●社説2 「ポスト京都」に覚悟を決めよ(11/21) 日経
(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20071120AS1K2000120112007.html
いま手をこまぬくと、そのツケは将来とてつもなく膨らむ。科学的見地から地球温暖化を議論してきた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第 4次統合報告書で言いたかったのは、この点に尽きるだろう。報告書は「今後20―30年の排出削減努力と投資がカギを握る」とし、京都議定書に続くいわゆる「ポスト京都」(注:「ポスト京都」→「次期枠組」と読み替えてください)の枠組みが決定的に重要と説いている。温暖化防止に各国は覚悟を決めなければならない。
第4次報告書は12月にインドネシア・バリ島での会議を皮切りに始まる次期枠組み交渉に向けたメッセージである。各国の政策決定者に向けて、温暖化の原因が人間活動とほぼ断定し、その影響を予測して後戻りできない状況になる前の対策を求めている。南極などの現状の視察後に総会に出席した国連の潘基文(バン・キムン)事務総長も「世界が足並みをそろえ対策をとる必要がある。時間を浪費してはならない」と語り、温暖化防止に消極的な米国や中国などにクギを刺した。
地球の将来を考えれば温暖化防止をいつまでも疎んじてはいられない。消極派の代表とみられていた石油輸出国機構(OPEC)でさえも姿勢を転じ、総会での「リヤド宣言」で世界と温暖化対策で協調する考えを明確にした。温暖化が進めば凶暴な自然災害が増え、それに脆弱(ぜいじゃく)な発展途上国がもろに被害を受けるだろう。自国の利益を損なうという理由で対策を逃れることはどの国もできまい。
翻って日本はどうか。京都議定書の目標である1990年比6%の排出削減にもメドがついておらず、バリ島の会議に向けて戦略も固まっていない。目標達成や戦略を詰める場は産業構造審議会と中央環境審議会の合同部会だが、議論は進んでいない。合同だけに委員の数が膨れあがり、意見集約はままならない。堂々巡りが続くならそれぞれの審議会が別々に結論を出し、政治判断を仰ぐ方がはるかに建設的ではないか。
福田政権は前政権の提案「2050年までに世界の排出半減」の考え方を踏襲するという。それなら日本も覚悟を固め、この提案に恥じない説得力ある削減目標を早く示すべきである。時間の浪費は許されない。
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