2008年06月28日

「地球温暖化詐欺」はどっちでしょう

 日本のブログで、BBCチャンネル4の番組
"The Great Global Warming Swindle"
についての動画の紹介がぽつぽつ出ているようです。
 ニコニコ動画(加入してませんあしからず)や、Youtube動画、Google動画でも日本語の字幕付きで流れているようです。

あんまり広めるのも気が進まないのでリンクは貼っておきません。

ということで、以前、ブログReal Climateの中で紹介されていた記事、
Swindled! 詐欺だ!
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2007/03/swindled/
の中で、懐疑派の主張の批判をしていたところを仮訳しておきます。
それでもって、関連ブログにトラックバックやコメントを送っておきましょう。

−−−
・CO2 doesn't match the temperature record over the 20th C.
「大気中CO2濃度は20世紀の気温変動記録とマッチしていない」

 それはそのとおりだが、そもそも(温暖化派も)そんな主張はしておらず不適切な表現だ。
 番組では1940-80年の間の急激な気温低下(たまたま変に強調されているグラフのようだが)を紹介するのに長い時間を掛けていた。温暖化理論の主要な欠陥のように表現していたが、とても欺瞞的である。
なぜならGCM(気候モデル)の中では1940-70年の間の気温低下期間は充分よく再現されており、その多くは硫酸エーロゾルが原因である。
 これはthe IPCC TAR SPM fig 4
http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/figspm-4.htm
や more up-to-date AR4 fig 4
http://ipcc-wg1.ucar.edu/wg1/Report/AR4WG1_Print_SPM.pdf
で示されている。ということで、省略のウソとなっている。


・The troposphere should warm faster than the sfc, say the models and basic theory.
「モデルとその基礎理論によれば、対流圏はsfc(地表面温度)よりも急速に温暖化するはずである」

まさにその通りでそうなっている、但しMSU(人工衛星による観測)のクリスティらによる何度もの校正版データに執着していなければ。
 (IPCCに参加しているからと言って中身には同意していない、と語っていましたが)クリスティは、自分が執筆したUS CCSP報告書の要約を度忘れしているようだが、そこではかつて(過去形になっています)報告されていた地表面と高度の高い大気温の不整合は気候モデルの信頼性と人為的地球温暖化の真実に疑問を投げかけるものであった。
 特に地表面データは実質的な温暖化を示している一方で、初期の人工衛星及びラジオゾンデデータは地表の温暖化の兆候を示していなかった。人工衛星及びラジオゾンデの誤差が確認、校正された結果、現在ではこの著しい不整合は存在していない。新たなデータセットではこの不整合はなくなっている。、と書かれている。過去記事はこちら。
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2005/08/the-tropical-lapse-rate-quandary/


・Temperature leads CO2 by 800 years in the ice cores.
「過去の氷床コア記録では、気温変化がCO2の変化に800年先んじている」

 彼らが言うほどではないが、基本的にその通り。とはいえ、彼らは間違った紹介をしている。彼らの説明の仕方では、読者は気温とCO2には逆相関があると思ってしまうだろうが、実際に40-80万年間のコア記録グラフ全体を見れば、わずかすぎて時間遅れを見つけることすらできないだろう。
正しい説明の仕方は良く知られている。気温とCO2には(正の)フィードバックが働いているのだ。
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2004/12/co2-in-ice-cores/


・前半は、CO2により温暖化しているのでなければ何によるのだろう?という疑問につながるものだが、答えは"太陽だ"としている。
この説明部分は変に弱くグラフがないインタビューだけだ。スベンスマークの研究すら引用していない。他は以前からの議論の焼き直しだ。
 ちなみにスベンスマークらが太陽活動と気温が高い相関を示しているという主張の根拠になっていたグラフには問題点があったことが知られている。
see figure 1c of Damon and Laut.
http://stephenschneider.stanford.edu/Publications/PDF_Papers/DamonLaut2004.pdf

・ほかは、火山が人類よりも大量のCO2を噴出する
http://gristmill.grist.org/story/2006/12/17/223957/72
、あるいは中世期の英国にはブドウ畑があった
http://www.realclimate.org/index.php/archives/2006/11/english-vineyards-again/
という話まで、懐疑派の議論のてんこ盛りだ。

