追求する権利を持つ」など新しい経済学に関わる言及をした瞬間、研究者が反応する。
 特に気候変動や環境についての言及は一番多くの反応があった。それらは中心論点ではなかったが、8年間の否定と無視の後、ついにこの問題で前進する用意がある政府を私たちは得たのだ。

 オバマの経済およびエネルギー政策としばしば関連付けて語られてはきたが、「グリーンニューディール」についてオバマのこれまでの発言は寒暖の繰り返しだった。

 当選直後は「30年代の繰り返しをしているとボートがひっくり返る」と語っていた。しかしアメリカのインフラの再建を通じた雇用という公約は間違いなくルーズベルトがしたものだ。
昨日の就任演説の“harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories”はグリーンニューディールに傾いた発言だ。土壌というのがバイオ燃料ではなくて地熱エネルギーであって欲しいものだが。

 一番揺さぶられたのは、スピーチの最後に今日の現状を、アメリカの父祖の時代と比べた文言だった。

“a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river”(独立した年の)1776年に「愛国者の小さな集団が凍てつく川沿いの消えかけたたき火に身を寄せ合った。」

 オバマはそこでトーマス・ペインの言葉を引用した。

“Let it be told to the future world…that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive…that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet [it].”
「将来の世界で語られるようにしよう。希望と美徳以外は何一つ生き残ることができない真冬の日に、共通の危機に瀕した都市と地方はともにそれに立ち向かった。」(日経新聞1/24対訳より)

 今日の「共通の危機」とは実際は一つではなくて気候変動とエネルギー減耗、経済融解の三重の危機なのだが、まさに将来の世界の存在は、今ただちに私たちが行うことに懸かっているのだ。それがよきものであるようにしていこう。

−−−続きを読む
posted by おぐおぐ at 06:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月22日

南極の温暖化も確認された

(セレステさんのコメントを受けて追加)南極の画像は、Climate ProgressブログAntarctica has warmed significantly over past 50 years, revisitedより

 IPCCの第4次報告書の中では、南極の温暖化傾向は確認されていなかったんでしたっけ?
Figure912.png
ここのFig9.12では6大陸と海洋についての気温のトレンド変化だったわけですが、確かに南極のデータはないようですね。

BBC:New evidence on Antarctic warming
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7843186.stm
Reuter:Antarctica is warming, not cooling: study
http://www.reuters.com/article/environmentNews/idUSTRE50K5BM20090121?feedType=RSS&feedName=environmentNews
NYTimes:Warming in Antarctica Now Looks Certain
http://www.climateark.org/shared/reader/welcome.aspx?linkid=115924
Telegraph:Antarctica is warming faster according to scientists
http://www.telegraph.co.uk/earth/environment/climatechange/4307829/Antarctica-is-warming-faster-according-to-scientists.html
AFP:南極も温暖化、地球温暖化が影響 米研究

 人工衛星データと地上の観測基地データをあわせて使うと、温暖化が他の地域と同様に起こっていることが明らかとなったということです。これまでは衛星データの観測期間が足りなかったこと、基地も主に南極半島にばかり集中しているので、統計データの精度が低かったというような問題があったようです。

西南極氷床の高温化が大きいという画像データが使われていますね。続きを読む
posted by おぐおぐ at 09:31| Comment(7) | TrackBack(0) | 温暖化の科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月21日

科学者コミュニティへのアンケート

 日本では、
科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている [宝島社新書] (宝島社新書) (新書)
丸山茂徳 (著)
なんて本も出ていましたが…。

 科学者コミュニティへのアンケートを採った記事を紹介しておきます。
CNN:Surveyed scientists agree global warming is real
http://www.cnn.com/2009/WORLD/americas/01/19/eco.globalwarmingsurvey/index.html#cnnSTCText

 アメリカの、American Geological Institute's Directory of Geoscience Departmentsの名簿に掲載されている3146人の(地球)科学者にアンケートを取った研究がイリノイ大の研究者によって行われました。

2つの質問「地球の平均気温は、1800年代以前と比べて上昇したか?」と「人間活動が地球の平均気温を変える上で著しい要因となったか?」に対して、それぞれ90%と82%の科学者がイエスと答えたということです。

 中でも、climatologists(気候学者)の中では97%が人間活動の影響が顕著であると認めたそうです。
 一方、Petroleum geologists(石油地質学者)とmeteorologists(気象学者)の支持率はそれぞれ47%、64%と低かったそうです。

−−−
 調査をしたドラン氏は、「大衆のほとんどは気象学者が気候のことを知っていると思っているが、かれらは実際には非常な短期現象を研究している。」とのこと。

しかし、ドラン氏は気候学者の間のほぼ満場一致の合意には驚かなかった。

「彼らは気候科学を研究し論文を発表している。この研究で覚えて欲しいメッセージは、気候科学の分野について知れば知るほど、地球温暖化と人類の寄与を信じるようになる、ということだ。」

「長期の気候プロセスについての科学的基礎知識と微妙な意味合いを理解すればするほど、地球温暖化の正統性と人間活動が果たしている役割についての論争は存在しなくなる」とドラン氏は語った。
−−−
 というのがアメリカの状況のようです。

 石油地質学者の反応は、心情的に自分が打ち込んでいることの社会的意味を防衛したいということのように思えます。
 ピークオイル論者の多くは石油地質学者であるので、人為的温暖化を信じていないということがありそうなわけですね。続きを読む
posted by おぐおぐ at 12:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月20日