・最後は政治で締めくくっているが、アフリカの発展の欠如を環境運動のせいにしている。政治を語るのは好まないが、番組では言っていないことを指摘しておけば、京都議定書では途上国の排出削減義務を免除している。(ブレイムゲームは止めろ。)
−−−

mixiのコミュニティ『地球温暖化について知りたい!』の「映画『地球温暖化詐欺』」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=32535993&comment_count=71&comm_id=1248569
の中でもいろいろ議論が出ていますね。

後日記:
Wikipediaの日本語版にも、英語圏のWikipediaでの解説の翻訳版が掲載されています。この文が紹介用には良いですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E8%A9%90%E6%AC%BA_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29続きを読む
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2008年06月23日

ニュース短信その14

 この短信の表題一覧。

・3/19石炭火力問題の関西電力への申し入れ報告
・3/19小池元環境相、バイオエタノールの開発中止を主張
・3/20経産省手抜き試算でG8サミットの足を引っ張る
・3/23気候ネットによる事業者の排出量開示作業
・3/23セクター別アプローチの資料記事
・3/26参議院で日本の方針を追及
・3/29南極半島の巨大棚氷の崩壊
・4/12世界のCO2排出量急増−アースポリシー研究所
・4/14イベント案内4/21「穀物争奪戦:バイオ燃料と食料」
・4/16県と市の温暖化対策計画とりまとめ
・4/17英豪首相の揃い踏み−すべての国を含み効果的な新たな国際合意を
・4/23田中宇氏は相変わらずですね
・5/3明日香寿川氏によるセクター別アプローチをめぐる混乱についての解説記事
・5/11独断と偏見に基づく温暖化関連本の紹介
・5/11日本は2050年の国内長期目標でG8サミットに臨む
・5/12小池元環境大臣「2020年で25%減」を目標に
・5/15NPOレインボーの「地球温暖化ニュース/そろそろ間に合わなくなってきた…」
・5/18第372回マル激トーク・オン・ディマンド
・5/22若手専門家による地球温暖化対策審議会
・6/7グッドニュースジャパンに「G8・脱温暖化チームマイナス80」特集
・6/7米連邦上院、排出枠取引法案を廃案に
・6/11フツーの人フクダ氏の冒険「福田ビジョン」
・6/19世界の環境NGOsから福田首相にお手紙を手渡し
・6/20ロイターの環境特集のページ
・6/20トヨタ社長「我々の見方では、石油生産は近い将来にピークを打つ。」
・6/23日経エコロジーに気候ネット浅岡氏インタビュー

−−−−
●日経エコロジーに気候ネット浅岡氏インタビュー
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080619/162858/
”しかし日本は、2013年以降の方向性がとても曖昧です。国の政策がどこへ行くのかが分からないと、企業は事業計画の軸を定めることができません。大きな投資を伴う案件などは、2013年頃のことを今考え始めても遅いくらいですよね。こうした状況は日本の産業界にとって極めて大きなマイナスです。”
”抵抗しているのが自主行動計画に固執している人たちです。日本は本当に島国なんだと思います。そして今は幕末に似ていて、産業界は昔ながらの考え方で、「攘夷だ、攘夷だ」と言っている。この人たちを変えるには政治が動くしかありません。”

●トヨタ社長「我々の見方では、石油生産は近い将来にピークを打つ。」
今週の注目発言-Peak Oil Reviewより(その2)で紹介しました。
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/forum2/13884.html
 早期のピークオイルを日本の会社が公に認めたのはこれが始めてではないでしょうか。
 業界の旗手が持つ見解は、競合他社にも影響を与えざるを得ないでしょう。温暖化対策のスピードにも良い影響を与えることになるはずです。

つづく続きを読む
posted by おぐおぐ at 07:18 | TrackBack(3) | ニュース短信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月22日

6月のイベント案内

◆6月22日
公開シンポジウム「地域研究と政策研究の協働:地球環境を救うために」 
 日時:2008年6月22日(日)13:20 -17:00
 会場:東京大学農学部・弥生講堂(一条ホール)

 主催:熱帯生態学会(JASTE)
 共催:東京大学大学院農学生命科学研究科、
 協賛:サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)、国際農林水産業研究センター(JIRCAS), 森林総合研究所(FFPRI)

 趣旨:環境問題の解決にむけた、アプローチの異なる地域研究と政策研究の協働のあり方について、地域研究と政策研究の第一線で活躍されている方々を講演とパネルにお招きして、フロアのみなさんとともに考えたいと思います。

 プログラム
    13:20 開会挨拶:熱帯生態学会会長
    13:25 趣旨説明:井上真(大会実行委員長)
    13:30 基調講演(1):森嶌昭夫:名古屋大学名誉教授/前・地球環境戦略研究機関(IGES)理事長/前・中央環境審議会会長
    13:50 基調講演(2):田中耕司:京都大学教授/京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)・センター長
    14:10 コメント:武内和彦:東京大学教授/サステイナビリティ学連携研究機構・副機構長
    14:30 休憩
    14:50 パネル討論会

  *パネリスト(6名)
    ・講演とコメントの3名:森嶌昭夫、田中耕司、武内和彦
    ・小林正典:地球環境戦略研究機関(IGES)・長期展望・政策統合プロジェクト・主任研究員
    ・関良基:拓殖大学・政経学部・助教
    ・田中求:東京大学・大学院農学生命科学研究科・学術研究支援員
  *モデレーター:井上真(東京大学・大学院農学生命科学研究科・教授)

    16:50 閉会挨拶:生源寺眞一(東京大学大学院農学生命科学研究科長) 

* 詳細は<http://wwwsoc.nii.ac.jp/jaste/Index.html
  および<http://www.ga.a.u-tokyo.ac.jp/JASTE18/>をご覧下さい

◆6月28〜30日
成功させよう!! ノーニュークスアジアフォーラム2008

 アジア各地で反核・反原発、脱原発をたたかう人々、放射能の被害に立ち向かう人々、そして命を慈しむ人々の絆をさらに強めるために!

 地球温暖化防止を口実にして原発の建設を積極的に進めていこうと原子力産業の動きが活発です。脱原発をすすめる私たちの側も協力して対抗していく必要が高まってきています。このためにノーニュークス・アジア・フォーラム2008を日本で開催することにしました。

 NNAFは1993年に第1回が開催されて以来、アジアのさまざまな国で会合を重ねてきました。2005年6月の台湾でのあと、3年ぶりの会議となります。

 ぜひともみなさんと一緒に成功させたいと思います。原子力を取り巻く環境は変化し続けています。原発建設は果たしてどの程度現実的か、脱原発を目指している台湾では国民党政権へと交替したが原子力政策にどのような変化が生じるのか、いったん中止になっていたインドネシアでの動きはどうか、韓国での原発建設の動きはどうか、廃棄物政策はどうなっているか、日本の再処理工場の稼動をどう考えるかなど語り合うべき内容は多々あります。

 日本では中越沖地震が起きて柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える声が高まっています。アジアの多くの国でも耐震安全性が大きな問題となっています。こうした時期に日本で会議を持ち、原発の耐震安全性について現地の声をふくめて、お互いに多くのことを学ぶ意義は大きいのではないでしょうか。そして、参加国が互いの情報を交換しながら共通の課題を確認したいと考えています。

 現時点の参加国は、北から韓国、台湾、インドネシア、タイの国々です。そしてヨーロッパからも1名が参加する見通しです。さらに幾つかの国が参加するでしょう。

 日本では柏崎で開催される全国集会にも参加する予定です。柏崎全国集会での交流に加えて、東京でも集会を持ち、各国の状況など報告しながら多くの市民の方々との交流も考えています。

 日程も増え、宿泊・交通費なども多くかさみます。G8サミットの直前に開催される日本でのノーニュークス・アジア・フォーラム2008を成功させるためにぜひとも皆さんのご賛同をお願いします。

賛同費 個人1000円 団体3000円

郵便振替 00170-0-159426 原発とめよう東京ネットワーク 
  (NNAF賛同とお書きください)

28〜29日 柏崎集会へ参加

30日:東京集会 アジアの原子力はいま-各国からの報告-

午後6時半から

総評会館2F

参加費用:1300円(前売り1000円)

呼びかけ団体:原子力資料情報室、日本消費者連盟、ふぇみん婦人民主クラブ、グリーンピース・ジャパン、ストップ・ザ・もんじゅ東京、たんぽぽ舎、核燃やめておいしいごはん、原水爆禁止日本国民会議、柏崎刈羽原発反対地元三団体、 みどりと反プルサーマル新潟県民連絡会(4月8日現在)
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=641