オバマ大統領就任の日に

 今、CNNのアメリカンモーニングという番組で、ワシントンDCの各地のカメラ映像を流しています。お昼前のオバマの大統領宣誓式に参加するために、まだ夜も明け切らぬ寒い中を多くの人々が歩いて集まりつつある様子を延々と流しています。

 こういう歴史をつくるイベントに参加できる人たち、目撃者となるために参加した人たちのことを心底うらやましく思います。

 明けない夜はない、という当たり前のことを確認できてうれしいです。続きを読む
posted by おぐおぐ at 20:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 運動論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「オバマさん、あなたの期限は4年間です」ジム・ハンセン

Guardian:President 'has four years to save Earth'
http://www.guardian.co.uk/environment/2009/jan/18/jim-hansen-obama

 少し前には8年間と言っていたはずなのに…。

NASAのジェームズ・ハンセンが新しいボス、オバマ新大統領に、地球を救うにはあと4年しか猶予期間がない、と指摘したということです。

 今日の英ガーディアン紙の記事ランキングでトップになっていますね。

インタビューの全文(英語)はこちら。
http://www.guardian.co.uk/environment/2009/jan/18/obama-climate-change

 ハンセンは炭素税派の立場を取って、ユニラテラルな炭素税の導入と、貿易規制とからめて炭素税の全世界への波及を目指すべき、としています。
 国内排出権取引はグリーンウォッシュ(緑の偽装)である、として、ポスト京都でも弱い国際合意ができるよりは決裂したほうがまし、としています。

ウーム。

つづく続きを読む
posted by おぐおぐ at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 気候カタストロフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月15日

帰ってきたコメント部屋

 全記事へエロサイトへのリンクをはって回るというコメント攻撃に耐えられず、コメントをつけていただく専用の記事を立ち上げて、他の記事はすべてコメント不可とさせていただきます。

 ここにコメントをください。
posted by おぐおぐ at 17:25| Comment(6) | TrackBack(0) | 気候カタストロフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月14日

ポストカーボン研究所提案の”リアル・ニューディール”

 プレスリリースが出ていました。

POST CARBON INSTITUTE PROPOSES "REAL NEW DEAL FOR ENERGY, ECONOMIC AND ENVIRONMENTAL RECOVERY" TO INCOMING OBAMA ADMINISTRATION
Plan Endorsed by Bill McKibben, Michael Moore, Randy Udall, Lester Brown.
http://world-wire.com/news/0901130001.html
 ひとまずこれを仮訳しておきます。

−−−
09/1/13 カリフォルニア州セバストーポリ
 ポストカーボン研究所は本日、来るオバマ政権への提案である、「真のニューディール:エネルギーの希少性とエネルギー及び経済、環境の回復への道」の公表を発表した。

pdf文書
(全文を仮訳してみました。→日本語pdf版はこちら

 この計画は、現在の経済危機に対応するのに際して、化石燃料に依存しない経済に向かうための大規模な政策と投資の方向転換を求めている。
 グローバルな化石燃料の減耗と気候変動問題に対処する緊急性を強調しながら、この「真のニューディール」案は、輸送システムの電化や送電網の再建、食料システムの再ローカル化、全国の既存のビル資産を省エネ、創エネのために改造することといった一連の大胆な措置を求めている。

 この計画の主な著者はポストカーボン研究所の上級研究者、リチャード・ハインバーグ。本「Party is Over」の著者であり、国際的に認められている化石燃料の減耗についての専門家だ。

 ハインバーグは、「これまでオバマ次期大統領へ数多くの「ニューディール」案が提案されているが、我々の計画は、化石燃料供給の減少と温室効果ガス排出により、我々が目前の恐ろしいリスクにさらされていることを認識したものだ。」「雇用刺激策として道路と橋を建設するのは間違った戦術だ。安価なエネルギーの終焉を取り扱い、カタストロフ的な気候変動を食い止めるために、国を再編成(Re-Engineer)しなければならない。」と語った。

 「ディープ・エコノミー:共同体の富と耐えられる未来」の著者ビル・マッキベンは、「世界は真の限界に達し、その限界が私たちの未来を規定している。私たちは石油が欠乏し、大気も欠乏しつつあり、この二つだけでも惑星を変えてしまう。一気にその曲がり角から前に出よう」と強調した。

 アカデミー賞を受賞した映画監督マイケル・ムーアは、「私はこの「真のニューディール」を強く支持する。オバマ政権は適切な行動をとるための恐ろしいほどの機会と重大な責任を負って、歴史上最もクリティカルな瞬間に誕生するのだ。」と宣言した。

 カリフォルニア州ハンチントンビーチの前市長であり、ポストカーボン研究所の評議会議長であるデビー・クックはこう言った。「化石燃料の減耗と気候変動の双子の挑戦への唯一の正気なアプローチとして「真のニューディール」を支持する。私たちは系統だって調整された努力を必要としており、無駄に費やせる時間はないのだ」と。

 「真のニューディール」の他の支持者たちには、ランディ・ユッダ−ル(著名なライター)やレスター・ブラウン(アースポリシー研究所とワールドウォッチ研究所の創設者)、ディビッド・オール(オバーリン大学の特別教授)、パット・マーフィ(コミュニティソリューションの創設者、『プランC』の著者)などがいる。

 詳細はhttp://www.postcarbon.org/real-new-deal を読んで欲しい。

 ポストカーボン研究所は、カリフォルニア州セバストーポリにあり、世界の地域社会が化石燃料の減耗と気候変動という挑戦を理解し、対応するための研究や技術ツールの開発、公衆の教育、指導者への提案を行っている。
−−−続きを読む
posted by おぐおぐ at 23:54 | TrackBack(0) | 温暖化の政治・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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