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posted by おぐおぐ at 09:45 | TrackBack(1) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

過去の目次■悪影響編

■悪影響編
●カテゴリー:気候カタストロフィ【33】
 温暖化を描いた映画「デイ・アフター・トゥモロー」
 本「氷に刻まれた地球11万年の記憶」
 北極圏の温暖化4題噺
 2億5千万年前の大絶滅:3番目の懸念
 世界の森林減少で加速する温暖化:2番目の懸念
 南極にも異変が:4番目の恐怖
 北大西洋の熱塩循環30%弱まる
 回避すべき被害についての最近のまとめ
 北極の海氷の減少
 新しい科学小話二つ
 本”The Revenge of Gaia”(ガイアの復讐)は2月2日、ペンギン社から発行
 雪だるまはころがり始めているか−ティッピングポイント問題
 エクセター会議報告本「危険な気候変動を避ける」
 南極とグリーンランドの氷床の融け方明らかに
 今世紀末に氷河融解で海面数メートル上昇「か??」
 平均気温3℃上昇で森林の6割が消滅
 「不都合な真実」の6メートル海面上昇予測はトンデモ説か? (2007-08-06)
 続・北極の海氷の減少 (2007-08-16)
 暴走温室効果、帰還不能地点、ティッピングポイント (2007-08-20)
 ハンセンが吠え、レントン、ラプレーが応える (2007-08-24)
 本の紹介:温暖化地獄 脱出のシナリオ (2007-10-24)
 「もうカナリアは死んでしまった、炭坑から逃げ出すときだ」 (2007-12-13)
 ワシントンポスト紙でビル・マッキベンが350ppmを力説 (2007-12-28)
 NASAハンセン博士のNHK番組での発言録 (2008-01-06)
 南極の氷床は成長するのか減少するのか論争 (2008-01-14)
 「気候のコードレッド」レポート−持続可能性に関する緊急警報 (2008-02-11)
 350.org (2008-05-13)
 北極グマの絶滅 (2008-06-07)
 G8のリーダーへ350ppmの新目標設定を求める署名 (2008-07-05)
 お正月の温暖化関連特番(2008-12-28)
 最新のティッピングポイント評価報告米国版(2008-12-28)
 「オバマさん、あなたの期限は4年間です」ジム・ハンセン(2009-01-20)
 最強のロビイスト、アル・ゴアによる米上院での証言(2009-02-07)

●カテゴリー:異常気象【19】続きを読む
posted by おぐおぐ at 21:18 | TrackBack(2) | 気候カタストロフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

過去の目次■温暖化の科学編

■温暖化の科学編

●カテゴリー:温暖化懐疑派・否定論【27】
 地球温暖化&対策への懐疑論
 化石燃料ニセ情報キャンペーン(その1)
 化石燃料ニセ情報キャンペーン(その2)
 「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇1
 「地球温暖化問題の歪曲」in田中宇2
 SF小説の紹介:恐怖の存在
 続・温暖化懐疑論について
 FOX Newsは地球温暖化をどう見るか
 温暖化懐疑論(その3)
 2/18東京:温暖化の原因と対策についての賛否討論会
 討論会の感想
 グローバルな炭素循環について
 科学論争は終わった−デザインコンペ
 ミッシングシンクはいつなくなったか?
 カオスな問答
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その1
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その2
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その3
 「温暖化の結果CO2増加が起こっている説」では説明できない現実その4
 「正統」派の論点整理と論拠
 「地球温暖化のエセ科学について」in田中宇の国際ニュース解説、について
 『地球温暖化の国際政治学』by田中宇について
 CO2はすでに飽和説&水蒸気が主要因説への解説がでています (2007-06-30)
 懐疑派批判のパンフレットが出ていますね (2007-07-06)
 エルニーニョとCO2濃度の変化の関係グラフの読み方 (2007-09-10)
 水蒸気の方が温室効果が大きい?ならば対策を講じなくては (2007-09-18)
 光・熱ふく射のエントロピー理論について (2007-12-19)


●カテゴリー:温暖化の科学【37】続きを読む
posted by おぐおぐ at 21:12 | TrackBack(0) | 温暖化懐疑派・否定論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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